四人でお祝い!
「つまり二人はちょっと前から付き合ってたってこと!?」
「キャー恋ばなデスワー!」
僕とハルカさんが付き合っていることを知って、サナとウイカゼさんが、はしゃいでいる。さっきは彼女たちに詰め寄られてしまい、白状するしかなかった。隠していたことを少々責められながらも、それはそれとしてお祝いムードみたいになった。なんか、こっちとしては複雑な気分。
とうとうバレてしまったかと思いながらも、心のどこかではホッとしている。ずっと隠し事を、しているのは心苦しかったのだろう。あまり自覚はしない程度の、ほんの少しの罪悪感だったのだろうが。
「アキヤさん。とうとうばれちゃったな」
「だねえ。ハルカさん」
そんな何気ないやり取りにもサナたちはキャーキャー言っている。いや、そんなに面白いものじゃないだろう? こっちは、ちょっと恥ずかしいぞ。
「叔父さんにも春が来たかあ。うんうん」
「今日はお祝いですわ! 二次会の手配とかしますか?」
「やらんでいい。俺はそういうのは、恥ずかしい。二人とも、はしゃぎすぎじゃないか?」
俺がそう答えると、サナたちはブーブーとつまらなさそうにブーイングしてくる。何で俺今責められてます? 訳が分からん。
「お祝いさせてよ。アキヤ叔父さん。ハルカちゃんも、その方が嬉しいよね!」
「む、そりゃまあ……私も嬉しいっちゃ嬉しいが」
サナの圧しが強い。でも、ハルカさんとしても嬉しいのか。そうだとしたら、二次会を開くことも考えちゃうな。とはいえ、サナとウイカゼさんが、お祝いにこだわる理由。気になるな。
「二人は、どうして俺とハルカさんのことを、そんなに祝ってくれるんだ?」
「だって、当然だよ」
「当然ですわ!」
当然……そうなの?
「だってさ。叔父さんもハルカちゃんも、私たちにとっては大切なパーティメンバー。仲間だし、二人の嬉しい気持ちは私たちも共有したいんだよ。それに」
「それに?」
「叔父さん、今までたくさん人のために、頑張ってきたじゃん。ハルカちゃんも、皆のことをいつも見ながら動いてくれていることを知ってる。そんな二人が幸せになるなんて、納得しかないよ!」
そ、そうかな? そこまで言ってもらえると、照れてしまうな。こう言われて、ハルカさんはどう思っているんだろう、なんて考える。彼女の方を見るとハルカさんは嬉しそうな顔を下に向けていた。恥ずかしくてうつ向いてるってこと!? か、可愛い!
「ま、そう言われると私も嬉しいぜ……ありがとうな」
「じゃ、じゃあ二次会やる。近くに美味しいお店知ってるし」
俺とハルカさんの反応を見てか、サナとウイカゼさんの表情がパアッと明るくなる。そんな顔されたらさあ、こっちも嬉しい気持ちが抑えられなくなってくるだろお!
「よし! 二次会行くぞ! 会議おしまい!」
「良いね良いね! やろうよ二次会!」
「そうこなくては! 皆で二人の門出を祝うのです!」
か、門出って……まあ、今は突っ込むのは野暮かもしれない。二次会に向かうのはちょっとした旅だろうか。それはやっぱり違うか。くすぐったさを感じながらも、二人から祝福されるのがたまらない気分だ。
ハルカさんは観念したように肩をすくめた。俺のそばに近づいてきて、そして、サナたちに見せつけるように俺と腕を組んだ。突然の行動に、俺の胸がドキリと高鳴る! サナたちもびっくりしたように目を見開いていた。
「そ! バレちゃったなら! いっそ見せつけるぜー! サナたちにはな! けれど、これはまだしばらくは、私たちだけの秘密だからなー」
「ひ、秘密!?」
驚きながらも俺が聞くと、ハルカさんはうんと頷く。皆には秘密にしておくのね。ハルカさんなりの考えがあるのだろう。今、ここで聞いても良いのかな? 恥ずかしさを紛らわしたいし。
「え、えっと……秘密というその心は……?」
「そりゃ、私たち人気配信者だぜ? 特に、アキヤさんはあの渋谷スタンピードの一件以来相当な人気なの自覚してるか? 私たちが付き合ってることが世間にバレたら、最悪私が刺される」
「刺される!? ハルカさんが!?」
俺じゃなくて!?
さっきから驚かされっぱなしだ。ハルカさんは、とても愉快そうに笑う。お、俺が困惑してるのが、そんなに面白いだろうか? まあ、ハルカさんが笑うところは好きだし、悪い気はしない。
「もしかしたらアキヤさんも刺されるかもな。でもアキヤさんは包丁とかナイフで刺されても逆に刃物を折っちゃうだろ」
「それは……そうなんだが」
「いや、まじでそうなのかよ!?」
ハルカさんが突っ込んだ瞬間に、サナとウイカゼさんがドッと笑う。そ、そんなにおかしかったかなあ? けど、良いか。皆楽しそうだし。
「夫婦漫才も板についていますのね」
「秘密ということなら、外に漏らさないように注意しなくちゃね。うん、それじゃ二次会も人の少ないところでやった方が良いかもね」
夫婦って……いや、それより落ち着ける場所の方が良いか。そうなると、さっき考えてたのとは、また別の店を考えた方が良いかな。とりあえず、池袋の祭門辺りを紹介してみるか。
「ならさ、おすすめのお店があるんだけど……」
そうして、場所は移る。今夜はちょっと長くなりそうだ。




