闘技大会のご参加にあたり…
※前話が多々付け足してあります。ご注意を。
「まったく、先輩のせいで開幕式に出られなかったじゃないですか。」
「あらあら。でも式は自由参加型だから問題ないわよねぇ?」
「いいわけないじゃないですか!あたしたち役員ですよ!?」
僕が救出されてからずっとこの調子。エレナさんはご機嫌ななめで、優姫先輩は怒られているのにしれっとしている。
|(わかりきっていたけど、アウェーは気まずいな。それに…。)
「あの、ここ観客席ですよね?受付はしなくていいんですか?」
さっきから受付目的ではなく、どうも空席を探しているようにしか見えない。そしてすでに観客席は多くの生徒で埋め尽くされていた。もう一回戦目が始まるのだろうか。
「ええ。それなら優姫先輩がメールで伝えといてくれたから心配ないわ。」
そう言いながらエレナは三人が座れる席を見つけ、先に座るよう促した。それに従い、優姫・美羽・エレナの順で腰かける。
「音無美羽さん、でいいのよね。この大会の形式やルールはわかってる?」
「いえ、全くといっていいほど無知です。」
「あらあら。それなら私たちが説明したほうがいいかしらねぇ♪」
優姫がそう言うと、エレナが「んっんー」とわざとらしく咳をし、説明を始めた。
「ルールは簡単よ。先に倒れたほうの負け。ただし、30分の時間制限があるからタイムアップになったら審判の判定にゆだねることになるわ。勝負は武器・魔法・それから個々の能力を駆使して闘うの。」
「能力…ですか?」
「能力は身体能力を高めたりするものから、得意魔法に影響してくるわ。誰しもが備えている力だけど本人でも自分が何の能力保持者なのかわからない人もたくさんいるのよね。」
「そういう人がこういう学校で自分の才能を発掘するってことよぉ♪あっ、それから・・・。」
優姫が説明しようとすると闘技場のフィールドに大きくトーナメント表が映し出された。それを待っていたかのようにエレナが解説していく。
「見ての通り、トーナメント戦でブロックは全部で4つ。武器使い・魔法使い・治癒者・そして一般枠に分類されるわ。あなたはあそこのブロックね。」
エレナが指をさしたところを見ると、すでに美羽の名前が入っていた。だが、もう一方はまだ空白だ。
「顔写真がなかったから名前になってしまたけど、問題ないわよね?おそらくあなたは初戦スタートよ。対戦相手は生徒の中から無作為に選ばれるわ。」
そこまで言うと、ジッとトーナメント表を見つめた。どうやら今決まってしまうらしい。ドキドキしながら美羽達も見守る。しばらくすると対戦相手の顔が表示された。
ピコンッ
「・・・!?」
「あら…まぁ。」
映し出された顔に二人とも絶句した。ただ、一人はスッと立ち上がって
「一回戦、よろしくね。…といっても二人しかいないから最初から決勝だけど。」
そう言ってクスッと笑った。
次回で待望の戦闘シーンに入ることができそうです。ただ、テスト期間に入るので投稿は遅れるかと思います。