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第十三回

「そうですか。…でしたら先生もご承知だと思います。今…十分前ですね。もう戻ってこられるでしょうけれど…」

 若い看護師は、かなりの長身で、しかも痩せ(おもて)である。最初は戻れと云ったものが、約束していると聞くと、腕時計を見て対応を少し躊躇(ちゅうちょ)した。

容貌は取り分けて美人というのでもないが、どこか男をそそらせる妙な色香を漂わせている。昌の病室を受け持つ井口という看護師と比較するつまらない自分に、

━ 俺は女には、からっきしだ…。駄目だ駄目だ… ━ 

 と自省して、「それじゃ、とりあえず二階で待機してますので、先生が戻ってこられたら宜しく…」と、軽い会釈をして二階へと取って返す圭介である。

 二階の内科病棟、204号室である。圭介はそこへと近づいているつもりなのだが、類似した病室が通路の左右にずらっと並んでいて、母の病室だけが目立った特徴を兼ね備えている訳でもなく、宝籤(くじ)の当選番号を探す気分で病室番号を見て進む。(いず)れは慣れてスイスイだ…と、妙ちきりんなことを思いながら、(ようや)く母の病室へと辿り着いた。

 病室内の四床のベッドには、介添えの家族と思しき三人が、戻ってきた圭介を一斉に見た。そして、三人はそれぞれのベッド脇のチェアーに座って、軽く会釈をする。圭介も、無視する訳にはいかないから、それに(なら)って同じように礼を返した。

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