男やめます!?
健全な良い子のみんなーーーごめんねーーー!!!
山の中腹にある洞窟。その奥で数人の盗人が薄暗い中、鳴りを潜めている。小さな火を囲み、釣ってきた鮎が焼けるのを今か今かと待っている。
「今日は大量ですね。1人2匹はあるんじゃないですか?」
盗賊の生活は厳しい。よく本やアニメで見るように毎日酒を飲み、歌を歌い、肉をかじる。そんな愉快な生活はただの夢物語だ。
「おぅ、ショウか。遅かったな。」
「音無 翔」僕の名前です。数年ほど前に、ここの首領のハリスさんに連れられ、盗人としての生活を共にしています。
自分達が物を盗むのは貴族たちのものであり、決して市民には手を出さない。それがここの盗賊団の掟だ。ちなみに首領のハリスは女性で、年はもうすぐ40になるが、見た目はまだ20代と思うほど若々しい。
「ショウ。待っていたぞ!」
「どうされました?ハリスさん。」
「そこに座れ。大事な話があるから耳の穴かっぽじってよく聞けよ!」
ハリスは少し嬉しそうな、いや何か企んでいるような顔でそう言った。指示通り、ハリスの示した場所に座る。ちょうど向かい側になる形だ。
正直嫌な予感しかしないんだけどなぁ・・・。
「・・・なんでしょうか?」
「よくぞ聞いてくれた!!」
いやいや、そっちが聞けと言ってきたのだろうに。
ハリスはニヤリと笑い、続けた。
「女装しろ。今日からお前は男の娘だ!」
「・・・。」
絶句している翔に構うことなくハリスは続ける。
「明日女学院に行ってこい!そこで賞金を獲ってくるのだ!」
「・・・はい?」
思考回路が追い付かない。ほんとに何言ってるの?この人。
するとハリスは、呆れ顔になっている翔を見て少し慌てた。どうやら察してくれたらしい。「コホン」と咳をし、その場に立って説明を始めた。
「明日、剣聖女学院で交流闘技大会がある。優勝者には賞金がでるらしい。」
「はあ・・・。」
「参加条件は、女であること。16から18歳であること。闘えること。この三つだ。私は二つ目でひっかかってしまう。そして私以外女はいない。」
あぁ。なんかわかったかも。
「そこで・・・。」
「前に一度、女性に変装した僕が闘技大会に出ると?」
ハリスが口にする前に言ってやった。すると彼女はしばらくキョトンとしていたが「おお!さすがに理解がはやいな!」と嬉しそうに言った。
以前翔は嫌々ながらも女装し、貴族の男に睡眠薬の入った酒を飲ませ、眠ったところでたくさんの食糧を盗ったことがある。
「安心しろって。おまえはかわいいし、剣技もなかなかだ。」
「大丈夫だ。バレることはまずないだろうよ。」
そこら辺の男どもがまくし立ててくる。確かに、翔は細身で童顔、声にも十分に幼さ・・・いや、女性らしさがある。女装などしなくても、たまに町人が「そこのお嬢ちゃん!」と呼ぶほどの身なりをしている。
だが当の本人は当然、素直に喜ぶことはできなかった。
「またやるのか・・・。」
目の前で「ハッハッハッ!」と腰に手を当て盛大に笑うハリスとは逆に、翔は「ハァ」と肩を落とした。
やっぱり絵がほしいよね。
と、ゆーうわけで募集します。どうやって?知りませんよー