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レベル5の魔術

 週末の深夜帯。

 いやでもテンションがあがる時間だ。

 酒も入っており、今日の俺は誰も止められない状態。

 多分、今ポエムとか書いたら、凄い黒歴史が生まれると思う。


 この今読んでいるブログすら軽く上回るような。


 【ミエナイブログ】


 ネット上では、電波なオカルトサイトとして有名なようだ。


 何でもここを運営している魔術師(笑)の子が、初期段階では

 顔出しをしていたようで、それが結構可愛と言うのが火が着いた切欠らしい。

 既に写真は消されていたが、一度ネット上に流れた物は完全に消し去る事は出来ない。

 俺も有志のまとめサイトに載っている当時の写真を見る事が出来た。

 いかにも魔法使いっぽい帽子を被り目元は隠れているが

 サラリと伸びた綺麗な黒髪が印象的だった。


 ちなみにこの掲示板に最初に立ったスレッドのタイトルが


【電波】マジでやばいサイト見つけたwwww


 と言うもので、定期的に今でも同じタイトルでスレが立っているようだ。

 最近は、アニメ系の板くらいしか見てなかったからなぁ。

 どうにも現実でもネット上でも流行と言うものに鈍感になっている。

 あのつぶやく奴とか、個人情報開示する奴とか、どう楽しんで良いか判らなくね?

 リアルが充実している人達は、あそこでどんだけイケテル事をしたのかを書くらしいが

 どうにも俺には、真似できない。


「俺のターン!!」

「俺は今日は仲間で集まってバーベキューしたぜ!!」

「このイベントを提示する事で世の非リアは死ぬ!」


 イイネ!


 みたいな。

 あれどんなリア充イベントが一番強いんですかね?

 カードゲーム化して欲しい。


 完全に話が逸れた。


 つまり俺は流行に乗り遅れ、既に定期的にダラダラと

 このブログの御呪いとやらをネタにしたり、運営者の魔術師に萌えてみたり

 「もう許してやれよ」とか定例ネタを繰り返すだけのスレに迷いこんだだけのようだ。


 しかし、俺はいつの間にか熱心にこのブログを読んでいた。

 書いてある事は荒唐無稽なのだが、彼女が組み立てたと言う魔術理論は

 どうにも俺の中で未だに燻っている中二心をヒートさせるに足りる物だったからだ。

 ネタにされながらも定期的に語られるのは、完成度が高いからだろう。

 もしかしたら有るかもしれないと思わせてしまうだけの説得力がそこにあるのだ。


 ちなみに主に何でもネタにして雑談するのがメインのこの板ではこのように主に痛いネタとして扱われているが

 オカルト関係を真剣に扱う板では、真面目な考察や、魔術の実施の結果報告等も書き込まれており、

 このブログの信者とも呼べるような書き込みも多数存在していた。


 ミエナイブログに書かれている魔術には難易度がレベル1~レベル5で設定されており


 レベル1は一般人でも使用出来る物。

 レベル2は見習いの魔術師程度で使用出来る物。

 レベル3は一般的な魔術師で使用出来る物。

 レベル4は熟練の魔術師が到達出来る可能性が有る物。

 レベル5は伝説クラスの力が必要な物。


 となっていた。

 ちなみに自称魔術師のブログ主は、理論を組み立てるのは得意だが

 絶対的な魔力キャパシティが不足しているため、レベル3が限界であり

 自分の作り出したレベル4以上の魔術を誰かに実証して貰いたくて

 このブログを作り全世界に発信したのだそうだ。


 この辺も中二心くすぐりますね。


 ちなみにオカルト板では、レベル1は確かに効果が有ると言う報告が多かった。

 レベル1の魔術は、夢を自由に操る方法だったり、無くした物を探す方法だったり

 ちょっと生活が便利・快適になるおまじないみたいな物ばかりではあったが

 これが、信者と呼ばれるような存在も出てきた要因なのだろう。


 一方でレベル2以上になると、それこそ創作に出てくる魔法使いが使うような魔法になっており

 達成条件も厳しく一部明らかに痛い感じの人しか成功報告はしていなかった。


 そりゃ一般人は尻から炎出したりしないよね。

 と言うか、この魔術師は何でこんな魔術作ろうと思ったのか。

 可愛い顔した子が、これの理論編み出してる考えると興奮する。

 そりゃ、人気になるね、このブログ。


 レベル1はちょっと寝る前に試してみたくなるような物が多かったが

 レベル2~レベル4は、簡単に言うと料理番組を見てレシピをメモしてみても

 結局、謎の食材が大量に使われており、簡単には実行出来ないような感じだった。


 こうなってくると伝説レベルの力が必要なレベル5とは一体どんなものなのか。


 レベル5に該当する魔術はブログ内に一つしかなかった。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 『時空を操る魔術』 レベル5☆☆☆☆☆


 時間移動で有り、世界の移動

 ゲートを制御する事で、術者の望む時間軸への移動が可能。


 実行方法

 このブログを見ているあなたは既にこの魔術を実行しています。

 あなた自身が何かをする必要はありません。

 既に文字を介して、あなたの中の魔術脳にアクセスしております。


 あなたが強く望めば、願う時間軸に移動する事も出来るでしょう。

 但し、実際にこの魔術が発動するにはレベル5相当の魔力が必要です。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 なるほど。割とお手軽だ。

 確かにいきなりこんなもんが発動したら引き返せんな。

 これが書き込まれたのは2013年2月14日。素晴らしいバレンタインプレゼントだ。


 それから既に3ヶ月が経過しているが、特に何も世界には起きていない。

 そして現時点でこのブログを閲覧した、俺にも何も起きていない。

 残念ながら、この魔術が発動する事はこれから先も絶対に無いだろう。


 しかし、中々面白いネタサイトだった。

 今度暇な時に尻から炎が出る魔法だけはこっそり試してみたい。


 既に外は明るくなり始めていた。

 そろそろ寝ておこう。折角の土曜日を一日寝て過ごす事が無いように。

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