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第一回

(いったい何をしてんだ俺は…節操ってもんがねえな。チーンジャラジャラだってよぉ! やってらんねぇよぉ~~!!)

 土井圭介は、一人、寝室のベッドに仰臥して自らを嫌悪するが、声には出せず、天上の一点を睨んで、じっと見る。

 昨日は大負けして、少しの時間だけ…と考えていたものが、結局は何時間も潰してしまい、数万円を屑にしてしまったのである。それが何故だったのかは分からない。いつもなら、ぐっすりと眠っている筈だが、今朝は二時間以上も早く目覚めてしまった。五十の坂にも掛ろうというのに、…情けない、と今になれば思える。その自分の心根の弱さもさりながら、昨日の惨めさが後を曳き、目覚めたときから苛まれている。

 実は、真の原因がそんな悠長なことではないのを彼は充分、認識していた。それなのに、弾をはじいて没頭していたのだが、次第にのめり込んでしまったのが実態である。そうなのだ。圭介は没頭するまでは、実は全く別の一件で悩んでいた。それなのに数万円を注ぎ込んで徒労と化した…、その事実が、そう行動した自分が許せないのだった。病院からの電話で会社を早退したとき、「残念ですが…、病状はかなり深刻でして…。スキルス性・・つまりあのう…進行性の癌なのです。ご本人には当然のことですが伏せてあり、潰瘍と申しましたが、緊急入院をして戴きました」と云われたことが胸を打つ。事務的で、感情を入れぬ口調の三島が、圭介にそう説明した。圭介は、動揺の走る感情を内にブロックして、外っ面には出さない。いや、・・出せない。

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