序章
「あとはここだけ…」
風が冷たくなってきた9月のある日のこと。
季節の節目を機会に、部屋の模様替えも兼ねて片付けをしていた。
とにかく机の中から部屋の隅々まで、片っ端から手をつけた。
思ったほどではなかったが、やはり片付けるとスッキリして見える。
そして残すはあと一つ。本棚だけ。
定期的に部屋の片付けはしている。
だけれど、思えばずっと本棚には手をつけていない。
本を買ったらすぐに読んで、読んだら空いているところにしまう。
ましてや、空いているところにしまうだけなので、和音順に並んでいるはずもなかった。これの繰り返しのお陰で、本棚は本だらけ。
…まぁ、軽く1000は越えていると思う。
「あ、ははは…わ、我ながら恐ろしいな。」
とりあえず和音順に並べていくことにした________
________日暮れ頃にはだいたい区切りもつき、ひと段落していた。父さんもさっき帰ってきたみたいだ。
夜ご飯までまだ時間がある。
(本…読もうかな。)
と、さっき整理が終わった本棚の前に立つ。
(…ん?この本…。)
ふと一冊の絵本に目が留まる。
整理しているときはあまり意識はしていなかったこれは、
「Another would・・・もう一つの世界か。」
タイトルは英語で書かれたものだったから、母さんが訳してくれていた気がする。英語で書かれているのはそれだけで、中は日本語で書かれている。昔、母さんがよく読み聞かせてくれた思い出の絵本だ。
「懐かしいなぁ…どんな話だったっけ。」
幼い頃を思い出すように、絵本をめくる。
*宇宙の遥か遠いところに、地球によく似た星があった。
植物、人間、動物、虫。すべてのものが地球そっくり。
しかし、その星には名前が無かった。
だから地球に住む人々はその星を「Another would」と呼んだ。
Another wouldは、いえば星自体が王国だった。
王国の国王と女王との間に姫が生まれる。
姫はすくすくと成長していく。姫が15歳になったある日のこと。
町で騒ぎが起こる。
姫はいてもたってもいられなくなり、町へ飛びだす。
姫はそこで、正体不明の集団が、町を荒らしているのを目撃する。
もちろん王国中はパニックになっていた。
すると、そこに騎士たちが現れる。
彼らは「セブンナイツ」と名乗っていたが、6人しかいない。
彼らは、そんなこんなで、あっさり正体不明の集団を撃退していった。
姫は、一安心。
すると、騎士の一人が姫を見つけてこういった。
「最後の騎士はあなたです。姫様。」
そして姫は仲間に加わった、と。*
「…って、思ったより難しいぞ?この絵本。母さん、かなり分かりやすく読んでくれてたんだな。」
(感心するよ、母さん。)
…ただ気になったのが、所々おおざっぱなところだな。
(まあ絵本だからしょうがないか。)
「本当にこんなことがあったら、びっくりだな。」
まあ普通に考えて、無いと思うけど。
ただ、これと似たような流れで、似たようなことが私に起きそうな、そんな気がしてならなかった。
ふと気がつけば夕食の時間。
「りっちゃーん!ご飯できたよー。」
母さんが呼んでる。
「いまいくよー。」
絵本を戻しながら返事をする。
この後、予期せぬ対面があるのも知らずに…




