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フタグン島の港にて

 午前九時、フタグン島の港に到着した。島は小さく、俺たちの乗ってきた船は結構大きなものなのだが、問題なく港に入ることができたようだ。そこは、一安心だな。


 船から降りて軽く伸びをする。ハルカさんはサナと一緒に、船酔いしたウイカゼさんを介抱していた。俺もそちらに向かいたいところだが、調査隊のアキヅキに呼ばれているので、そちらへ向かう。まあ、船酔いならそこまで心配することもないだろう。


 港を歩いてアキヅキのところへ行くと、彼女は海の方を見ていた。俺が声をかけると、彼女は驚いたように振り返る。俺を呼んだのはそっちだろうに、そんなに驚くもんかね? じゃあ、早速話の本題に入ろうか。


「アキヅキ、俺に何の用だい?」

「何のようもなにも、今回の調査についてのことだよ。アキヤ君」

「それで、俺だけを呼んだ理由は?」

「んー、それなんだけどさ。この島について事前に調べてて、ちょっと気になることがあってね。白漂元会長のことは覚えてる?」

「やつのことは忘れられないよ。嫌なやつだった」


 白漂デイモン。冒険者協会の元会長で世界を自分の物にしていた魔王。二年前に倒したが……まさか!


「……復活でもしたのか!?」

「それはたぶん無い」

「そうか」


 復活はしていないだろうと聞いて安心する。もし白漂が復活していたとしたらリリスが教えてくれるだろうし、心配しすぎたか。けれど、話の流れからして白漂が関係してる話ではありそうだな。


「……白漂元会長はかつて、魔石の研究を進めていて、多くの技術者を囲っていた。そんな研究の一つに超大型の魔物……怪獣を作り出す研究もあったらしいんだよね」

「なるほど?」

「それで、今回の調査はダンジョン近くに確認された大型の魔物の調査でしょ。これだけの話でも、私の言いたいことは分かってもらえると思う」

「つまり今回の、大型の魔物の調査には白漂元会長が、かつて進めていた研究が関わっているかもしれないと?」

「そういうこと。アキヤ君は理解が早くて助かるよ」


 なるほどねえ。しかし、それは結構重要な情報のようにも思えるが……アキヅキが俺だけに教える理由はなんだ? 気になることは早めに聞いておくべきだな。


「その情報を俺だけに教える理由は? サナたちにも伝えておくべきだと思うが」

「ここまで話した情報って、ほぼ憶測なんだよね。白漂元会長がそういう研究を進めてたって話も確実にそうだったとは言いきれない。噂や憶測の域を出ないってわけ」

「ああ……確定していない情報だから、一応俺だけには伝えておくってことか」

「そういうこと。もしかしたら、白漂元会長云々は私の杞憂に終わるかもしれないし。必要以上の不安をサナちゃんたちに与えたりしたくはないもの」

「分かった。その情報は、俺の頭にはとどめておくよ」


 他に、俺に話すことはあるかとアキヅキに聞いてみた。すると、彼女から「これも噂なんだけど」と言われて、ある話がされる。あまり良い気持ちで聞ける話ではなかった。


「ホワイトウェーブっていう組織が暗躍してるって噂。白漂元会長の下でダンジョンの研究をしていた人物たちが、そういう名前の組織を作って裏の世界で研究を続けているんだって。浮浪者や債務者とかを使って、人体実験をしてたりするんだとか。怖いよね」

「怖いというか、不快だよ。人体実験なんて」

「そうだね。けれど、これもあくまで噂。都市伝説レベルのね。だから、信憑性は薄いよ」

「ふむ」


 こっちの話も、一応頭にとどめておくか。もしかしたら、今回の調査にも関わってくるかも? 気にしすぎるのは、良くないかもしれないが。


「……分かった。んで、話はこれくらいかな?」

「そうだねえ。そろそろサナちゃんたちのところに行ってあげなよ。せっかくの離島だし、皆で楽しんじゃいな~」


 だな。気になる噂もあるが、せっかく遠く離れた離島までやって来たんだ。できれば皆で楽しみたい。


「ちょっとサナたちのところへ行ってくる。それと……」

「それと?」

「皆ってのには、君も入ってるよな。アキヅキ」


 アキヅキは一瞬驚いたような顔をして、それから嬉しそうに「そうだね!」と返してくれた。彼女の笑顔を見ると、俺も嬉しい。


 サナたちの場所へ行く。彼女たちの介抱のおかげか、ウイカゼさんもだいぶ回復しているようだった。ウイカゼさんは、瓶入りのエリクサーを飲んでいる。船酔いしたからって理由でエリクサーを飲むのはウイカゼさんくらいかもしれない。なにはともあれ回復しているなら安心だ。


「……おじ様、アキヅキさんとの話は終わりまして?」

「あっちの話は終わったよ。ウイカゼさんは、ここでもう少し休むかい?」

「あと、二~三分も休めば動けます。ハルカさんたちのおかげですわ」


 ウイカゼさんの言葉にハルカさんは安心しているようだった。サナも嬉しそうな表情をしている。俺が安心しながら「そうか」と返すとサナが「ところでおじさん」と言ってくる。なんだろうか? 


「……ダンジョンの調査も大事だけど、せっかく離島に来たんだし、いっぱい遊ぼうね!」

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