ファミレスミーティング
テーブルの上に皿が重なって山みたいになっている。皿を下げに来た店員さんが、ギョッとしていた。いやあ、食べたね。満足満足。
食事も一段落、ドリンクバーから新たに飲み物を持ってきた。サナたちがデザートのアイスを注文して、それが来るのを待ちながら今後の活動について話し合う。
「じゃあ、次の土曜日はBランクのダンジョンに挑戦するということで決まりだな」
「うん、それでね。おじさん。今度は練馬区のダンジョンに行こうかって、私たちの方でも話し合ってたんだけど、どうかな?」
「練馬か。良いんじゃないの。あそこは丁度Bランクのダンジョンだしね」
俺の返事を聞いたサナは嬉しそうに「やった!」と言う。彼女がそういう反応をしてくれると俺も嬉しい。
「おじさん、次は練馬ダンジョンで決まりだね!」
「決まりだ。で、あそこの魔物は単純にパワーがある。厄介なスキル持ちは居ないけど、このランクのダンジョンから、魔物のフィジカルはかなり高くなってくる」
脅す訳じゃないけど、そこは、はっきり言った方が良い。実際、この辺が冒険者たちにとっては一つの壁ではあるのだ。Bランク冒険者に昇格したは良いが、Bランクダンジョンは攻略できない人物。そこから上には進めなかったという冒険者は多く見てきた。とはいえサナたちはそこまで悲観的になる必要は無いだろう。
「サナたちなら、油断さえしなければ大丈夫だよ。金属スライムを相手に充分なレベル上げはしたし、ウェンディゴや魔王だなんて、強力な相手と戦った経験もある。落ち着いて挑めば、攻略はできるはずだ」
と、そこまで話したところでアイスクリームが運ばれてきた。とりあえず、ダンジョン探索の計画については、これくらいにしておこう。
「各自。装備の管理だけは怠らないように」
「「「は~い」」」
なんとも、気の抜けた返事だなあ。と思いつつも、これくらいで良いのかもしれない。いつも気を張ってたんじゃ体が持たない。それに、ここはファミレスだしな。
俺も、また数日はゆっくりさせてもらおう。最近はパソコンも購入したし、色々とゲームを触ってみているのだ。サナたちの配信を見てたら俺も久々にゲームで遊びたくなったんだよ。そういう話題は俺からサナたちに振っても良いものかな……振ってみるか。
「俺な、最近さ」
「うん?」
さながアイスを口に含みながら不思議そうな顔をした。ハルカさんとウイカゼさんの視線もこちらに向いている。彼女たちの反応を見るに、こちらに興味を持ってくれたのは分かる。その上で、話を続ける。
「最近パソコンを買ったんだ。ゲームとかやりたくてね。で、落ちものとか音ゲーとか触ってみては、いるんだけど、サナたちからおすすめのジャンルとかある?」
その途端、サナたちの目の色が変わった。まるで沼へ獲物を引きずり込もうとする魔物みたいな目で、ちょっと怖いぞ。
「おじさん、やっぱり王道はアクションゲームだよ。レースゲームも良い! 私はパソコンのゲームはあんまりやらないけれど、アクションこそがゲームの基本と言っても良いよ!」
「ゲームの基本って言うならRPGでしてよ! やはり触るべきはRPGですの! ゲームとは、非日常を体験するものなのですから、剣と魔法のRPG。これですわ!」
「二人の言うことも最もだが、ゲームってのは友達と楽しんでこそだぜ。というわけで、おじおじ! ハルカちゃんと一緒にFPSとかTPSをやらないか? 配信とか関係なくプライベートで良いからさ!」
三者三様で色々な答えが帰ってくるものだなあ。うん、参考にさせてもらおう。アクションとRPGとシューティングね? というか、今も三人娘はあれこれ話し合ってるな。これ、熱中するうち、喧嘩になったりしない? ちょっと不安になってきたぞ。
心配していたのだが、話は平和に着地した。サナたちで『アキヤおじさんに色々なゲームを布教するコミュニティ』なるものを、作るのだとか。当然? 俺も強制参加。俺は彼女たちにおすすめのゲームジャンルを聞いただけなのに、どうしてこうなった。まあ、彼女たちからの親切は嬉しい。
とりあえず、彼女たちの熱も落ち着き、器のアイスの空になった。あとは……そうだな。ダンジョンの食材を使った料理について相談をしてみるか。
「……俺も配信をやってみようと思っててね。土曜日に作ったバターソテーみたいにダンジョン食材を使った料理の紹介とかを、やっていきたいと思ってるんだ」
「へぇ! それは良い考えだね! おじさん」
サナも良い考えだと思ってくれるか。それで、なんだが。
「すぐに始めようって訳じゃないけれど、そういうこともやってみたいと思ってる。ああいうのって、自宅のキッチンで撮影して良いんだよな?」
「良いんじゃない? あ、でも、おじさん。自宅でカメラを回すなら、住所だけはバレないように注意してね」
「それはもちろん、分かってる。住所がバレたりはしないように気を付けるよ」
その後、装備の相談などについてファミレスで話し合ったあと、頃合いを見て解散となった。今日はとても充実した一日だったと思う。
来週のダンジョン探索も頑張ろう!




