ダンジョン攻略が終わった後は
光り輝く骸骨の剣士が勢いよく俺に斬りかかってくる。俺は攻撃を盾で防御し、高速戦闘が始まる。速さはファラリスの方に部がある。だが、防御能力と技量に関してはこっちが上だ。そして、俺はここのボスの能力は知り尽くしている。おまえの命が尽きるまで、凌ぎきってやるぞ。
負けない自信はあるが気の抜けない戦いだ。あと少しと思ったところに油断は生まれやすい。だから敵が完全に動かなくなるまで、こちらの気を抜いてはいけないのだ。
ファラリスの攻撃は一つ一つが重く鋭い。そんな攻撃を放つ度、骸骨は灰になって崩れていく。自身を動かすエネルギーのせいで、やつの体は崩壊している。その姿に敬意は表すが、同情はしない。哀れとも思わない。骸骨剣士の最後の猛攻を、俺は全力で防御する。
攻撃が来て、それを防ぐ。その攻防は数秒の間に何百手もの応酬になった。そうして敵の攻撃を全て凌ぎきった時、ファラリスは全身の骨が燃え尽き、灰になって消滅した。灰の山には、真っ赤な魔石が残されている。俺も少しずつ落ち着いてきた。
残心を決め、敵が完全に沈黙したことを確認する。そうして、戦いが終わったのだと実感できて、ようやくホッと一息つける。熱く苦しい戦いだった。
気付いた時には、ウイカゼさんが呼んだ嵐も収まっていた。さて、とりあえず辺りが暗いのをどうにかしたいな。ファラリスのやつめ。ダンジョン中の光源を自身の熱エネルギーに変えやがって。困るよ。まったく。
「ウイカゼさん、明かりをつけてもらって良いですか?」
「はい! お任せくださいな……って、あららっ!?」
ウイカゼさんは灯火のスキルを発動。したのかと思ったが……これは違う。レベルアップの光だ。ウイカゼさんの体が光っている! こいつは良いね! おめでとう。ウイカゼさん。
「……おじ様。どうやらレベルアップしたようですの。とりあえず、明かりをつけておきますね。灯火!」
お、辺りが明るくなった。サナとハルカさんの姿も確認。パーティメンバーは皆無事みたいだし撮影ドローンも無事だ。なによりだね。
・ボス撃破!
・ないすー!
・皆さんお疲れ様です!
・ウイカゼちゃんレベルアップおめでとー
・おじさん格好良かったよー
撮影ドローンの画面に沢山の労いや祝福の言葉が流れていく。それを見るのはとても嬉しく感じるが……ここはまだダンジョンの中だ。ひとまず、脱出することを優先させてもらおう。
「ファラリスの魔石を回収したらすぐに千代田ダンジョンを脱出します。皆さん、よろしいですね?」
「「「了解!」」」
皆の了解も貰えたので、急ぐとしよう。
その後、特に問題が起こることはなく、皆無事に千代田ダンシジョンを脱出することができた。配信を修了し、その場で解散……となったはず……なのだが。なんで皆さん俺の家に来てるんです……? いや、解散した後に、サナから後でこっちに来るって連絡はもらってたけど、二人も一緒か。俺は構わないが。皆、親にはちゃんと話してきたのか?
今は夕方。三人は着替えてきたようで、その手には買い物袋がある。ふむ、夕飯はうちで食べる気か? 年頃の若い娘たちがおじさんの家まで気軽にやってきて良いんだろうか? 今更か。
「どうして皆さんが俺の家の玄関まで来てるいるのか聞いてみても? あと、ここに来ることはご家族には話されてます?」
俺の言葉にサナとウイカゼさん、ハルカさんの三人は顔を見合わせ、ほどなくしてウイカゼさんが「説明しましょう」と話してくれた。うん、説明をしてくれると助かるかな。
「私の新スキルの検証ですわ。家族の了承は得ています。というわけで、家に上げてもらっても?」
「新スキル……なるほど……どうぞ」
「では、失礼します」
そんなこんなで三人が家に上がり、ウイカゼさんのスキルの検証と今日の打ち上げが始まった。
サナがキッチンを使っている間に、俺たちはダイニングに移動。テーブルの上には水の入ったコップが人数分置かれている。ウイカゼさんは新たなスキルの検証と言っていたが、いったい何が始まるのだろう?興味は惹かれる。
「では、検証を始めますわ」
ウイカゼさんが目の前のコップに振れた。俺と、隣に座るハルカさんが、ウイカゼさんの様子を見守る。ほどなくして、ウイカゼさんが振れたコップに変化が確認できた。コップの中の液体の……色や香りが変化していく。「どうぞ」とウイカゼさんに渡されたそれを恐る恐る飲んでみた。黒くて甘い香りの、シュワシュワしたこの液体は……コーラだ!
「つまり……コーラを作るスキル?」
「違いますー。コーラも作れるスキルですわ」
そら、そうだよね。ウイカゼさんは俺のボケを軽く流しつつ、スキルの説明をしてくれる。かなり珍しいスキルのようだし、説明はちゃんと聞いておきたい。
「私の新スキル。水質変化はあらゆる液体を、あらゆる状態に変化させられるスキル……のようですの」
「そう聞くと、どうも名前以上に色々自由なスキルのように思えるな」
「実際、自由なスキルでしょうね。このスキルを使えば、おそらく汚水もエリクサーも作れますのよ。今日はジュースとか色々な飲み物を作りながら、お料理や、お菓子もつまんで打ち上げ会ですわ!」
「なるほどね」
今日の打ち上げは皆で楽しむ時間になりそうだ。




