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魔王室攻略戦?

 さてと、魔王室に行くのは良いが観月さんにも連絡しておかなければ。

 そう言えば彼女は、今日学校に行っているのだろうか?

 もしも、行っているとすれば、今は授業中の時間だ。メールを打っておく事にしよう。



――――――――――――――――――――――

 to 観月さん

 お疲れー

 今日の放課後、時間ある?

 何かレヴィア先生が何か俺らに用事あるみたいだよ。


 PS そう言えば、お兄さんの様子どう?

――――――――――――――――――――――



 こんなもんだろう。

 メールは用件だけを簡潔に打つに限る。

 ……違うから。昔、メールアドレス教えて貰った子にはりきり過ぎて長文メール送りまくってドン引きされた経験とかは無いから。絶対に。

 後は、絶対に返信が遅くても追撃などはしない。

 それが俺の学んだ対女性用メール術。薄っぺらいって声がどこからか聞こえるが気にしない。

 普段ならば、この後メールが戻ってくるまで、メールセンター問い合わせとかし続けるのだが

 観月さんは程無くメールを返してくれた。良い子だ……



―――――――――――――――――――――――――――

 to 桐嶋さん

 (。`・д・)お疲れ様です!

 放課後は全然暇です(`・ω・´)キリ

 あ……魔道書探し忘れたわけじゃないですよ・・・(・∀・i)タラー・・・

 レヴィアさんからの呼び出しですか……魔術戦絡みですかね(-ω- ?)

 兄の件は、何とかなりそうなんで、今度お邪魔させて下さいね!!

―――――――――――――――――――――――――――



 取り敢えずこのメールは保存しておこう。永久保存版だ。

 今までの俺の人生に足りなかったのはこういうメールだよ。うん。

 そして、変態お兄さんの件もどうにかなりそうで良かった。

 よし、今日は部屋を片付けよう。それが何よりも優先される。

 あと、メールを返しておかなくては……


 その後何度かメールのやり取りをして、今日の十六時に魔王室に出向く事になった。

 今から七時間くらい掃除して、それからレヴィアの所に出向く事にしよう。

 

◆◆


 十六時、俺と観月さんは合流し、特別教室棟魔王室前に居た。

 本当に何をする教室なんだ、ここは……

 

「こんな部屋、元々の学校にありましたっけ?」

「学校の間取りまでは余り覚えていないけど……こんないかにもな魔王の城風にデザインされた教室は無かったと思うよ」


 その教室の扉が既におかしい。

 どこの大魔王様の居城かと言うような門構えになっている。

 魔術学園と化した我が校は、色々と地味に雰囲気が変わっている部分はあったが

 ここまで露骨に異世界を感じるのは初めてだ。

 ある意味で観月さんの家の門よりも開け辛い。


「……どうしましょうか?」

「入ってみるしか無いと思うけど……正直行きたくないな」


 まさかと思うけど、レヴィアの奴はここに住んでいるわけじゃないだろうな?

 だとしたら、今朝言っていた666の地獄とやらがここに仕掛けられている事になる。

 観月さんの家を曲がりなりにも突破出来たのは、レヴィアと言うジョーカーが有ったからだ。

 俺と観月さんの一般人コンビ(?)では、とてもじゃないが、罠が張り巡らされた魔術師の居城など突破出来ないだろう。


「何も罠が無いと良いけど……」

「罠が有ったら、その時点でアウトですよね」

「ここは……オメガナザウィーネの出番だな」

「!!…………バカ……桐嶋さんのバーカ!」

「え、何それ傷つく」


 どうやら観月さんにとってオメナザは禁句のようだ。

 ちょっとキャラが変わってる。今日はこのネタでの弄りはこれくらいにしておこう。


「さて、冗談はこれくらいにして……実際に開けた瞬間に光の柱とか発動しそうで怖いんだよなぁ」

「……そーですね」


 あ、やっぱりちょっと怒ってる。何時もより反応が素っ気無い!

 ど、どうして俺は……イラン所でイラン弄りを入れてしまうんだ。


「あの……ごめんね」

「別に怒ってないですもん……」


 くそう……そういう顔するからついやっちゃうんだ!

 もう良い。開き直った。観月さんは今後も弄る。弄り倒す。それが俺の矜持。

 嫌われても構わない。どうせ元々、十年前から現在までもてなかったんだ。


「あの……変な決心してないですよね?」

「別にー……シテナイデスヨ」

「う、ウソです!何か怪しいです!」


 どうも俺の心の声は時々周囲に漏れてる気がする。気をつけよう。


 俺と観月さんが魔王城門前であれこれやっている間に時間は既に三十分経過していた。

 このままだと、今日は門の前でどうするかを決めかねて帰る事になりそうだ。


「いや、もういっそ……帰るか」

「ええっ!?レヴィアさんに呼ばれてるんですよね?」

「でもねぇ……普通の教室なら入る気もするけど、これじゃあ……帰ろう」

「ほ、本気ですね」

「俺は何時でも本気だよ。何故か本気と取られない事が多いけど……」


 俺は踵を返し、魔王城門前を後にする。

 観月さんも困惑しながらも、俺の後を追ってきた。

 俺達が数メートル歩いた所で、背後より地鳴りのような音が響く。

 振り返ると、まさに魔王の城門が開かれようとしていた。


「……あれ?開いたな」

「開きましたね……」


「開いたなじゃない……!何分待たせるんだ!その上帰ろうとするってどういう事だ!?」


 開いた城門からは怒りを露にした金色の魔王様が現れた。

 どうやら俺達の動向を中から見ていたようだが……やばい。会話聞かれたか?


「何時まで経っても門の前で動かないし……何を警戒しているんだ!」

「普通は、こんないかにもな物を見せられたら警戒するんだよ。ここがお前の家なんだろ?」

「ふん、我が居城の前に臆するとは……それでも禁忌を侵そうとする魔術師か」


 どうやら俺の予想は当たっていたようだ。良かった特攻しなくて。

 そして、こいつが無視されるのに耐え切れず自分から出て来てくれる寂しがり屋で良かった。

 世の中の魔王様もみんな、こいつみたいな感じだったらラストダンジョン攻略も楽なのに。

 ……きっとクソゲーって言われるな。


「フッ……バカめ。ノコノコと姿を現したお前の負けだ。俺の策に掛かったようだな」

「な、何だと……!?」

「そ、そうだったんですか!?」

「その通りだ。今の俺の手持ちの魔力では、金色の魔王擁する666の地獄を突破出来る可能性は低かったからな。

敢えて、お前を焦らして、出てくるように仕向けたと言う訳だ」

「まんまと引っ掛けられたと言う事か……良いだろう。今回は負けを認めてやる。だが……次はこうは行かないからな」

「流石ですね!桐嶋さん!」


 ……素直だ。二人とも素直な反応だ。

 もちろん普通に帰るつもりだったよ俺は。

 決して俺は策士等ではない。ただの営業マンだ。

 何となく上手くいきそうな感じだったから、ハッタリを入れてみたんだが……

 ここまで素直だと……まだ罠があるんじゃないかと逆に疑ってしまう。

 まだ余り中には入りたくない。


「それで……俺達を呼び出したのは、この魔王室攻略をやらせるためか?」


 こいつは、今朝も俺達が来なかった事を恨めしく思ってたからなぁ。

 この世界では勝手に人の家を攻略しちゃうのがデフォルトなのか。

 レヴィアだけの自分ルールなのか、未だに良く判らない。


「それも有る。だが……本題は違う」

「交流魔術戦に関わる事ですか?」

「ふん、そんな物は前にも言ったが、私だけで十分だ」

「だったら、何の用だ?」

「お前が言ったのだろう?『時空を超える魔術』を追いたいと……」

「桐嶋さん……」


 観月さんが心配そうに俺の方を見ている。

 昨日の件でちょっと心配を掛けてしまったようだ。


「ああ、そうだな。禁術に興味が有るとは言った」

「ならば……我々で作り出してみようではないか禁断の魔術とやらを……!」

「わ、私達で?」

「『金色の魔王』『混沌の支配者』『虚空の姫君』……我々三人ならば世界すらも作り変える事が出来るだろう」


 字面だけ並べると、確かに何か凄い事が出来そうだが、実は一般の方が三分の二を占めているんだよなぁ……

 尤も、そんな事を言っている場合ではないのだが。


「故に……我々三人による研究グループ!禁術研究会を立ち上げる!」


 俺の胸中とは無関係に、レヴィアは高らかと得意顔で宣言した。



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