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自立型輸送艦『HUBUKI』

 プロジェクターの設定が変更され、壁にかつてのパーティメンバーの姿が映る。なんだかんだで彼女と顔を会わせるのは久しぶりだ。結構嬉しい。


「フユコ。久しぶりだな」

「君もな。アキヤ。またこうして顔を会わせられて嬉しいよ」

「画面越しだけどな」


 さて、アキヅキの言っていた別動隊とはフユコのことか。これで今回の作戦に参加するS級冒険者は六人。今の、日本のS級冒険者の半数近くがフタグン島とその付近に集まっていることになる。クニハラ会長はそれだけこの事態を重く見てるってことだよな。気を引き締めていかないとな。


「こちらは自立型輸送艦『HUBUKI』フタグン島の西側に待機している。ここから、武装TAMAGUMO部隊を発進する準備は出来ているよ」

「なるほど。別動隊ってのはタマちゃんの部隊ってことか」

「タマちゃん……?」

「いや、こっちの話だ」


 タマちゃん一機では不安があるものの、対魔物用にカスタムしたタマちゃんの部隊なら戦力として期待……できるかな? ちょっと不安だ。


「武装TAMAGUMO部隊には私も同行する。久し振りの戦闘だが、なんとかやってみせるさ」

「無理はするなよ」

「そうは言ってもね。たまには無理をしなくちゃならないね。とはいえ、死にはしない」


 画面越しに俺たちとフユコとでミーティングを進めていく。さっき映像で見たクトゥルフは強力な魔物だろう。それこそ、魔王と呼べるほどの強さかもしれない。それを思うと不安は残るけれど、ここは彼女とTAMAGUMO部隊を信じるべきだ。


「……作戦は明日の早朝に開始。それまでゆっくり休んでいてくれ。君たちの活躍には期待している」

「了解、フユコたちも頑張れよ」


 ミーティングが終わり、プロジェクターが停止した。明るくなった部屋からは一人、また一人と退出する。そうして俺とハルカさんが部屋に残った。彼女が俺に「不安?」と聞いてくるので俺は「そうだよ」と答える。


「フユコはこの二年も、あまり前線には出ていない。能力はS級だと信じて良いけど、感が鈍ってるんじゃないかと、心配なところはある。それに、TAMAGUMO部隊も戦力としては正直、少し不安だ。でも、今は彼女たちを信じるしかない」

「んだね。私たちは私たちで、できることをするしかないぜ」


 ハルカさんの言う通りだ。俺たちは俺たちで、できることをやるしかない。結局は各々のベストを尽くすしかないのだ。頑張ろう。


「それに、いざとなればハルカちゃんの奥の手がある。なんとかなるさ」

「けど、できればそれは使いたくないだろう?」


 ハルカさんは「まあね」と肩をすくめた。俺もできれば彼女にあれを使わせたくない。


「あれは魔力の消費量がやばいし……何より……」

「ハルカさん、その先は言わなくて言い」

「だな。まあ、魔力の消費事態はウイカゼのエリクサーでなんとかなるんだが、ハルカちゃんは、どうも魔力切れの感覚に慣れない。いつまで経ってもあれは気持ちが悪いんだよね」

「まあ、そこは個人差があるから……」

「うん、だからさ……今回の事件も大丈夫だよ。私たちは二年前に魔王を倒してる。魔王退治は経験済みだぜ」


 ハルカさんの言葉が心強かった。そうだな。俺たちは過去に魔王を倒している。今回も、きっと大丈夫。ただ……。


「ハルカさん……奥の手を使うのは、本当に手詰まりになった時だ。きっと、あれを使えばどんな敵でも倒せるのだろうけど……」

「ああ……本当にどうしようもなくなったら、その時はハルカちゃんの出番だぜ」


 ハルカさんは本当なら、あの力は使いたがらない。それは恐ろしいものだからだ。けど、必要とあれば使う覚悟はできている。彼女はその力を恐ろしいものだと認識し、責任をもって扱うと決めている。かつてこの世界に居た魔王とは違って、遊び気分でその力を使ったりはしない。そのことを俺は望ましく感じる。


「私の……必殺の矢は最終手段だ」


 ハルカさんとも分かれ、最後には俺だけが部屋に残った。できれば、すぐにでも寝床で横になるべきなのだが、どうも気持ちが落ち着かない。俺は……緊張しているな。


 フタグン島は、比較的平和な島であったはず。その島で異常事態が起こっている。それにさっき見たあの魔物。あれは、通常の魔物とは明らかに違う。EOEとも違う。なんというか、異質なものだ。俺の直感は、あれがヤバイものだと言っている。


 先ほどのミーティングでは、フユコたちが海の魔物と戦うという話に決まった。俺たちのパーティよりも彼女たちの方が海での機動力があるからと。俺たちは、北の漁村を制圧するということで話が決まった。


 できることなら、漁村の制圧後、すぐにフユコたちに協力したい。きっとそれが必要だ。だから、俺は明日、速攻で漁村を制圧する。その後、北の沖へ向かい、クトゥルフを討伐。できたら良いな、とかじゃない。やるんだ!


 さて、寝られるかは分からないけど、そろそろ寝室に向かおう。明日は早い。早朝から決戦が始まる。ドキドキしてるよ。

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