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ダンジョン探索が終わったら

 ダンジョン監理局、フタグン島支部。休憩室にて……なんというか、旅館の談話室みたいな空間だな。これはこれで落ち着く。


 サナの活躍で今日の配信はとても盛り上がった。結局、ダンジョン内に異常は見られなかったが、今日の調査はこれで良しとしよう。ウイカゼさんと楽しそうに話すサナを見ながら、そう思った。


 カシュッ! と音がなって、ビール缶から麦と柑橘系の混ざったような香りがする。喉を鳴らしながら口の奥へとビールを流す。その冷たい液体はダンジョンから帰ってきた俺を爽やかな気分にさせてくれた。


「はあー! 美味い! 海を眺めながら飲む酒は最高だなっ」


 サナたちからの視線は気にしない。別に責められてるわけではないしな。気にせずリフレッシュの時間を楽しむ。でも、飲みすぎには注意するよ。だから、一缶だけ。


 畳の上で休みながら、ビールを飲んでいると、ハルカさんが俺の側にやってきた。彼女が俺の隣に座ると、気分が高揚する。


「アキヤさん。お酒ってそんなに美味いのかい?」


 不思議そうな顔のハルカさんは、ビールに興味を持っているよう。でも、駄目だよ。お酒は二十歳になってからだ。


「大人になれば、美味いかどうかは分かるさ」

「一応私、もう十八で大人なんだけどな」

「……ああ、最近はそうなんだったか」


 十八歳から成人というのは、どうも変な感じがする。まあ、十八歳も二十歳も似たようなものだとは思うけど、そんなことを俺からいう必要は無いだろう。おそらくそれは、余計な一言だ。酔った勢いで余計なことを言う……なんてのは避けたいな。


「後二年もしたら、お酒を飲んでみると良い。俺は二十歳になったその日にビールを飲んだよ」

「それは美味しかったんだろうな?」

「いや、当時は美味しいというより、変な味だと思った」

「今はそんなに美味しそうに飲んでるのに?」


 俺が頷くと彼女は不思議そうな顔のまま「変なの」と言った。確かに、変かもしれないな。始めて飲んだ時は、それ程でもなかったのに、今では好物なのだから、不思議だ。


「……ハルカちゃんも、二十歳になったらすぐに、お酒を飲んでみるよ。その時は、ご一緒してくれるかい? アキヤさん」

「それはもう、喜んで」

「今の私は、こいつで乾杯することしかできないけど」


 そう言ってハルカさんは炭酸水の入ったボトルを俺に見せた。それは、ハルカさんのイメージにあっているような気がした。炭酸水の宣伝とか、きっと彼女に似合う。


「ハルカさん……乾杯する?」

「もちろん、乾杯しようぜ。で、せっかくなら」


 そう言ってハルカさんは少し離れた位置のサナたちに「おーい」と呼んだ。彼女はいつの間にか、さらに二本のペットボトルを手に持っていた。


 サナとウイカゼさんがこちらに来る。「どうしましたの?」と聞いてくるウイカゼさんに「島のダンジョン攻略を祝うぜ」とハルカさんがボトルを渡す。「じゃあ、私が音頭をとるよ」と立候補したのはサナだ。彼女たちは相変わらず仲が良くて、これから先もそうであってほしいと思う。


「では! 島のダンジョン攻略を祝って! そして、これからの調査のために! かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」


 少し騒がしくしすぎな気もしたが、ここには島の監理局の職員と調査隊メンバーが数人来ているくらいだし……良いよな……? 許してほしい。


 四人で乾杯をして、それから今後のことについて少し話す。その中で、今日は俺とハルカさんとで料理をすることについても話した。釣り大会の結果、ハルカさんの竿に獲物がかかったわけで、彼女の優勝で良いと思ったのだが。ハルカさんが「今回は、アキヤさんも釣り上げたようなもんだから」と譲らなかった。結果、俺とハルカさんの二人で料理を作ることになったというわけ。


「食材は、わたくしとサナさんとで買ってきますわ。島の市場というものも見てきたかったですし」

「美味しい食材を買ってくるから、任せといてね! おじさん!」


 サナとウイカゼさんの二人は張り切っているが、良いのだろうか? 見知らぬ土地で、女の子二人に買い物をさせるのは良くない気がする。


「そういうことなら、俺も買い物に付き合うよ」

「良いの良いの。おじさんたちは、料理を作る人なんだから。ここは私たちに任せておいて」

「でもなあ……」

「わたくしたち二人で行くのが心配なのでしたら、アキヅキさんとタマちゃんにも買い物を手伝ってもらいますわ。だから、良いでしょう?」

「ん、んー」


 タマちゃんはともかく、アキヅキは忙しいんじゃないか、と心配していたのだが。


「今、アキヅキさんにメッセージを送ったらOKだって」


 今の会話をしているうちに、サナがアキヅキと連絡をとっていたようだ。っていうか、行動が速いな! 驚くほどの速さだぞ。


「と、いうわけで! おじさんはハルカちゃんとゆっくりしてて!」

「ですわー!」


 サナたちに勢いで押しきられてしまった。後には俺とハルカさんが残される。ハルカさんは少し困ったように笑い、俺も同じように笑った。

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