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2話

無理やり分けて投稿しますので、内容のぶつ切りさ加減はご容赦ください。

 (とお)()(ふた)()(そう)()の兄弟は、名前からして分かるように双子だ。そっくり、というか全く同じ顔をしている筈なのだが、接していてもなかなかその事に気付かれない。それは何故か。

 同じ表情に同じ髪型をさせたのなら、二人はドッペルゲンガーに等しくなる。つまり、共通しているのは髪の色合いと目元のみで、それ以外が全然違っているのだ。

 そう。二人を別々の人間に仕立て上げているのは、性格に一存していた。

 弟・双夜はお子様的な興味心が強く、気になることがあれば後先考えずに突っ込んでいく。クラスではムードメーカー的な存在で、運動会だと兎伊と並んで応援団をやっていた。騒ぐことが大好き、楽しいことが大好き。でも、人を思い遣れる良い奴、そんなタイプ。

 一方、兄・双葉は理知的で大人っぽく、また双夜と違って責任感も持っている。クラスではよき相談者としてみんなに頼られる事もしばしば。無駄といえる言動が余り無いと思われがちだが、限られた中では意外にはしゃいだりする結構な裏表あり、そんなタイプ。

 また、双夜は本人曰くつんつんヘアー(兎伊曰くとんがりヘアーだがさして変わりなし)に強く弧を描く眉、猫か何かの小動物のような口元。双葉は兎伊と同じ位の長さのストレートにゆったりした円を描く眉、仲の良い人の前では緩く微笑むように上がった口元をしている。因みに、初対面やさほど仲の良い訳でない人の前では、眉も口元も一直線の平行線だ。

 そして序でに双夜は前髪を左分け、双葉は右分けにしている。

 そういうわけで、彼ら双子は周囲から余り似ていないとよく言われていた。

 ただ、家族と緋斗、兎伊の間ではそっくりだと言われていたりするが。



「今日は理科準備室の先生が早退されたから、そこの掃除分担の人は帰っても良いぞ。ただし、代わりに今度の職員会議のある日にすることになった。いいかー、サボるんじゃないぞー」

 一部の生徒から拍手、次いでブーイングが為されたが、それを気にすることなく、緋斗は双葉達に話しかけていた。

「双葉」

「あれ、緋斗。どうかした~?」

「双夜、僕に話しかけられたのに、お前が答えてどうする」

「気にしなくていい。二人に用があったんだ」

 苦笑いで双夜をたしなめる双葉だったが、緋斗の言葉に、それなら良いか、と改めて返事をする。

「何かあったのか? 緋斗」

「この後暇だったりする? 良かったらちょっと聞きたい事があってさ」

「兎伊はいないの?」

 緋斗の後方や左右を見回して心持嬉しそうな声色で尋ねる。が。

「今、先生に呼ばれていった。直ぐ戻ると思うけど」

「いるのか~」

肩と首を同時に落とした。 

 がっくり、といったその様子に緋斗が不思議そうに問いかける。

「いると拙いことでも?」

「そーいうんじゃないけど…」

「俺にからかわれると思って心配なんでしょ~。安心して良いよ? 今は遊んだりしないからさ」

「うわっっ!!」

 訪問者、ではなく訪ね先の背後から彼はやってきた。

 話題の主の、突然の登場にかなり驚く。けれど台詞の通りにそんな彼をからかうことなく、兎伊は他の二人と話し始める。

「お昼休みに小耳に挟んだ噂があってね。興味あって詳しく聞きたいと思ったんだ」

「噂、ね」

「確か、『真夜中に光る桜の木』とかいうような噂話。二人なら知ってると思ったんだけど…」

「ああ、あの噂。良く知ってるよ。あれの事なら、場所、移動して話そうか。双夜」

「おうっ!」

 いつの間に復活していたのか、会話を聞いて双葉の考えを先んじて読みとっていた双夜が、三人分の鞄を自分の机の上に置いた。緋斗、兎伊、それと自身の鞄だ。

「あ、ありがとう双夜」

「いいって、いいって。どうせなら、現場で話して聞かせた方が面白そうだしな。行くぞ~、三人とも!」

 言うが先か、自分の鞄を背に負うと走り出して行ってしまった。

 困った奴だと笑いながらも、双葉は緋斗と兎伊を案内して、噂の現場、(うつ)ヶ(が)(さき)公園へ向かった。

 そう。

 彼らの掃除分担場所は、理科準備室。

 拍手とブーイングの主は、双夜を含む、一部の生徒。


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