表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/43

第五回

 母に対して、背を180度回転させたとき、圭介の面持ちは心なしか曇っていた。

 行きつけのファミレスで簡単な夕食を済ませ、ふと腕を見る。既に六時は回っている。自宅に戻る気分も希薄で、パチンコへと心が急いた。

 いつもならば集中力を浴びせて、大よその場合は箱の一つや二つは積む圭介なのだが、今日は何故か駄目だ。サラリーマン医師のような三島の宣告の声が、今時分になって氷解し、身体中を駆け巡る。焦り(もが)くほど、台の銀球はズンズン減少する。継ぎ足しても確変が来ない。何かが違うが、違うのは自分だと圭介は思っていない。そして、結果は惨憺(さんたん)たるものとなった。

━━ こんなこたぁ、今までなかった… ━━

 帰り道に、そう巡る圭介であった。

 そんなこんなで朝となり、目覚めた折りにも熟睡感がない。心の片隅には三島の声があり、不安感から浅い睡眠に終始したのだ…。ブラックの濃いコーヒーを啜りながら、虚ろに圭介はそう思った。

 会社へは事情が既に云ってあり、課長の倉持も、「次長、どうぞ…」と協力的だったので、二日ほど休ませて貰うとは告げた。だが、部長が傍らの席で睨みを利かしている手前、倉持にも部長の前で一応の了解を取った方が出世的に得策だと閃いて、

「申し訳ないが、そういうことだから宜しく頼むよ…」と発したのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ