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ファラリスの呪い

「俺が前衛! サナは中衛! 後の二人は後衛です! 決してファラリスには近づきすぎないように! よろしくお願いします!」


 言いながら俺は影犬のスキルを発動。俺の影から黒い犬たちが現れ、機械仕掛けの闘牛ファラリスに向かっていく。犬たちが闘牛を取り囲むが……闘牛の体内から、勢いよく蒸気が放たれた! 周囲の視界が霞むほどの蒸気、単純にクソ熱いし間近で顔には浴びたくない。


 犬たちは熱にやられて消滅。こちらまで強烈な熱気が伝わってくる。流石はBランクダンジョン最強のボスといったところか。なんて感心している場合ではないな。


 闘牛から放たれる蒸気に対しては俺が盾になる。サナは俺の後方に位置してもらい、もう一人の盾役を任せた。更に後方の二人にも重要な役割がある。ハルカさんはアタッカーとして頼りにしているし、ウイカゼさんにも、やってもらうことがある。この敵には俺たち全員の力を合わせる必要があるのだ。相手は強敵だが、俺はパーティの皆を信頼してるし、きっと勝てる!


 蒸気を放った闘牛の動きが鈍る。あの技を使った後に隙ができることを、俺は過去の経験で知っている。だから、影犬を使ってでも蒸気攻撃を誘った。それに、蒸気攻撃は連発できない。闘牛に近づくのなら今がチャンスだ! 気合いを入れていくぞ! 熱さがなんだ! 俺にとっては気持ちの問題だ!


 蒸気が晴れていくのに合わせて前進! 闘牛に近づき、そのまま影踏みを発動! 影縛りも発動だ! 闘牛の動きを止め、後方に向かって叫ぶ! 一撃お見舞いしてやるぜ! 強烈なのを! お願いするよ!


「ハルカさん! 今です!」

「任された!」


 ハルカさんの大弓からオーラをまとった矢が放たれる。それも一発や二発ではない。何本もの強力な矢による攻撃が闘牛を襲う! 闘牛の周囲にいくつもの爆発が起こり、その衝撃は近くの俺にまで伝わってくる。あれは相当なダメージになるぞ! 俺も直撃すれば無傷でいられる自信はない。闘牛は唸り声をあげ、その場に崩れ落ちる。


「魔力の矢と速射の併用だぜ!」

「流石ですハルカさん! 残りの魔力は?」

「まだ残ってる!」


 そう来なくてはな! 千代田ダンジョンのボス。ファラリスはこれで終わりではない。むしろ、ここからが本番なのだ。気を抜くんじゃないぞ、皆!


 崩れ落ちていた闘牛の目が光った。直後、ポップコーンが弾けるかのように無数の金属片が飛び散る。破片の数は千を越えるだろう。その一つ一つがライフル弾並みの威力だ。俺が可能な限り、叩き落とす必要がある。実力の見せ所だぞ。アキヤ!


「――パアリイイイィィィィィィ!」


 俺は盾を巧みに操る。そうして次々に破片を叩き落としていく。だが、その数が千を越えるとなれば、流石に限界も出てくる。時間停止のスキルを使っても良いが、あれは魔力消費が激しいからな。ここはサナを信頼して任せた。俺が弾ききれなかった分は、彼女がカバーしてくれるってわけだ。


「私も――パリイィ!」


 後方からサナの叫ぶ声が聞こえ、破片が叩き落とされていく音が聞こえる。こちらに来た攻撃の九割は俺が弾いているため、サナが防ぐのは残り一割ってところ。今の彼女ならば、なんとかしてくれる。


 しかし、九割か。俺もまだまだだな。時間停止のスキルを使わなければ攻撃の全てを弾くことができない。より素早く、より広範囲の攻撃に対応するのが俺の課題だ。もっと頑張らなければ。


 それはそうと……サナの弾いた破片が一つ俺に当たりましたよ!? 彼女にも課題が必要だな。攻撃を弾く方向をもっとコントロールしてもらえないと困る。彼女が目指すのは仲間を守る騎士なのだ。そのための力と技術が彼女には必要となる。


「後方! 大丈夫ですか!」

「なんとか!」

「ハルカちゃんたちも無事だぜ!」

「こちら問題ありませんわ!」


 よしっ! ファラリスとの戦闘は順調だ。やつの闘牛形態から、散弾攻撃を経て、いよいよ次の形態が来る。こちらはすでにやる気マックスだが、相手もここからはやる気マックスだ! 燃えてきたな!


 闘牛の殻を脱ぎ捨てて、中から現れたのは人……と言うよりは金属でできた骸骨みたいな異形の姿。右の手には細い剣を持ち、左の腕からは炎が吹き出している。左腕の炎はまるでカーテンが揺れているかのようにも見える。マタドールを思わせるその姿には美しさすら感じられる。


 ファラリスの体が赤く光る。そして、広範囲に赤いオーラが放出された。来たな。やつをBランクダンジョン最強足らしめるクソ技が! オーラは一瞬で俺たちの体を通りすぎていった。さあ、急がないと不味いぞ!


「ウイカゼさん! 手はず通りに!」

「お任せください!」


 ウイカゼさんが解呪の嵐の詠唱を始める。さて、ここからが問題だ。今さっきのオーラはファラリスの呪い。呪いにより、俺たちの体温は少しづつ上がっていく。そうして体温が一定を越えた時、体内から発火して死ぬ。クソ技も良いところである。っていうか俺が欲しいよ。耐久してるだけで勝手に相手が倒せる技とか。


 この呪い、俺にも効いている。大抵のスキルは防げるんだがな。俺にも効くってどんだけ強い呪いだよ。嫌になるね。


 とはいえ、呪いであればウイカゼさんが対応できる。だからこそ、俺たちはこのボスとも戦えるのだ。


「呪いの力はファらリスから離れることでも解除されます。逆に、近いほど呪いの影響も強くなりますから、注意してください!」


 つまり、俺が一番ヤバイってことなんだよな。ま、なんとかするさ!

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