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夜の島の乱戦

 ダンジョン監理局屋上といっても三階くらいの高さだ。島民たちが集まってくるのを見下ろしながら、俺は軽く呼吸を整えていた。ただ島民たちを鎮圧すれば言いという訳じゃなく、今ここに迫っているはずの魔物たちに対処しなくてはならない。そう思うと、多少は緊張する。


「……作戦はさっき話した通りに。調査船の方は、そっちのメンバーに任せて問題ないんだな?」


 俺の問いにアキヅキが頷く。俺たちがこの島へやってくる際に乗ってきた船。調査隊のメンバーのうち何人かはあっちに居る。戦闘の心得がある者も居るということで、そちらに俺たちの手は回さずに済む。それは正直助かる。


「……ウイカゼさんは屋上で解呪の嵐を準備、何もなければ、俺たちはここでウイカゼさんのスキル発動まで待ってられるんだが……」


 どうやら、ただ待っているわけにもいかなくなった。海から陸へ、ディープワンどもが上がってくるのが分かる。やつらなら、壁づたいに建物を上ってくることも、玄関の簡易なバリケードを壊すことも可能だ。下に降りて戦うべきだろう。


「魔物が来た。俺とサナは下に降りて戦う。アキヅキとハルカさんは上でウイカゼさんの護衛と、余裕があればこっちの援護を頼む」


 皆から「了解」の言葉が返ってきた。頼もしいね。じゃあ、そろそろ行こうか。


「それじゃ、上手くやろう」


 俺とサナが屋上から飛び降りる。問題なく着々した俺たちに多くの島民が迫ってくる。この島の人間はだいたい千人くらいだったか。その相手をするとなれば、結構面倒な数に思えるな。


「……おじさん、くれぐれも島の人たちを殺したりしないようにね」

「俺を誰だと思ってるんだ。サナ。大丈夫だよ」


 島民たちは皆が手になんらかの武器を持っている。とはいえ、まともな意思もなくただ目標を攻撃しようとするだけのようだ。戦闘開始から数秒でそれが分かった。これなら、一人一人の相手をするのは簡単だろう。とはいえ島民の数は多い。それに……新たな問題がやって来たな。


 銛を持った魚人ディープワンが勢い良く迫ってくる。その様子を見れば、攻撃に島民を巻き込んでも良いと考えていそうだ。予想通りだが、嫌な気分になる。島民の犠牲は一人も出さない。それが目標だ。


 包丁を振り回してきた若い島民を盾で殴り、迫る魚人に対しては高速で踏み込み刺突剣の一撃を与える。俺はSランク冒険者としては火力に優れない。だが、ディープワン程度の魔物であれば俺の攻撃でも充分に殺せる。島民たちに気を使う分、魔物には容赦しない。


 魔物を殺し、瞬時に周囲の状況を確認。少し離れた位置でサナがディープワンに剣の一撃を叩き込んでいる。更に少し離れた位置で、一体の魔物が島民を攻撃しようとしているのが見えた。嫌になる。見境なしかよ。


 島民を守るために動こうかと思ったが、判断を変える。魔物の頭部を、鋭い矢が貫くのが見えたからだ。ハルカさんに感謝。とはいえこの状況、俺とサナの二人だけで多くの島民を守りながら次々に現れる魔物に対処するのはちときついか。なので多少の魔力消費はふまえて、スキルを発動する。


「サナ!」

「了解! 手はず通りに!」

「「影犬!」」


 サナと二人で次々に黒い犬を作りだす。この犬たちが俺たちへの増援だ。いつまで続くか分からない戦闘とはいえど、魔力のリソースを切るべきタイミングなら迷わずリソースを切るべきだ。俺たちにはウイカゼさんから渡されてるエリクサーがあるし、魔力はじゃんじゃん使っていくぞ。迷っている余裕はない。


 状況は良い方ではない。けれども、最悪というわけではないはずだ。島民からの攻撃をさばき、魔物たちは殺していく。それがいつまでも終わらないようにも感じられる。実際のところ、時間はそれほど経っていないし、島民も魔物もまだまだやって来るだろう。面倒だが、こちらのできることをやるしかない。


 不安もある。大型の魔物が後からやって来ると思われるからだ。それはクトゥルフもそうだし、北の漁村付近で確認されたEOEなんかもそうだ。やつらが来たら、より島民たちを守るのが大変になる。アキヅキが言うにはフユコや武装TAMAGUMO部隊もこちらに向かっているそうだが……早く到着してくれることを祈ろう。


 敵や見方、一般人が入り乱れての戦闘では大技が使いづらい。この状況だとアキヅキは戦いづらいだろう。あいつのスキルは火力的には凄いんだが、その分見方を巻き込みやすいんだよな。なんて、考えていると遠くの海から大型の魔物が姿を表すのが見えた。EOEダゴン。俺たちがこの島のダンジョンで倒したボスとよく似た姿の魔物だ。


 ダゴンは上半身を海から出し、こちらに迫ってくる。近づかれたら面倒だな……そう考えたのは、アキヅキも同じだったのだろう。監理局の屋上から巨大な火球がダゴンめがけて飛んでいき爆発した。ダゴンは一撃で海に沈む。流石、S級冒険者でも、最高の火力だと言われていただけのことはあるな。


 今、戦っているのは俺だけじゃない。共に戦っている皆のためにも、なんとしても敵の思い通りにはさせないぞ。

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