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トレーニングと重大発表

 火曜日。


 俺は渋谷の冒険者協会へ呼ばれていた。地下のARトレーニングルームで魔物の立体映像と戦うのだ。だいたい週に一回くらいの頻度で呼ばれては、色々な魔物を相手にしているわけだが、そろそろ対戦相手のランクもBくらいまで上がってきた。まだまだ戦えるが、そのうち俺単独ではしんどい相手も出てくるだろうか? 負けるとは言っていない。


「アキヤくーん。今日はウェアウルフとの戦闘だよー。同時にビッグエイプも付けてみるから、頑張ってねー」


 ARシステムの主任、アキヅキが気楽に言ってくる。構わないけど、ちょっと面倒なオーダーかもな。まあ、やってみるさ。最近の俺は結構自信も付いてきてるんだ。


「というわけで、舞台は遺跡。やってみよー」


 殺風景なトレーニングルームに石造りの柱が並ぶ空間が発生する。ところどころには、人一人が隠れられるくらい大きな石のブロックがある。ふぅん、魔物が姿を隠しやすい環境。面倒に思える。


 前方と後方、それぞれ魔物が居るな。気配だけではどっちの魔物が、どの種類か、までは分からない。が、構わない。まずはウェアウルフから仕留める。向こうから攻撃を仕掛けてきたところにカウンターを入れて倒してやる。そう考えていたところに――仕掛けてきたな! 倒してやるぞ。人狼、ウェアウルフ!


 後方から素早く迫る相手に対して、俺はすぐさま振り返って応戦。影踏みと影縛りを瞬時に発動。動きを止めたウェアウルフの心臓を一突き! まずは、一体撃破! 余裕余裕!


 そこへブロックが飛んでくるが、素早く回避。盾があれば弾き返すんだがな。俺のスキルをいくつかARトレーニングに対応させてくれたのは嬉しいんだけども、できれば盾とか鎧の装備も作って欲しいなー。なんて以前アキヅキに提案した時は「アキヤ君が勝てなくなるまで今の装備でやってねー」とのこと。鬼かな?


 ブロックが飛んできた方を見れば、柱の上から俺を見下ろすビッグエイプの姿がある。俺は素早く柱へ迫り、そのまま柱を駆け上がった。ある程度の、短い時間なら垂直にだって走れる。今は鎧も着てないし、楽に走れる。ただ、鎧が無くて普段と感覚が違うのは、むず痒いんだよな。それはそれとして。


 ビッグエイプは片手で俺を捕まえようとしてくる。俺は、毛むくじゃらの大きな手を素早く回避。そうして、ビッグエイプの顎に蹴りを叩き込む。さらに、やつの目へトレーニング用のスティックを突き刺した。柱からは大猿が転落した。俺は問題なく着地する。二体のボス級の魔物が相手でも、所詮はBランクとCランクだ。こんなものさ。けど、今後も気を引き締めていこう。


「アキヤ君おつかれー。ゴーグル外していいよー」


 アキヅキに言われ、ゴーグルを外す。すると、目に見えていた景色は殺風景な白い部屋に戻った。何もない空間に舞台やモンスターを投影する技術って面白いよね。これ、ゴーグルを被ったりしないでもAR空間を見ることは出来ないんだろうか。技術的に難しいのかな? 詳しいことは全く分からないんだよな。


「今日も、良いデータが取れたよー。魔物の動きも上手く再現できてるし、トレーニングとして申し分ないね。近いうちにバージョンワンとして、公開ができるかもしれない!」

「そいつは良かった。ちなみに、近いうちっていうのは、どれくらいの近さなんだ? 来週にも発表ができるのかい?」


 俺の問いにアキヅキは待ってましたとでも言いたそうな表情で胸を張る。その反応だと発表はかなり近いかもだな? 楽しみだね。

 

「ふっふっふー! ARトレーニングの一般利用は夏ごろを目指してるよー」

「へー夏に発表か。結構早いな」

「何言ってんのさ。アキヅキくん。全国公開もとい公式発表はもっと早いよ。今夜にもネットでベータテスターの大量募集を開始! トレーニングルームの様子も動画で公開します!」


 今日!? それはまた、随分早いな!? いや、開発自体は何年も前から始まってたって話だし、別におかしくはないのか。いや、それにしても今日か。ぜひ、見なくてはな! テスターとはいえ開発に関わってるからなー。気になる!


「……ん、でもちょっと待て。トレーニングルームの様子を動画で公開するってことは、俺も動画に映っちゃうのか? 確かテストの様子は撮影してるんだよな?」

「記録のためにねー。でも安心してね。動画はもう完成してるし、そこにアキヤ君は映ってないから。動画、先に確認する?」


 あ、そうなの。動画に映ってないのは安心したというか、ちょっとだけ残念な気持ちもあったりだ。うーん、でも全国公開の公式動画に映るのはやっぱり恥ずかしいかも。どっちかな。俺は今もシャイ……だと思うけどね?


「今夜、協会からARトレーニングとか老神重工の新しいガジェットなんかを色々発表するよー。重大な発表もあるから、ぜひ見てねー」

「重大発表って、この前の全国の冒険者に身体能力テストを実施ってやつ」

「あれとは別、というか、アキヤ君たちはこの前にテストしたんだから大丈夫だよー。結果も出てるしサナちゃんたちのAランク昇格は決定済みだから、安心してね」

「了解」


 それなら安心だ。それにしても重大発表は別の案件か。だとしたら、気になるな。いったいどんな発表だろうね?

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