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第二十八回

 バックの蛍光に照らされ、そこには何枚かのCTスキャンされたフィルム画像が鮮明に浮かび上がった。

「やはり思ったとおりの結果でした。肝臓付近のリンパ節転移です。誠にお気の毒ですが、余命、約半年とお考え下さい。勿論これは、よく考えてのことですので、体力の衰弱が早ければ、当然それ以前の危険もあるということですから、お含み置き下さい」

 フィルム画像の病変部位を(ポインター)で示しながら、三島は丁寧な事務的口調で話し続ける。

「…、先生、母にはどのように…」

「再入院して戴けば、薄々はお気づきになられるでしょう。敢えて説明されない方が…、それは患者にとって(むご)いことですから」

 ━ 死の宣告 ━ これは、人にとって、究極の恐怖であろう。宗教、その他、何らかの想いに(すが)れぬ人にとって、死は最大の恐怖の筈である。

 末期癌者へのホスピス・ケアは、既に死が避けられず、その瞬間を待つしかないのであれば、その人らしい豊かで穏やかな生の終焉を全うして貰おうという医療手段である。医療の“生と死”と併せ、精神的な“生と死”をケアしようという目的だ。

 圭介は、それまで知らなかった専門書を紐解いて、図書館でこうした知識を得ていた。三島に訊かずとも多少は分かった。しかし、医師から明確な答えを聴いて安心したかった。

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