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翌朝気が付いたらあたしはあたしの部屋にいて、ちゃんと自分のベッドの中に収まっていた。


起き上がって窓際まで行ってみると、夜明け前でまだ外は闇に包まれていて少しだけ星が見えた。

窓を開けると夜明け前のシンとした空気がスーッと部屋に入り込んできて、今まであったことが全部リセットされてキレイになくなっていくような気がした。

この部屋の中にこもっているモヤモヤした空気と一緒に、嫌なこと全部が消えてなくなってしまえばいいのに。このモヤモヤした気持ちも全部持って行ってくれればいいのに。そう思いながら大きく深呼吸した。

昨日あったことが全部夢ならどんなに嬉しいだろう。また何事もなかったかのようにじっちゃんと会って、笑って話せたらどんなに幸せだろうか。

でも、そんなこともう無理だってあたしは十分すぎるほど分かっているけど。


あたしが自分から手放してしまった。もう二度と元には戻せないくらいめちゃくちゃに壊してしまったのは、紛れもなくこのあたしだ。指の間からサラサラとこぼれ落ちる砂みたいに、大切なものが何もかもこぼれ落ちてなくなってしまった。

手のひらを見つめながらそんなことを考えていたら涙が溢れそうになったから、徐々に明るくなってくる空を見つめながらわざと笑顔を作ってみた。


どう考えたって、じっちゃんとは元の関係には戻れなかったのだから、じっちゃんと共に歩く将来を考えられない以上選択はこれしかなかったのだ。後戻りすることはできなくて、前に進むこともできなかったのだから。



見上げた暗闇の中には雲一つない空が広がっていて、今日はきっといい天気になる、そう思った。そう思えた。

静かに窓を閉じてキッチンに行き、いつも通りお気に入りのコーヒーを丁寧にドリップする。

大丈夫、いつもと変わらぬ朝がやってきて、いつもと同じように生きていける。そう強く信じて。



その日、あたしはじっちゃんの連絡先を携帯電話から削除した。





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