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援軍到着!

 まずいな。遠くの海から次々に巨大な魚人が現れてくる。ダゴンにハイドラ、何体居るんだ。


「おじさん、あれ流石にまずくない?」

「そうだな。あれ全部相手にするのは流石に勘弁したいところだ」


 サナと共に戦いながら、二人で愚痴る。ダンジョンのボス級の魔物が数えきれないほどに多い。巨大なシルエットが遠くの海に並ぶ姿は、いつぞや見た漫画の巨人みたいな……とんでもない威圧感を放っている。単にあれらがこっちに歩いてくるだけでも相当厄介だぞ。


 ダンジョン監理局の屋上から無数の火球が放たれる。それらが巨大な影たちを襲うが、敵を全滅させるには至らない。半端なスタンピードならば、あれだけで制圧できるくらいの大技なんだがな。アキヅキのとっておきでも、なんともならんか。まじで気が滅入りそうだ。


 ハルカさんも遠くの海の魔物たちを攻撃してくれているようだが、焼け石に水のようだ。現代の冒険者でタイマンの戦闘能力なら、最強はハルカさんなのだろうが、敵の数があそこまで多いと、どうも手こずってしまう。そこを俺がカバーしてやれたらと、悔しく思う。


「アキヅキの大技でもダメか……」

「で、でも今ので敵の一割くらいは沈んだかも! アキヅキさんにあと九回くらい頑張ってもらえば……!」

「いや、増援が出てきているぞ」


 巨大なシルエットに新たな影たちが並んでいく。その一つ一つが数メートルから数十メートルの大きさで、正直相手したくない。だって、あれ全部巨大な魚人なんだろ? 魚介系の魔物はダメなんだって。


「おじさん……なんか、ヤバそうな感じがする」

「ああ、俺もヤバそうな臭いを感じてる。どうもデカブツどもは足を止めているように見えるな。そして、手元が動いている」


 俺の予想があっているなら、敵は恐ろしい攻撃をしようとしている。それをされると流石の俺も島民たちを守りきれない。なんとかサナたちを守りきるのでやっとだろう。だから、その予想は当たらないでほしいんだが……だめだな。海の水が盛り上がるのを視認し、覚悟を決める。


「あいつら、海の水で俺たちを押し流す気だ!」


 判断するなら、今だ。それは非情な判断だが、大切な名を守るためには決めなければならない。もしくは、こんな状況を変えてくれる助っ人が、都合良く現れてくれたら……そう願った時、その声は海の向こうから聞こえてきた。


「手こずってるようだ! 手を貸そう!」


 それは普段寡黙な友人が久々に叫ぶ声、そして彼女が次に叫んだ時、状況は一変する。お前なあ! 本当に昔から、おいしいところで出てきやがって! 最高だよ!


「氷結世界!」


 遠くの海が、一斉に凍る。盛り上がり、ここへ迫ろうとしていた水も同様に凍るのが分かった。海に居た魔物たちも、その多くが凍らされ、再起不能だろう。うちのメイン火力は、ハルカさんやアキヅキだけじゃない。彼女も居る。凍りついた海から届いてくる冷気を肌で感じながら、俺は嬉しくなって叫んだ。


「フユコォ!」

「待たせたな! 今! そっちへ向かう! 頼もしい援軍付きだぞ!」


 フユコ。あいつが叫ぶ時、その声は良く届く。彼女の声が聞こえた直後、巨大なシルエットの一つが弾けるのが見えた。敵を凍らせて、拳で粉砕する。彼女のえげつない攻撃だ。俺は、普通に耐えることはできるけど、あの攻撃はくらいたくない。


 フユコが凍った海の上を滑ってくるのが分かる。その動きはスケート選手のように軽やかだ。そんな彼女の背後を追従する数機の機械も見える。


「TAMAGUMO部隊の増援付きだぞ! 悪いが、半分は北の漁村へ向かわせた! 恐らく今ごろ、黒幕が逃げる準備をしているだろうから!」

「ナイス判断だ! フユコ!」

「それと、この島周辺の海は全て凍らせた! 悪いが、しばらく船は動かせないな!」


 正直、フユコは戦いから離れていて戦闘の感覚が鈍っているものと思っていた。けれど、それは俺の杞憂だったな。彼女は今でも、めちゃくちゃ強くて頼もしい。


 ほどなくして、俺たちの元へやって来たフユコが戦闘に加わってくれた。海の方のデカブツどもはなんとかなってるが、今も陸での戦闘は続く。とはいえ、フユコやTAMAGUMO部隊がやって来てくれたおかげで大分楽になった。助かる!


「フユコ、能力は全盛期から衰えずか。流石だな」

「私、感動しました! おじさんのパーティってやっぱり凄い人ばかりなんだって!」


 俺とサナからの言葉を受けて、フユコは照れ臭そうに笑った。「それほどでも」と彼女は言うが、それほどでもあるだろう! というか彼女のおかげで島民も守られた。フユコには感謝したい。


「実際……私は、二年前にはだいぶ衰えていた。あの東京での戦いで、私も頑張らなきゃと思ったんだ。この二年間はずっと特訓していた」

「まじか。特訓なら、誘ってくれれば良かったのに」

「……そこは秘密にしておきたかったんだよ」


 フユコはまた照れ臭そうに笑った。ともかくだ。これなら、なんとかなるかもしれない。そう思いながら、俺は島民や魚人たちとの戦闘を続ける。希望が持ててきたぞ!

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