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夢の魔王の警告

 ふと気付くと、俺は自宅の寝室に居た。いや……違うか。ここは夢の世界。腰かけるベッドが異様にふんわりしていて、違和感がある。ということはリリスに呼ばれたか。


 部屋の扉が開き、そこから仮面をつけた女が入ってくる。夢の魔王リリス。これまで何度か助けてもらったことがあるし、ハルカさんと俺が付き合うきっかけを作ってくれたのも彼女だ。今ではそれなりに信用のできる相手となっている。


「貴公、久しぶりだな。数か月ぶりか」

「大体それくらいかな。それで、今回はどういう用件で来たんです?」

「そう改まるな。というか、ずっと前から思っていたのだが、我があの子の母だと知ってから態度を改められるのは、なんというか……その……」

「困る?」

「そう、困るのだ。なんというか調子が狂う」

「じゃあ、最初に会った頃みたいな感じで話すが」

「お願いする」


 彼女がハルカさんの母親だということは、どうしても意識してしまう。けれど、彼女が改まった話し方は困るというのであれば、もう少し話し方を緩めるか。


「……でだ。貴公に伝える用件……というよりは、警告だな。貴公らが今、滞在している島にはよくないものが居る」

「みたいだね。島か、その周辺には大型の魔物が潜んでいるようだ」

「単なる大型の魔物であれば、貴公らにしてみれば問題にはならない。今回の問題は魔王級の魔物が関わるものだ」

「魔王……おだやかな話じゃないな」

「もちろん、我は貴公らの世界に魔王たちが介入しないように、見張っている。しかし今回の問題は少し厄介でな。あの島に魔王専用の出入口……のようなものが発生しかけているのを感じる」


 発生しかけているのを感じる? それは、なんというか……はっきりしない言い方だな。リリスも全てが分かっているわけではないのだろうか?


「私が思うに、だ。あの島には、魔界から、大量の魔力が集まっているようなのだ。島の、とある場所……いや、貴公が言う大型の魔物に、魔力が集まっているのだろう」

「それは、なんのために?」

「島の魔物を、より強力な魔物を呼ぶための門とするためだろう」

「魔物を進化させるとかではなく?」

「結果的には、ある魔物からより強力な魔物が生まれるのだと思う。だから、魔物が進化する。と考えても良い。話の大事なところは、あの島に多くの魔力が集まっていること。そこから、非常に強力な魔物が生まれようとしていることだ」

「なるほど? このまま、フタグン島を放置していると、新たな魔王が発生する。そういう理解で良いんだな?」


 リリスは「そうだ」と頷く。なるほどね。今回の問題、思ってたより大事のようだ。だが、なんとかなるだろう。楽観視してるというよりは、皆の力を合わせれば問題を解決できるはずと信じているからだ。


「……それと、アキヤ。貴公らに夢の世界から干渉しようとしている者が居た」

「リリス意外にそんなことができるやつがいるのか? そいつも魔界の住人か?」

「魔界の住人……かもしれないが、こういうことをする者に心当たりがある。そいつは、かつて白漂の補佐をしていた男だ」


 白漂の補佐をしていた男……? 心当たりはないが……そんなやつがいたのか。


「表舞台に出てくる男ではなかったからな。お前たちは知らないだろうよ。私もそいつのことは、深くは知らない。知っているのは、その男が白漂の補佐をしていたこと。白漂の研究を学び、共に研究を進めていたこと。後は、やつの名前くらいか」

「そいつの名前は?」

「ランマル。やつはそう名乗っていたよ」


 ふぅん。魔王にランマルね。その組み合わせはなんというか、しっくりくるな。


「で、そのランマルってやつは具体的には、どんなちょっかいを俺たちに仕掛けてこようとしてたんだ?」

「軽い暗示だよ。特定の場所やものから注意が外れる。意識しなくなる。そういう暗示だ」


 なるほど。その話を信じるなら、島の住民たちが妙に落ち着いていることにも説明がつく。理由が分かって、フタグン島に感じていた不気味さが少し取り払われた。


「ランマルは、貴公らが居るのと同じ島に潜んでいるだろう。おそらくは、やつが新たな魔王誕生の計画に一枚噛んでいる」

「話は分かった。まだ断定はしないが、その男が関わっている可能性は高そうだ」


 新たな魔王を誕生させて、何をしようというのか。どうせろくなことにはならないんだ。見つけ次第なんとかさせてもらう。そう思うと、気が引き締まる。


「……魔王誕生の阻止を頼む。それともうひとつ、貴公に頼みごとをしても良いかな?」

「頼み事? 俺にできることなら聞くが」

「ならば、ハルカに海を楽しませてやってくれ。あの子は海が好きだから」

「了解。ハルカさんが海を好きなことは俺も知ってる。ところで、ハルカさんが猫を好きなことは知ってたか?」

「もちろん知っている。あの子とは、時々夢の中で話をするからな。だが、あの子が一番好きなのは……」

「……一番好きなのは?」

「分からんのか……? 貴公に決まっているだろうに」


 い、いきなり恥ずかしいこと言うなよぉ。俺もハルカさんのことが一番好きだけども。そういうことを人から指摘されると恥ずかしいんだって!

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