ガールズ & モト Girls e Moto
「ちょっとアンタ!よくもあたしを騙していたわね」
突然シャルロッタにからまれても愛華はなんのことだかわからない。
「どうしたんですか、シャルロッタさん。わたし騙してなんかいませんけど?」
「よくもそんなしらばっくれたこと言えるわね。アンタ、GPアカデミーではじめてバイク乗った、って言ってたじゃない」
「そうですよ。それまで自転車しか乗ったことありませんでした」
「へえぇ、そ〜なの?でも、これを観てもそう言い張れるかしらね」
シャルロッタは、抱えていたアニメのDVD 6巻セットを愛華に見せつけた。
愛華は、尚もわけがわからず、なにそれ?とそれを眺めていた。
「まだしらを切るつもり!いいわ、じゃあアンタの嘘経歴の証拠、観せてあげるからよく観なさい」
シャルロッタは、ぷんぷん怒ってアニメDVD の一巻をノートPCに入れた。
オープニングをさっさととばすと、一人の女の子が、女子校に転校して来た場面から再生する。
確かに主人公の女の子の雰囲気は、どことなく愛華に似ていなくもない。なかなか友だちがつくれないのも、愛華が白百合学院に編入した時と似ていた。
しかし、そこからが全然違っていた。
そのアニメの世界では、オートバイが伝統的な乙女のたしなみとされていたのだ。
なにそれ?なんか聞いたことある話じゃない?
「日本の女の子は、みんな小さい頃から“単車道”やってるんじゃないの!しかもアンタんちが単車道の家元だったなんて、よくも隠してたわね!」
いやそれパクり設定でしょ?
「そうです。河合流単車道と言えば、『守りは鉄壁の如き、その攻撃は疾風の如し』と畏怖される伝統流派です。実はアイカちゃんの家は、河合流家元だったのです」
いつの間にか一緒に観ていたスターシアさんが解説してくれた。
完全にパクりだ、それ。
「知りませんから、こんなアニメ知りませんから。単車道なんて、聞いたこともありません。フィクションです。作り話ですよ、こんなの。しかも盗作です!」
愛華は自分が無関係だと必死に訴えた。
「設定が似てるだけなら盗作とは言えません。そんなこと言ったら、世の中の作品のほとんど盗作になります」
スターシアもこのアニメがお気に入りらしい。
「いえいえ、ストーリーとかもそのままじゃないですか。戦車が単車になっただけですよね、これ」
「パクりとかどうでもいいのよ!あたしが気にいらないのは、イタリアのチームがすぐ負けちゃってるところよ!しかもあたしなんかワンカットしか出てないじゃない!スターシアお姉様なんて、歌まで歌っているわ、しかもロシア語で」
シャルロッタの中では、自分たちと登場人物のイメージが完全に重なっているらしい。
それにしてもスターシアさんがロシア語で歌ってるって、あのシーン?それじゃあエレーナさんは肩車されてるの?それはないよね、さすがに。
しかし、イタリアのチームは一瞬しか登場しなかったのに、どうしてシャルロッタさんと決めつけるの?イタリアチームなら、バレンティーナかも知れないのに。どっちかというとキャラ的にはシャルロッタさんが肩車されてるあの人っぽいんですけど。
「大丈夫よ、シャルロッタちゃん。イタリアチームとの対戦は、OVA用にとってあるのよ」
スターシアがまたマニアックな情報を披露した。
「OVA?すごいわ!じゃあプラモデルとかフィギュアも出るのね」
「もちろんです。ディスクを買わないと観れないのですから、放送シリーズとは格が違います。プレミアです」
「やっぱりあたしは特別ってことね。家元だかなんだか知らないけど、やっぱりアイカとは格が違うのよ」
もう愛華のバイク歴はどうでもいいらしい。でも、OVAでもイタリアチームって負けるんだよね、きっと。
最近、「最速の女神たち」の誤字チェックと改稿ばかりしていました。ちょっと気分転換に浮かんだ話書いてみました。元ネタわからないと、何のことだかわかりませんよね。忘れて下さい。
ガルパン劇場版楽しみです。