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Perpieta  作者: 大治
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シルヴィ(4)


人の手が長い間加えられていない森。首を伸ばしてもその先が見えないほど木々が密集して生い茂り、その間には人の侵入を阻むかのように下草が生い茂っていた。採集をしなければならないので、城から三日ほど歩いてかなり遠くまで来てしまった。


密集して生い茂る下草。剣で懸命に刈り進んだが、果たしてここで見つかるだろうか?という思いでミナを振り返ると、ミナも「これで合ってるのかな?」という目で僕を見ていた。二人とも緊張したまま、あたりを見回した。目に見えるゴブリンよりも、こういう未知の恐怖の方が怖いものだった。


「まあ、それでもゴブリンの方が怖いけどな。」


しかし、初心者の幸運だったのだろうか。ほどなくして、採集依頼の一つであるブルーシャワーという花が見えた。それも群生しているのか、一目見ただけで10本以上はありそうだった。


「ええと、採集方法は…花の部分だけを切り取って、アルシリアンの瓶に入れる。」

アルシリアンの瓶は、保存期間を少し延ばしてくれる魔法の道具で、アルシリアンという魔法使いが開発したそうだ。


「一本20シルバー以上するのに、もう13本も見つけたのか。」


「運がいいな?」

「本当に!もうこんなに稼げるなんて想像もしてなかった。正直、ちょっと怖かったけど。」

「どうする?もっと探してみる?」

「当たり前でしょ!こんなに運のいい日もそうそうないだろうし。」

「よし、行こう!」


ミナのテンションが上がったのが感じられ、下草を刈るのさえ楽しくなってきた。


そうして一時間、二時間と森の中をさまよい、少し疲れてきた頃、キノコが一つ見えた。


「あれ??これ、合ってるかな…?」


スターベイルというキノコ。青色に白い点のようなものがついているキノコだが、模様が少し違うようにも見え、よく分からなかった。


「とりあえず入れとけ。いいから。」

ミナの意見を積極的に受け入れ、とりあえず入れた。


「少し休もう。」


もしあれが当たりなら、もう3ゴールドも集めたことになる。この辺で引き返してもよかったが、ここまで来るだけで3日。そして一日でこれだけ稼いだのだから、欲が出るのは当然だった。少なくとも3日はやらないと損じゃないか?ミナもそう思ったのか、そろそろ野営の準備を始めた。食事はただ干し肉を噛んだ。午後8時から午前8時まで、3時間交代で不寝番をすることにした。かなり疲れていたミナが先に寝ることにした。すべては順調だった。もちろん、一度討伐すれば80ゴールド以上もらえる討伐依頼に比べれば報酬は少ないが、往復の時間まで考えれば、7日間で安全に1.5ゴールドも稼いだことになる。


しかし、森の漆黒の闇を見つめていると、恐怖が襲ってきた。もともと暗闇が怖いと思ったことはなかったが、ゴブリンを経験してからは、暗闇が訪れると恐怖を感じるようになった。あちらからこちらを見ているのではないか?という気がしてくるのだ。首を振ってミナを見た。仲間を見ると、少しは心が落ち着いた。いつの間にか時間になり、ミナを起こした。


毛布に入って眠りについてから5分は経っただろうか?いや、それほどでもなかった。色々な雑念が浮かんできて、まさに眠りにつこうとした瞬間だった。


「シルヴィ、起きろ!」


「エクスプロージョン!」

ドォォォォン!!!!!!!


「早く!!」


不意に鳴り響く爆発音に意識がはっきりとし、周りを見渡した。またしても包囲されていた。遠くから包囲してくるゴブリンたち。


「あっちへ行かないと!!起きろ!早く!」


ミナは羅針盤で道端の方向を確認してから、魔法を使ったのだった。兜をかぶり、剣を抜いて駆け出した。


「うおおおおおっ!」


ゴブリンが粗末な石斧を振り回した。略奪に慣れた奴らではないようで、幸いだった。軽やかに避け、両手で剣を握りしめ、ゴブリンの首を突いた。横から近づいてくるゴブリンを感じ取り、そのまま剣を引き抜いて横に振った。石斧の柄ごとゴブリンがきれいに切断された。


ミナはゴブリンが集まっている場所に、もう一度魔法を使った。

ドォォォォン!!!!!


「もう一回しか使えない!」


「行くぞ!」


前を塞ぐゴブリン二人を斬り倒し、道を開いた。しかし、後ろから「カン!」という音が聞こえた。


「あっ!!」


ミナがスリングで頭を打たれたのか、よろめいた。ミナを支えながら前に進んだが、さらに何度か飛んでくる石を剣で弾き返さなければならず、目の前には十数匹のゴブリンたちが見えた。駆け寄ってくるゴブリンたちをさらに何匹か斬り倒すと、ゴブリンたちが怯んだ。


「エクスプロージョン!!」

ドォン!!という音とともに、十数匹近くのゴブリンたちが倒れた。


包囲されている時とは違い、追いかけられている状況だったので、かなりの数が固まっており、今回は被害が甚大だった。ようやく再び距離を広げるゴブリンたち。これほどの被害を受ければ逃げてもおかしくないのに、聞いていた話とは違い、ゴブリンたちは僕たちを諦める気はないようだった。


「また逃げるか?」


しかし、板金鎧を着たミナの移動速度はゴブリンと変わらなかった。


「このまま戦うか?」


いやだ。いくら僕でも、この状況でそのまま戦って包囲されたら、絶対に生き残れない。腕は二本しかない。包囲されて攻撃される状況だけは、絶対に避けなければならなかった。


「ミナ、走り続けろ!」

「君は?」

「考えがあるから、心配しないで走り続けろ!」

「わかった!!」


絶えず飛んでくる石を弾き返していると、ゴブリンもスリングをしまい、石斧と槍を手にした。ちらほらと剣や鉄斧も見えた。ミナの後ろを守りながら、一緒に走った。その中でも足の速い奴らが僕たちに襲いかかってきた。

キン!

剣を持っていた奴だった。ゴブリンは剣に体重を乗せて前から斬りかかってきた。僕はそれを防御しつつ、力を抜いて自分のほうへ剣を引き寄せ、柄でゴブリンの剣を押し出しながら、左手でゴブリンの顔を殴った。その後、剣でゴブリンの首を貫き、再び走り出した。


それを何度か繰り返しただろうか。もはやゴブリンたちはついてこなかった。


「ふう…」

「死ぬかと思った。」

「まったくだ。」

「シルヴィ、君がそんなに強いなんて知らなかったよ。」

ミナの眼差しには尊敬の色が宿っていた。


頬が少し痒かったので掻きながら、何と答えていいか分からず、ただ笑った。

「頭は大丈夫か?」

「うん、重いけど、このヘルメットがなかったら大変なことになってた。」

「帰るか?」


時刻はちょうど12時を過ぎたところ。緊張が解けると、どっと疲れが押し寄せてきた。

「さっきのゴブリンの死体、もったいなくない?」

「うーん…」


もったいなかった。

しかし、今戻るのはあまりにもリスクが大きかった。


「じゃあ、ここで寝て、日が昇ったら行ってみよう。」

「うん。」


ミナの同意を得て、再び火をおこした。ミナの魔法のおかげで、火をおこすのは簡単だった。前回は木をこすり合わせなければならなかったが、魔法とは本当に便利なものだなと思いながら、今回は僕から先に眠りについた。


幸いにも、何事もなく過ぎた。

今思えば、ゴブリンたちが復讐に来るかもしれないのに、あまりにも無防備に考えていたのではないかとも思うが、死体を探しにまた来なければならない時間を節約できたのだから、良しとすることにした。


しかし、

ゴブリンの死体は存在しなかった。爆発の跡からして、間違いなくここだったのに、一体もなかった。葬式の文化でもあるのだろうか?そうでなければ、共食いの可能性も存在した。


「なんだ?」


「誰かいるのか?」

ミナが羅針盤を見ながら言った。


「いや、違う。それなら耳だけ切り取って行くだろう。」

不吉な予感がし始めた。


「そうだね。とりあえず、帰ろう。」


どうやら、城のほうへ行くのがモンスターも少なく、ついでに採集もできるので一石二鳥だった。一日中歩いたが、薬草は一つも見当たらなかった。しかし、人と遭遇した。


無言で視線を交わし、通り過ぎた。二人とも剣を差しているのを見るに、魔法使いではなさそうだった。魔法使いでなければ、特に心配する必要はなかった。火炎魔法使いこそが最も危険な存在だからだ。お互いの装備を確認し、ミナの短剣を確認すると、そっと間隔をあけた。敵対する必要はないが、緊張したままお互いから目を離さずに通り過ぎた。


エオス城では、略奪者は問答無用で死刑だった。ただでさえ首都から最も遠く、モンスターが溢れかえるエオス城で略奪をした場合、ただ死ぬだけでは済まなかった。しかし、どんなに刑罰が重くとも、捕まらなければそれで終わりだったので、略奪者は存在した。


時が流れ、夜になった。ミナの息遣いが一定になり、しばらくして人の気配が感じられた。


「ミナ。起きろ。」

「なんだ?」

「分からない。とりあえず起きろ。」


まず火を消した。こちらからはあちらがよく見えないが、あちらからはこちらがよく見えるものだ。


ブーンという音とともに、石が飛んできた。


タン!

「キキキッ!」

ゴブリンだった。

「エクスプロージョン!」

ドォォォン!!!

ケェッ!!

キエェェッ!

石が四方から飛んできて、それらをすべて弾きながら逃げた。ミナは頭を下げ、腕を上げて防いだ。タイミングを合わせて一斉に飛んできたら防げなかっただろうが、幸いにもそうではなかった。ゴブリンたちはそれ以上追ってこなかった。


「斥候部隊か?」

さらに2時間ほど歩いた後、再び野営の準備をした。ミナはまた眠りにつき、1時間も経たないうちに再びゴブリンたちが近づいてきた。


「ミナ、起きろ。ゴブリンだ。」

「また???」


もう一度魔法を使って逃げた。


キキキッ!ケッケッ!

ゴブリンたちの声がまるで笑い声のようだった。今回は4時間歩いた後、再び野営を準備した。しかし、またしても現れたゴブリンたち。何やら不吉な予感が的中してしまった。


「こいつら、まさか俺たちを狩っているのか?」

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