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第十二回

 本当のところは、圭介の方が眠いのだ。二時間も早く目覚めて熟睡できた感じが全くない上に、体がけだるかった。姉はシャキ! っとしていて、静かに昌の寝顔をほんの束の間、見ると、室外廊下へと出た。圭介も従ったが、

「あんたさぁ、ナースセンターへ行って、先生のご都合とか面会場所を訊いたら?」

 と、昌や他の患者に聞こえないように気遣って、小さい弱めのトーンで呟いた。

「ああ…」と、圭介は返して、姉を残してナースセンターへと向かう。二階の内科病棟をエレベーターで直下して一階へ出ると、俄かに人熱(いき)れがムッとする。多くの外来患者などが辺りを右往左往して徘徊している。そして、各科の待合椅子に座る大概の人々は、何をするでもなく、ただじっと自分が呼ばれるのを待っている。勿論、数人の声高に話をしたがる人々もいるにはいるが、辺りの静まった雰囲気に、すっかり浮き上がってしまっている。圭介はそんな状況を自らの両眼のアングルに捉えながら、軌跡を描いてナースセンターへと急ぐ。一階は、二階とは異質の雑踏感があった。

「204号室の土肥です、…内科病棟の。三島先生にお会いしたいのですが…」

「外科の三島先生ですか? 一寸(ちょっと)、待って下さい。……、三島先生は只今、回診中ですので、終り次第、二階のナースセンターへ連絡致します。済みませんが、そちらへ戻ってお待ち下さいますか?」

「あのう…十時に会うお約束なんですが…」

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