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第二十三回

夫を亡くし、出来の悪い自分と高慢ちきな姉の二人を育てた母とは偉い違いだ…と、圭介は思う。その耕二の来訪である。

「やあ、久しぶり。圭介君、元気でやってるかい? 国際電話で姉さんの入院のことは聞いたんだが…。海外暮らしってこともあるが、なにせ僕も来年は定年退官の(じじい)だからさ、すぐに動けず今になってしまった。済まない…」

「そんな…、頭を上げて下さいよ、どうも思ってやしませんから。それよか、びっくりしましたよ、日本に帰ってらしたんですか? 母も喜ぶと思いますよ。奥の間におります…」と、玄関で叔父を迎えた圭介は、幾らか面食らい、あたふたと、そう云った。

「そお…、じゃあ」と耕二は無遠慮に上がり、奥の間へと入った。

 間もなく、『姉さん、少し痩せたんじゃないか』と云う話し声が圭介の両耳に小さく響いてきた。 ━ ちっ! 叔父さんも、つまらんことを云うもんだ ━ とは思うが、事実なのだから仕方がない。圭介は奥の間へと急いで入り、話題を変えた。耕二は別に偉ぶる素振りこそ見せないが、どこか上から見下すようなところが雰囲気に漂っている。側のソファーに座る昌は、弟に少し痩せたんじゃ…と云われたことで、表情を少し曇らせていた。そこへ機転の利く圭介の登場である。耕二自身も、いらんことを云ってしまった…という自責の念もあり、積極的に耕二の話題へ加わって、前言のミスを回避した。

「来年からは、ゆっくり出来るんだよな、叔父さん」

「ああ…、好きなことをして、のんびりさ…」

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