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第八回

「それよりさ、お母さんどうなのよ」

 単刀直入に要点を突き、智代が訊ねる。無愛想で可愛げが全くない・・と、圭介は姉の顔を窺って見る。

「…、余りよくはないんだ。三島先生は…、母さんの担当医なんだけどね、早急に手術する必要があるとおっしゃってね…」

「で、治るの?」と、またも矢継ぎばやに迫られては、流石に圭介も、『おい、ちょっと待ってくれよ!』と、腹立たしく思った。早急に事を構えるのは姉の性格である。圭介もそれは分かっているのだが、事が事だけに、出来るだけ穏便に進めたいと思っていた矢先なのだ。だから、少しだが腹も立ってくる。とにかく、その気持ちを押さえつけつつコップの水を少し飲んで、

「…最前は尽くすとは云っておられたが、…なにせ進行性の癌だからとも。今日明日、どうこうってことはないらしいけど、覚悟はしておいた方がよいと、まあそういう云い方をしておられた…」

「あなた、肝心のこと云ってないわよ。癌は分かったけど、どこが悪いのよ?」

「あっ! そうだったか? 胃癌で、ステージ、進行段階なんだそうだが、初期じゃあない」

「そうなの…、それで母さんには?」

「胃潰瘍と云ってある…」

「私は塾があるから、あなたが主になって看てやってね。勿論、私もそれなりに付き添うから」と、幾分か優しく云う智代である。

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