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決戦前夜のミーティング

 フタグン島のダンジョン管理局。ミーティングルームにて。机と椅子が並び、プロジェクターの置かれた部屋に、アキヅキと俺たちのパーティーメンバーが集まっている。なんだか緊張する空気だ。


「ついに! 私たちはこのフタグン島に潜む異常を発見した!」


 声高らかに宣言したのはアキヅキ。興奮気味の彼女に調子を合わせる必要はない。が、大事な話だ。真面目に聞こう。


 アキヅキは俺やサナたちの四人を見回し、わざとらしく咳払いをした。そのわざとらしい動作は必要? 思ったが口にはしない。


「タマちゃんに動いてもらって、アキヤ君たちを観察してたやつらを逆に観察させてもらったんだ。どうやら、彼らの正体はディープワンみたいだねー」

「ディープワン、深きものどもか……」


 少し面倒だな。そんなことを考えているとサナが不思議そうに「ディープワンって何……?」と言う。ああ、説明が必要だな。


「俺から説明しよう。ディープワンってのはフタグン島のEOEダゴンが呼び出す魔物だよ。半魚人みたいな姿をしてて……正直、俺の苦手な見た目をしてる」

「おじさん、魚系の魔物は得意じゃないもんね」


 サナの言葉に乗っかって、アキヅキが「魚は食べられるのにねー」と俺をからかう。うっさいわい。というか、さっきまでの、真面目な雰囲気はどうした。まあ、ある程度は軽く話してくれた方が、こっちとしては話しやすくはあるけども。


「魚と魚系の魔物じゃ全然違うだろ。と、その話は置いておこう。ディープワンが居るってことはEOEダゴンもどこかに潜んでいるってことだな?」

「アキヤ君は話が早い。しばらく沖に居たディープワンたちは夕方ごろに動いたよ。タマちゃんに追跡してもらって、色々分かった。ついでに老神重工の人工衛星にも動いてもらった。タマちゃんのと人工衛星のカメラで、北の廃村付近に複数のダゴンが潜んでいることを確認したよ」 

「複数のEOEか。やつらはディープワンを使って組織的に動いているようだし、明らかな異常事態だな?」


 アキヅキが頷く。リリスの話を聞いた時から、今回は相当厄介なことになるかもしれないとは思っていた。フタグン島で、ダンジョン探索と旅行のみを楽しむというわけにはいかないようだ。


「複数のダゴンやディープワンたちが、今は身を隠すように動いている……となると、裏に魔物を操るやつが居る……そう考えた方が良さそうだな」

「だね。アキヤ君の考えに私も同意するよ。あの半魚人たちは名前の元ネタとは違う。ただ暴れることしか頭にない魔物でしかないはずなんだ。となれば裏で暗躍している者が居る。おそらくは……」

「リリスが話してたランマルってやつだろうな」


 ランマル……リリスの話に出てきた人物……それと、他にも気になることがある。


「ランマルは新たな魔王の誕生を企んでいる……とリリスは言っていた。EOEや雑魚の魔物以外にも隠しているものがあるんだろう。その正体まで分かれば良いんだが……」


 俺の言葉を聞いたアキヅキが「ふっふっふ」と笑う。その様子は、何か掴んでいるようだな。早く教えてほしい。


「分かっていることがあるなら、もったいぶらずに教えてくれ。頼むよ」

「ふっふっふー。うちのタマちゃんは優秀なのだよアキヤ君。島の北方の沖に、潜んでるものを見つけているよ。映像も送って貰ったんだ。そいつはちょっと危なそうだったし、タマちゃんには近づかないよう指示を出しておいたけどね」

「……アキヅキの判断を信じるよ。タマちゃんは今も海に居るのかい?」

「だね。タマちゃんは単独でも一週間は行動可能だし。ある程度までの危険な任務は、任せていても問題ないよ」

「ふむ、とりあえずタマちゃんから送られた映像を確認したいぞ」

「そう来ると思ってプロジェクターを用意してるんだよねー」


 部屋が暗くなり、プロジェクターから壁に映像が映される。海中であっても老神重工性の高性能なカメラなら鮮明な映像を映すことが可能だ。映ったのは、俺も初めて見る不気味な姿をした何かだった。


 体はクジラのように大きいのではないかと思えた。その頭部からは、軟体生物を思わせる触手がいくつも伸びている。背中にはコウモリの羽に似たものがあった。胎児のような体勢で四肢を丸めている。その姿には生理的な嫌悪感を覚える。


「何だあれは……」

「アキヤ君も知らないし、私も分からない。けど、あれは物語に出てくるクトゥルフに似ているね。仮に、あれはクトゥルフと名付けたよ」

「嫌な名前だ……」


 うぅ……今回は見た目の苦手な魔物ばかり出てくる。どうしてもやる気というか、テンションが下がる。


 しかし……今回どうしたもんかね。直感だがタマちゃんだけではあれの対処は難しいかもしれない。俺も海での戦いが特別得意なわけではないし、ほんとどうしたもんだか。なんて考えているとアキヅキが意外なことを言う。


「これは、別動隊にも動いてもらうしかないかもねー」

「へ?」


 別動隊? そんなの居たの!? 俺たちのパーティ全員の視線が集まり、アキヅキは「あれ、言ってなかったっけ?」などと言う。そういうことは、早めに言ってくれよー。


 ともかく、援軍が動いてくれるのであれば心強い。別動隊と連携して動けるなら、助かるぞ。

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