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プロジェクト説明会

 火曜日、今日も冒険者協会の本部へやってきた。今回はサナたちも一緒だ。協会と老神重工との共同で進む計画、TAMAGUMOプロジェクトの説明会がもうすぐ始まる。そう思うとドキドキしてきた。


 説明会は協会の屋上でおこなわれる。会場に着くと、そこには球体に四本の腕と四本足を足したような機械の姿があった。腕や足は太く、カニのようにも見えた。こういうものを見ると、大人になってもワクワクしてしまう。


 横を見ると、サナたちは辺りをキョロキョロと見回している。落ち着きの無い子どもみたいで、見ていて微笑ましい。


「冒険者の皆様、お越しいただき光栄です」


 声のした方に目をやると、老神重工の若き社長の姿があった。彼女の後方では技術スタッフと思われる人々の姿が確認できる。きっと老神も本気だ。俺も気を引き締めないと。


「どうも、お久しぶりです。ヤスエ社長」

「アキヤさんもお元気そうで。何よりです」


 老神社長はサナたちとも挨拶して、再び俺を見た。彼女は「早速ですが、こちらへ、いらしてください」と言って、俺たちを四足機械の前へ案内する。機械の赤いモノアイがこっちを向いていて少し落ち着かない。


「こちら、老神重工が誇る新製品。完全自立式四脚輸送機TAMAGUMOとなります。物資の輸送を初め、カスタム次第で戦闘の支援や、緊急時の冒険者の治療など、幅広い役割を果たすことができますよ」

「なるほど?」


 俺の相づちに合わせて老神社長は頷く。今の彼女からは自社の製品への自信と誇りが感じられる。


「今回は、冒険者協会から推薦をいただいた皆様に、TAMAGUMOの製品モニターをお願いしたいのです。一定期間、こちらの製品をダンジョンに同行させ、期間の終わりにアンケートへの回答をお願いしたいと思っています」


 なるほどねえ。とりあえず、俺はその提案に反対ではない。積極的にTAMAGUMOを同行させたいと考えている。今は静かに話を聞こう。


「もし良ければ、弊社のTAMAGUMOが動く様子を配信に映してもらえれば、とも考えています。製品の宣伝にもなりますので」


 そこまで話し、老神社長は細かい仕様の説明を始めていく。こういう話に大事なことが含まれているかもしれない。TAMAGUMOの方を見つつも、時々老神社長にも視線を向ける。大事な話を聞き流したりしないように注意しなければ。


 そうして、話を聞いているうちに、以前から気になっていた話がやってきた。TAMAGUMOに取り付けられる機能の一つ、攻撃ドローンについて。これが誤って人を攻撃したりしないかと、結構心配していたのだ。


「TAMAGUMOの攻撃ドローンに装填できる弾頭は弊社で開発した特殊な弾頭に限られます。それ意外の弾頭はそもそも口径が合いませんし、たとえ合ったとしても、弊社の弾頭の特別な判定システムを通らなければ発射されることが、ありません」

「特殊な弾頭って、どういうものですか?」

「良い質問です。サナさん」


 老神社長が言った通り、サナの質問は良いものだと思う。特殊といっても、何がどう特殊なのか説明が欲しい。


「攻撃ドローンに装填できるものは、対魔物用特殊弾頭と呼ばれるものです。こちら老神の科学技術と魔法技術の結晶でして……と細かい説明は省略しますが、要は魔物にのみ反応してダメージを与える特殊な弾頭となっているのです」


 老神社長はスーツのポケットから大きめのグミのような物を取り出した。まさか、このタイミングでただのグミを出したわけではないだろう。


 話の流れからして、あれが対魔物用特殊弾頭なんだろうな。パッと見は、不味そうな色と匂いをしたグミだ。食欲はそそられない。


「技術者の中にはサルミアッキ弾なんて言う物も居ましてね……まあ、先ほどは魔物にだけダメージを与えるとは言いましたが、人間に当たってもゴムの弾くらいの痛みと衝撃は発生します」


 老神社長は肩をすくめた。弾丸をサルミアッキと形容したのはゴムみたいな味がするからか、それともゴムみたいな痛みと衝撃が発生するからか。俺としては人を殺さない弾だというのなら安心だ。


「攻撃ドローンは照準の先の相手が人だと判定した場合も攻撃を中止します。相手が魔物だと判断するためのデータは、アキヅキさんが多く提供してくれました」


 へえ、アキヅキが。トレーニングルームの情報とか、こっちのプロジェクトと共有してたりしたのかね。


 俺のテスト結果とか、共有されてたら、なんか恥ずかしい。そういえば以前テストの結果を老神さんと共有して良いか聞かれてたような……どうだったかな?


 その後も老神社長により、TAMAGUMOについての詳しい説明を聞くことができた。老神重工の本気度合いは充分に伝わった。だからこそ俺もこれからのテストに喜んで参加したい。


 明後日にでもTAMAGUMOをダンジョンへと連れていっても良いという話だったので、ちょっと冒険へ同行させてみたいと思う。四足機械と一緒の探索が楽しみだ。

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