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ムーンライトコーン

 木曜日。午前中は浅草ダンジョンで大冒険だった。槍使いのリュウドウさんとは先週のうちに話をつけていたが、つい先日アキヅキが俺たちの探索についてくると言い出したのだ。


 実際、彼女は攻撃や補助、回復魔法を巧みに使いこなし、めちゃくちゃ助かった。十楽年前から変わらず、彼女は頼もしい。


 結局、朝の冒険では浅草ダンジョンのボスを倒すところまで行ってしまった。流石にS級冒険者が三人も集まると、浅草のボスモンスターも苦戦せずに倒すことができた。正直、こんな楽に倒せんのかと、拍子抜けするくらいだった。


 アキヅキは「今のサナちゃんたちなら私たちより苦戦はしつつも勝てる相手だろうね」と語っていたが、その中には俺も含まれているだろうか? それともサナたち三人だけで勝てると考えているのか?


 サナたちは、とても強くなった。でも、まだ彼女たちの側にはついていてやりたいと思う。それは、過保護な考えかもしれない。けれど、単純に、俺が彼女たちと冒険を共にすることを望んでいるのだ。


 だから、今から始める冒険は次の冒険に向けてのちょっとしたウォーミングアップ。今日の早朝には準備の間に合っていなかったTAMAGUMOの最初のテストも兼ねている。


「こんばんは。アキヤです。今日の配信を始めます。今日は老神重工の新型輸送機も一緒です」

「ヴー、ヴー」


・こんばんは

・こんばんはー

・おー。アキおじも配信始めたのね。応援するよ!

・初見です

・老神の輸送機でかいな。三メートルありそう?


「老神の輸送機、TAMAGUMOはなかなかの大きさです。狭いところに入れるかは、ちょっと心配ですね……今回は足立区ダンジョンへやってきています」


 足立区ダンジョン。美しい月の下で、どこまでも高原の広がる低ランクダンジョン。今日はここへ、ムーンライトコーンと呼ばれるダンジョン食材を求めてやって来た。久しぶりに来たここから懐かしさを感じる。


「今日はですね。この前のアンケートの結果が出まして……穀物がトップだったということで、トウモロコシを取りに来ました。こいつでポップコーンを作ると、美味いだろうなと、思ったんです」


・ポップコーン! 良いねえ

・足立区ダンジョンってトウモロコシ取れるんだ

・美味いトウモロコシを取ってくれよ

・調理もしっかり頼みます

・がんばれー


「了解! それでは、行ってきます!」


 俺は配信画面に向かって親指を立てた。そうしてムーンライトコーンあらため魔トウモロコシの群生地を求めて進んでいく。午前の大冒険に比べれば、気楽なものだ。


 道中、ゴブリンやコボルトと遭遇する。時にそれらは小さな群れを成していることもあった。けど、低級モンスターの群れ程度にやられる俺ではない。手早く、魔物を倒していく。


 特に問題を起こすことなく、トウモロコシの群生地を発見。高原の一部にいっぱいのトウモロコシが生えている。昔、アキヅキやフユコと一緒に見つけた群生地だ。ここを見つけた当時は俺たちもまだ駆け出しだったな……と、思い出に浸っているときではないぞ。


「皆さん、魔トウモロコシの群生地です。これからTAMAGUMOと一緒にトウモロコシを収穫していきますよー」


・群生地!

・すげーマジであった

・思ったよりすぐ見つかりましたね

・道中もサクサクだったし、流石S級冒険者

・っていうかS級冒険者のダンジョン探索ってまじでスムーズなんだな


 さて、これから作業だが……月光があるとはいえ、明るいに越したことはない。そういうわけで、攻撃ドローンの変わりに、TAMAGUMOに搭載された子たちの出番だ! 便りにしてるぞ。


「TAMAHOTARU発進!」

「ヴー、ヴヴー」


 TAMAGUMOの上部から発進する四つの大型発光ドローン【TAMAHOTARU】この子たちが周囲を明るく照らしてくれる。念のため影犬も近くに召喚し、収穫準備を完了!


「さあ! 収穫ですぞ! TAMAGUMOにも収穫を手伝ってもらいますよー」

「ヴヴーッ」


 TAMAGUMOの活躍もあり、トウモロコシを大量に収穫することができた。それらの収穫も可能だし、こいつは冒険の役に立つ。これからの冒険は、こういった機械を連れていくのが一般化するのかもしれない。そう思うとワクワクした。


 最近は、俺が変わっている。と感じることが多かった。だけど、世界も大きく変わっていってるんだ。かつて、世界にダンジョンが生まれた時のように、世界そのものが変わっていくのを感じている。そして、今回の変化は、好ましいもののように思えるのだ。


・あっという間にトウモロコシ収穫しちゃったよ

・TAMAGUMOほしー

・この四足機械の貸し出しとかってあるのかな?

・科学の力って凄いな!

・トウモロコシ収穫完了!


「TAMAGUMO さん。ここで調理しちゃいましょう。魔物避けの香と食器、調理器具の準備を!」

「ヴー!」


 油を敷いたフライパンに魔トウモロコシの実を数粒置いて温める。すると、たちまち数粒の実が多くのポップコーンに変身! この穀物が見つかって多くの国での、食料問題が解決したといわれるほどの代物だ。濃厚な香りが食欲をそそる! こいつは、絶対美味いぞぉ!


 俺の始めての単独ダンジョン配信は好評のうちに終わるのだった。また、こうして配信がしたいな。サナたちとの冒険の合間に。

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