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第十五回

 どれほど時が流れたのか知らないが、智代に肩を叩かれる。

「圭ちゃん…」と声がして、ふっと我に帰る。

「ナースセンターが呼んでるわよ」

 ん? と瞼を見開くと、井口という看護師の病室を去る姿が一瞬、眼に飛び込んだ。

 二十分後、圭介と智代はカンファレンス室に呼ばれ、三島に今後の治療方針、余命、その他の詳細説明を受けていた。三島は、圭介が想い描いていた性格とは裏腹に律義な医師とみえて、実は仕事に対して責任感をもっていたのだ。親切丁寧に昌の今後について語ってみせる姿には、最初に出会ったときの事務的な態度は微塵もなかった。

「そういうことで、定期検診をお受けになった時期からして、その時点では、恐らく病変、粘膜表面の異常もなく内視鏡でも見つけられなかったと思います。…手術は来週の木曜に予定しております。それまで進行を止める措置として、放射線、抗癌剤投与を行いますが、EMR、内視鏡の粘膜切除術は望めそうもありませんので、胃の出口の幽門部を残し、胃の三分の二以下を切除する縮小手術を施す予定でおります。リンパ節のマーカーが幸い良好で、転移が認められないと考えるからです。術後に再発がなければ、五年生存も可能ですが、スキルス進展様式ですと再発率は非常に高く、抗癌剤による化学療法を施しても一年が限度でしょう。恐らく、リンパ節への再発、腹膜播種などが考えられますが…。…まあ、やってみなければ分かりませんが、やれる限りのことはさせて戴きます」

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