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第七回

 即ち、患者の死への恐怖心を煽るべきでないとする否定論、余命を明確に伝えることにより、患者に残された余生を有意義に生きて貰おうという肯定論である。

(いず)れが是で孰れが否なのか・・は見解が分かれるところだが、圭介は告知が宣告にも等しいと考え、最後までしないでおこう…と、考えていた。

━━ それは、余りに(むご)過ぎる… ━━

 母を欺くこと、それは取りも直さず自分を欺くことである。だが彼は、ただそうしよう、そうすべきだ…と巡っていた。

 ガーリック・トースト、コーヒー、ゆで卵、それに蜜柑の半切り&ミニサラダが一セットになった朝のサービスメニューは、ほどよい腹具合にする。以前にも入ったことのあるこの店は、病院から丁度もってこいと云える好都合な距離にあった。圭介が人心地ついた頃、姉の智代が店にやってきた。学習塾を経営するというなかなかの才女で、やや高慢ちきな眼鏡を会話の都度、弄る仕草が気に入らない圭介なのだが、母の病状報告と今後の対処法について相談せねばならない時であり、姉の一挙手一投足をとやかく云っていられる場合ではなかった。唯一の近親者として、今日は三島と会わねばならない。

「姉さん、モーニング、注文しようか?」

「いいわ、軽く済ませてきたから…」

 対峙して座った智代へ、開口一番、下手に出たのだが、云わぬ方がよかった、と圭介は後悔した。軽いジャブを出して、逆にアッパーを食らった気がした。

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