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夏の島の砂浜へ

 昼食を済ませた後、俺はサナたちと共にフタグン島の砂浜へ向かった。白い砂浜からは自然な美しさが感じられる。


「ねえ、おじさん。私たちの水着姿は何点かな?」


 砂浜についてすぐ、サナにそう聞かれた。何点って……下手な答え方をするとセクハラになりそうで恐いんだが。そんなことを考えながら、改めて三人の水着姿を眺めてみる。


 サナが着ているのは、いかにも動きやすさで選んだかのような、スポーティな印象の黒いビキニ。健康的な雰囲気があるし、彼女に似合ってると思う。


 次にウイカゼさん。彼女が身に纏うのは若草色のワンピース。リッチというかエレガントな印象がある。そう感じたのは、ウイカゼさんのお嬢様オーラによるものだろうか。


 そして……ハルカさん。彼女が着ているのはパステルピンクのフリル付きのビキニだ。「少し派手すぎたかな」なんてはにかむ彼女だが、とんでもない! 最高に似合ってる。


「……あれあれ~? おじさん。私たちの姿に見惚れちゃった? 鼻の下伸びてるよ?」

「伸びとらんわ……うん、皆似合ってるよ」

「あははっ。似合ってるってさ。ありがとう」


 サナに続いて、ハルカさんが「ありがとな」と言い、ウイカゼさんは「どうも」と軽く頭を下げた。似合っていると言って、そんなに嬉しそうな反応をされると、少しむず痒いな。


「ちなみに、おじさんも似合ってる!」

「そうか? 家にあったのをそのまま持ってきただけなんだけどな」

「センスが良いんだよ」


 サナからセンスが良いと言われたが、どう思って良いものか。この子、とりあえず色が黒ければ格好いいという感想になる子だからなあ。まあ、ここは素直にその言葉を受け取っておこう。


「さ、今日は海水浴に来たんだ。楽しむとしよう……!」

「「「おー!」」」


 とはいえ、海で遊ぶなんて久しぶりだからな。どうしたもんかと悩んでいると、ハルカさんに手を引かれた。付き合って数年たった今でも、そういうことをされると心がふわりと軽くなったような感覚になる。


「アキヤさん。行こうぜ」

「そうだね。行こう。ハルカさん」


 そうして、俺たちは砂浜から海へ入っていく。初めは深いところまでは行かず、足に水が触れるかというくらいのところで遊ぶ。カニを見つけたので拾って三人に見せようとしたら指を挟まれてしまった。痛くはないが、ちょっと恥ずかしい。


 そのうち、膝くらいまで海に入り、最終的には胴まで水に浸かるところまで着て遊んでいる。水をかけあったり、雑談をしながら小さな~が来るのを待ってみたり、色々だ。そんな、楽しい時間だったのだが。


 ハルカさんが、そっと俺に寄ってきて、声を潜めながら言う。うん、俺も気付いてるよ。


「……アキヤさん。遠巻きにだが、私たちのことを見張ってるやつらがいるぜ。沖の方だな」

「ああ、気配はしっかり感じ取ってる。姿が見えないってことは、海中に潜んでいるか」

「そいつら、こっちを見張ってるだけで、今は襲ってくる気配は無い。どうしよう?」

「心配いらないよ。ハルカさん。けれど、念の為に砂浜へ上がっておこうか」

「了解だぜ。手はず通りに、だな」


 ハルカさんは俺にウインクし、それから少し離れた位置のサナたちに「砂浜に上がってビーチバレーしようぜー!」と伝えた。簡単な合言葉だ。何かあった時には砂浜に上がることを皆で前もって決めている。


 皆が砂浜へ上がる間も、遠くの気配は俺たちを襲ってこようとはしなかった。遠巻きに、沖から俺たちのことを監視している。俺とハルカさんには気配を気付かれたが、サナとウイカゼさんには気付かれていなかったようだ。そのことから考えて、それなりにはできる奴らなのだろう。だが、俺はお前たちに気付いているぞ。その正体まで、逆に探らせてもらおうか。


 砂浜に上がったところで、俺はそこに置いていた鞄からスマホを取り出す。そして、アキヅキに連絡を取る。こういう時、彼女は心強い味方だ。先に決めていた合言葉を使う。


「アキヅキ、喉が乾いてさ。ジュースとか持ってきてくんない?」

「……アキヤ君は人使いが荒いなー。良いよ。ジュースだね。どれが良いとかある?」

「ん、サイダーが良いな。冷たいやつだ」

「了解」


 今のやり取りで沖に何者かが潜んでいることを伝えた。ほどなくして、アキヅキがTAMAGUMO……じゃなかった。タマちゃんを偵察に向かわせるだろう。バージョンアップしたタマちゃんは水中での行動も可能だ。頼もしいね。


 ハルカさんに、鞄から出したバレーボールを渡し、皆でビーチバレーを始める。沖の奴らからしたら呑気に遊んでるように見えるだろうが、今は俺たちがあんたらの尻尾をつかもうとしてるんだぜ。ま、後はタマちゃんの報告を待つだけかな?

 果報はなんちゃらってやつ。


 それにしても、こういう事態に備えてアキヅキと突貫で作っていた合言葉が、実際に役立つとはな。備えあれば患いなしとはこの事か。さあ、島の秘密が明かされるのは近そうだ。そう思うと、楽しくなってきたぞ!

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赤外線レンズ付けたカメコじゃねーのかw
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