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熱気と嵐

 骸骨の目が怪しく光った。ファラリスの攻撃が来るかと思われるがそうではない。ファラリスから目は話せないが、上から迫ってくる圧迫感が嫌になる。


「おじさん、上から火の玉が降りてきてる!」

「ファラリスの能力です。落ち着いて対処してください。サナ」


 やつはウィルオウィスプを呼び寄せる力を持っている。他の魔物は寄ってこないだけ、まだマシといったところか。単純な防御能力が高く、多彩な絡め手で耐えながら、相手の呪殺を狙ってくる。能力と戦法の全てが噛み合っているってわけだな。Bランクダンジョン最強ボスの呼び名は伊達じゃない。


「手はず通りに、だね! 影鳥!」


 背後からバサバサと羽ばたく音がした。サナの影から大量の鳥が生み出されたんだろうな。ウィルオウィスプは影鳥で充分に対応可能なはずだ。彼女のことを信じ、俺は目の前の驚異に集中だ。


 更に一歩前へ進む。そうしてすぐに骸骨剣士との近接戦闘が始まる。正直、俺の攻撃はファラリスへの決定打にはならない。こいつには急所というものが存在しないからだ。俺の愛剣ツラヌキは敵の急所を突いた時に特大のダメージを与える武器。だからこそ、敵を倒すのではなく、時間稼ぎに集中する。


 ファラリスからしても、俺を優先して倒す必要はない。俺を無視して後ろの少女たちを狙う方が有利に戦える。それをやつは本能で分かっているだろう。だが彼女たちは狙わせない。俺がやつの影を踏んでいる限り、やつの動きは縛られる。だからさ、かかってこい! 俺がいくらでもお前の相手をしてやるよ! 心がひりつく戦いにつきあってやる!


 互いに防御が主軸の戦闘が高速でおこなわれる。ファラリスは単純な能力が高く、近接戦闘の技能もAランクの冒険者に相当する。この敵は今のサナと互角ぐらいの近接戦闘技能持っている。とはいえ所詮はAランク相当だ。俺からすれば、まだまだ軽くいなせる程度。そう簡単に俺を殺せるとは思うなよ? 骸骨の魔物め。とはいえ、焦る気持ちもある。


 ファラリスから迫る刺突剣を盾で防ぎ、次に迫る突きを盾で弾いた。ファラリスの上半身が後方に反れた。体勢を直そうとするファラリスにシールドバッシュを試みる。盾でやつの頭蓋骨をぶん殴ったが決定打にはならない。歯がゆいな。


 ファラリスは素早いバックステップで俺から距離をとろうとするが、俺の影踏みスキルがその思惑を許さない。大した距離がとれなくて残念だったな。お前のイラつきと嫌な気分がはっきりと分かるぞ。俺も、体が熱くなってきて嫌な気分だぜ。お互い様だなあ!


「――ハルカちゃんのことを忘れてねえか! ファラリスさんよお!」


 ハルカさんの声とほぼ同時に、オーラをまとった矢がファラリスの頭蓋骨に直撃した。激しい音が鳴り、敵の頭蓋骨が粉砕される。凄いぞハルカさん。あの硬い頭を粉砕できるなんて! が、ファラリスはそれで倒せる敵じゃない。頭を破壊しても、やつはまだ動いている!


「うええっ! 頭を破壊してもピンピンしてやがるぜ!」

「この勝負、おじさんとウイカゼちゃんにかかってるんだよ! ハルカちゃん!」

「そうだったな! サナサナ! そっちを補助するぜ!」

「助かるよ! ハルカちゃん!」


 後方でサナたちが話している間も俺とファラリスの戦闘は続く。サナは上方から迫る火の玉を防いでくれているし、ハルカさんもサナの戦闘を補助してくれている。あとは、ウイカゼさんのスキルが発動するのを待つ必要があるが。早くしてくれ~。俺の体もだいぶ熱くなってきてるし、内心気が気じゃない。なんて、考えていた時。


「皆さん、お待たせいたしました。解呪の嵐を発動しましてよ!」


 ウイカゼさんの準備が整ったようだ。そして、嵐がやってきた! ダンジョン内だろうが関係ない。解呪の嵐とはそういうスキルだ。顔に冷たい雨粒が当たって気持ちいい。ファラリスの呪いによって熱くなっていた体が、冷めていくのが分かる。感覚としてはサウナから水風呂に移動した時のあれに近い。良い気分だぞ!


「ありがとうございます。ウイカゼさん。あとは俺がなんとかします!」

「ええ! あとはお任せいたします!」


 ファラリスの行動パターンは知っている。さあ、最終ラウンドの始まりだ! ウイカゼさんが呪いを解いてくれたお陰で、最後まで戦えるぞ。本当に、感謝の気持ちでいっぱいだ! 皆のためにも、俺の頑張りどころだな!


 周囲が少しずつ暗くなっていく。ファラリスの体へとダンジョン中に残る火の玉が吸い込まれているのだ。火の玉を吸収し、残る魔力全てを燃やして襲いかかってくる。やつのパワーはこれまでとは段違いに上がってくる。まあ、最後の輝きってやつだな。遅るるに足らずだ。


「……おじさん、私たちも前に出る?」

「いえ、今のフォーメーションを維持!」

「了解。気をつけてね!」

「もちろん!」

 

 辺りが、だいぶ暗くなってきた。そして……視界が一気に明るくなる! まばゆい程の光を放ちながらファラリスは剣を構えた。全身から炎を吹き出す骸骨剣士。お前の全てが燃え尽きるまで、戦ってやる。負けるものかよ!

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