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10 素人がすごいお宝持ってきた

 やれやれ、自分で()いた種とはいえ、たて続けに一見(いちげん)さんとは面倒だなと思いつつ、マジョリカは値踏(ねぶ)みするようにキャロラインを見あげた。


 これはあれですね、転売すれば大きな利益を得られるなどと悪い奴の口車(くちぐるま)に乗って(くず)をつかまされた口ですね。


 マジョリカは席を立って軽く会釈(えしゃく)するとアレン大佐が座っていた椅子に手をのばし着席をうながした。


 キャロラインは椅子に座りバッグを(ひざ)のうえに置いた。


「まず商品を見ないことには」


 ゆっくり語るマジョリカの顔は商品を見るまえから憐憫(れんびん)の色が浮かんでいる。

 今回の失敗にめげず強く生きてほしいとその目は語っていた。


 しかしキャロラインがバッグを開けて青い光りが室内にあふれ出したとたん、取り()ました顔が一変した。


 キャロラインが女神像を机に置くや否や、マジョリカは机上に身をのり出して像に鼻先がつきそうなほど近づいた。そして金髪も白肌も照りかえしで真っ青にしながら食い入るように像を見つめた。


「キャロライン、これが何だか知ってるの?」


 キャロラインは下手に答えたら価格に影響すると思っておし黙った。そんな彼女の心情をマジョリカはすぐに察した。


「盗人街で取引するのですから過剰に構えてしまうのも理解できます。しかしわたくしは金貨に誓いをたてた身です。商いは信義に(のっと)り決して相手をペテンにかけず適正価格で取引します。もし商人の道をふみ外すようなことがあれば死んでもいいとさえ思っているのです。どう、信用していただけるかしら?」


 なんだかよく分からなかったがキャロラインはコクリと(うなず)いた。


 自らの信条を宣言したマジョリカは、だからエナジーコアが如何(いか)なる物なのか律儀(りちぎ)に説明した。


「これは女神の彫像をかたどっているけれど、中身はエナジーコアとよばれる、旧時代でもっとも重宝(ちょうほう)された動力核(どうりょくかく)です」


 マジョリカは両手で彫像をつつむと(うやうや)しく持ち上げた。


「エナジーコアの発明で人類は繁栄の頂点に達しました」


 マジョリカはエナジーコアをうっとり見つめながら言った。


「でも今、世界はボロボロじゃない」キャロラインは反論する。


 マジョリカはエナジーコアを机に置き「そうですね」と同意した。


「人造人間の反乱で世界は大混乱に陥りました。なんとかやつらを全滅させたものの人類も大打撃を受け、その傷は100年経った現在も癒えることなく、むしろ衰退の一途(いっと)を辿っている」


 そこまで言うとマジョリカの顔がぱっと華やぎ「でも!」と高い声を発した。


「エナジーコアがあれば世界中のエネルギー不足を解決できます!うしなわれた文明を復興させることだって不可能ではありません!」


 マジョリカはキラキラした瞳でキャロラインを見つめた。


「で、これをいくらで売ってくださるのかしら?」



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