シルヴィ(3)
「こんにちは、僕はシルバーステル。」
だぶだぶの鎧によろよろした姿勢。もう一人はそれさえまともになく、粗末な剣を一本だけ腰に差していた。二人を見た途端、貧しい子供たちだということが分かった。彼らはきっと、僕よりもっと積極的に生業に飛び込まなければならない状況なのだろう。
「警備兵の人たちが配慮してくれなかったら、僕もルベリスを採集できずに、この子たちと似たような状況だっただろうな。」
城壁の近辺は誰でも自由に出入りできる場所ではなかった。だからこそルベリスも残っていたのだ。
「セイアスと申します。」
「ベリックだ。」
12歳のベリックは、僕の剣をちらりと見た。
「みんな初めてなのか?」
「あ、いや、僕は初めてです。」
「…君は?」
「僕も初めてだよ。」
「じゃあ、経験者は俺だけか。」
ベリックの言葉に、何とも言えない찝찝한(すっきりしない)気持ちを拭えなかったが、気のせいだと思ってやり過ごした。
5人の方が安全じゃないかと尋ねたが、経験者であるベリックが大丈夫だと言うので、それ以上は言わなかった。
「どこへ行く?」
「目星をつけておいた場所がある。ここに行こう。」
「リトルヒルか…」
南東に10時間はかかる村だった。
近い所へ行きたかったが、
ベリックの話によると、近ければ近いほど難易度が上がり、ここは討伐に失敗した者もいないから、ここにするのがいいだろうとのことだった。その後、ベリックは経験のある自分がセイアスよりも多くもらうべきだと言い、セイアスの分け前から一部を自分のものにすることにした。そうして、僕が1、セイアスが0.5、ベリックが1.5の分配を受けることになり、いくつか他の話をした後、僕たち三人は依頼地へと出発した。
母さんにはゴブリン討伐だと言うと、間違いなく反対して無駄に心配をかけるのが目に見えていたので、3人でパーティーを組んで採集に行くと伝えた。初めての冒険。心地よいときめきで高鳴っていた胸は、ほどなくして冷え切った。
「だめだ。」
「どうしてですか?」
「お前たちが死んだら、ギルドは俺たちのせいにする。それに、俺たちができなかったことをお前たちができるはずがない。無駄死にしたくなければ帰れ。」
村の警備兵はきっぱりと言った。
「僕たちならできます。」
ベリックは抗弁し、僕は静かに見守った。
「だめだと言っている。帰れ。」
そばにいた村長が、僕の剣をちらりと見た。
「少し待ちなさい…。お前たち、本当にそうしたいのかい?」
「はい。」
「それなら、村へ行って依頼を放棄すると言ってから、また来なさい。そうすればやらせてやろう。もちろん、討伐に成功すれば報酬は同じだけやる。」
おそらく、討伐に失敗すれば依頼料が上がることを心配したのだろう。「だから失敗した者がいないのか?」という思いに、何とも言えない찝찝한(すっきりしない)気持ちを拭えなかったが、ベリックはよくあることだと言った。経験者である彼がそう言うので、文句も言わずに経験者の言葉に従った。実際に彼は僕たちより多くのことを知っていたからだ。そうして僕たちは冒険者ギルドへもう一度行ってきて、ゴブリンから少し離れた場所で野営を始めた。
僕たちは火をおこし、三人で3時間ずつ交代で不寝番をすることにした。最初の番はセイアス。二番目は僕。ここまでは問題なかった。ベリックに番を代わってもらって寝ていると、何やら神経が尖り、何かが近づいてくる気配がした。
-カサッ
-カサカサッ
無視できない不穏な音に、僕はそっと目を開けた。すると、ゴブリンたちがこちらに近づいてくるのが見えた。心臓が凍り付いた。体が硬直し、頭がうまく働かない。ベリックでなかったのが、せめてもの幸いだろうか。
「どうしよう?」
とりあえず寝転んだまま、隣にいたセイアスに手を伸ばして揺さぶり、ベリックの野郎は足で蹴った。
「ぐっ!」
「おい、このクソ野郎、起きろ!!!」
ゴブリンたちがキキッと笑いながら、四方を包囲してゆっくりと近づいてきた。それでも、気づいたことが不幸中の幸いだった。
「あ…」
「はあ…野郎、いくらなんでも足で蹴ることないだろ?俺の方が年上なのに。」
「はぁ?」
呆れて言葉も出なかったが、とりあえずゴブリンから目を離さなかった。
どこへ逃げるのがいいだろうか?村の方向へ行くのがいいだろうが、村の方向がどこなのか分からなかった。
「はあ…。とりあえず、あっちへ行こう。」
手で方向を指し示し、スリングを取り出して回した。
「こいつら、スリングも持ってないのか?」
ゴブリンを一匹仕留めた後、すぐに走り出した。すると、ゴブリンたちも傷ついたゴブリンを中心に包囲を狭めてきた。僕の後ろを二人がぴったりとついてきた。
僕は先頭で剣を抜き、道を切り開いた。一振りするたびに、ゴブリンたちがきれいに真っ二つにされる。やはり、剣はとにかく良いものでなければならなかった。僕にゴブリンが殺到すると、ベリックが前に飛び出した。
ドカッ!!という音が聞こえ、顔を向けると、セイアスが石に当たってよろめき、倒れるのが見えた。すでに周りにいたゴブリンたちがセイアスの上に乗りかかっている状況。一瞬ためらったが、どう考えても助けるには遅すぎた。僕にも何かが飛んでくる気配がして、頭を下げた。その瞬間、石が頭上を通り過ぎた。本当に神が助けてくれたとしか言いようのない瞬間だった。もう一匹斬り伏せると道が開き、前へ駆け出した。頭が混乱していた。
「助けてくれ!!!」
左からベリックの叫び声が聞こえ、横を見ると、石に当たって倒れたのか、ゴブリンが数匹まとわりついていた。僕は前に進んでいると思っていたが、違ったようだ。セイアスのように完全に倒れているわけでもなく、ゴブリンを数匹斬り伏せれば、あるいは助け出せるかもしれない。しかし、あちらにはスリングを投げるゴブリンもいた。一瞬ためらったが、悩みは長くは続かなかった。
「ごめん!」
「頼む!!!!行くな!」
「本当にごめん!」
ドカッ!と石が当たる音が再び聞こえたが、振り返らずに夢中で走り出した。
-ハァ、ハァ…
「ちくしょう…」
そうして、僕は一人で生き残った。
依頼を放棄した状況だったので、ギルドに帰って報告することもなかった。ゴブリン討伐は想像以上に危険だった。いや、ベリックのせいでまともに戦うことさえできなかった。しかし、まともに戦っていたとしても、簡単ではなかっただろうと思う。パニックになっていたからか、あの二人が倒したのはたった一匹のゴブリンだったのだから。結局、僕一人で討伐しなければならない状況だっただろう。
家に帰って体を洗い、眠りについた。そして、奇妙な夢を見た。僕は何かに追われていた。姿ははっきりと見えなかったが、僕はその黒い塊がベリックだと思った。
「お前のせいじゃないか!」
ベリックは何も言わなかったが、なぜか彼は僕を責めているような気がして、僕は叫んだ。逃げようとしたが、前は蜘蛛の巣でいっぱいで、逃げることができなかった。叫ぼうと喉に力を入れると、僕は夢から覚めた。
少し薄暗くなった空。冷や汗を拭き、母を待った。
しばらくの間、またルベリスを掘った。今回は少し違った。むやみに歩き回らず、ただ素早く一周走って回った。城はとてつもなく大きく、その周りを走るだけで十分な運動になった。そして、あの日に感じたあの感覚を取り戻そうと努力した。
「これからは、誰とでも組むのはやめよう…」
危機に陥っても、自分の実力さえあれば命は助かるという考えから、ますます訓練に熱中した。命が懸かっているのに、ゴブリンだとあまりに安易に考えていた。そうだ、僕がもっと強ければ、彼らを救えただろう。しかし、その実力でゴブリン討伐に乗り出したのが間違いであり、死んだ後に人のせいにするのは、何の役にも立たないことだった。様々な状況を頭の中で思い描きながら、冒険者ギルドへと向かった。ざっと見渡したが、やはり9級の中では使えそうなパーティーは見当たらなかった。今回は焦らなかった。時間がかかっても、いい人を見つけなければ。命はいくつもあるわけではないし、自分の命をテスト用として投げ出すわけにはいかない。
「石が飛んでくるのを感じたと?」
「はい。ただの運が良かっただけかもしれませんが。」
警備隊長アブドゥラの剣を避けながら言った。彼は仕事が終わって忙しくなければ、時々僕と剣を交えてくれた。母の話によると、彼は中央地域から来た人で、剣術に優れ、ここに来て間もなく隊長になったが、訓練する姿を一度も見たことがなかったのに、最近になってよく訓練する姿が見られるようになったという。そして、彼は口が堅く、母に言えない話もすることができた。
「ふむ…。いや。避け方を見るに、確かに少し変わったようだな。」
「本当ですか?」
「うむ。常に周りの物事を感じようと努力しろ。それがお前をさらに成長させてくれるだろう。」
「はい!」
「しかし、シルヴィ。気をつけろ。あの悪鬼どもは、人をいたぶる奴らだ。その中には、特に強い個体もいる…」
何を言っているのかよく分からなかったが、分かったと答えた。
そうして数ヶ月が過ぎた。何人かと会ってみたが、子供たちはほとんどセイアスやベリックと大差ないように見え、大人たちは僕のような子供とは組もうとしなかった。この頃になると、もう採集依頼でもした方がいいかもしれないという気がしてきた。これなら人数も多く必要ないだろうし、何より魔法使いもいた。それも火炎魔法使い。二人で採集すれば安全だし、報酬もかなりいいだろう。そう考えをまとめ、会ってみることにした。
彼女の名前はミナ。短剣に板金鎧を身につけていた。
「とりあえず防具は合格だ。」
話してみると、気も合った。スリングも持っていた。ミナはアカデミーの学費と生活費を稼ぐために仕事を始めたという。彼女も討伐依頼をやってみたが、二度も失敗して、これではだめだと思い、採集依頼を始めたという。僕たちは時間を無駄にすることなく、すぐに出発した。
今回は、いい予感がした。