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レベルとダンジョンのルール

 多摩ダンジョンのジャイアントコッコを討伐し、帰りにファミレスで打ち上げ会となった。何だって楽しめるものは、楽しまないとな。それと、今後の予定について話し合ったりもしておきたい。


「ジャイアントコッコ討伐お疲れ様でした」

「「「お疲れ様でした~」」」


 さて、ドリンクバーと食事の注文をして、飲み物をとってくる。ハルカさんも手伝ってくれて、四人分の飲み物をテーブルに運んだ。喉乾いてたからね。冷たいお茶が嬉しい。


「おじさん。おじさん。質問良いかな?」


 早速サナが手を挙げた。今日のことでなにか気になったりしたのだろうか? 答えられることなら、答えるぞ。


「私たちってこの前のスタンピードでたくさん魔物倒したよね。なんなら、魔王とか言ってたのも倒したよ。それで、今日は多摩ダンジョンのボスモンスターも倒したんだけど……」

「だけど?」

「なんと……レベルが上がってないのです! これって私たちの成長限界ってことです!?」


 ああ、なるほど。そういうこと。サナは不安そうな顔をしている。けど、大丈夫だよ。サナたちのレベルが上がってないのには、成長限界以外の理由があるのだ。


「まず、先に言っておくとサナたちはまだ成長ができると思う。まあ、俺の勘と言ってしまえばそれまでなんだが、限界を迎えたんじゃないかと心配をする必要は無い」

「そう……なのかな?」

「そうだよ。ここでレベルアップについて勉強してみようか。料理が来るまでには終わると思うよ」

「うん、教えて」


 サナだけでなく、ハルカさんとウイカゼさんも話が気になるようだ。彼女たちも、この間からレベルが上がっていないことは気になっているみたいね。とりあえず、結論から話して彼女たちには安心してもらおう。それが良いと思う。


「結論から言うと、スタンピード……というか、ダンジョンの外で、どれだけの魔物を倒してもレベルが上がることは無いんだ」

「そうなの?」


 サナの表情が不安そうなものから、不思議そうなものに変わる。ダンジョンの外ではレベルが上がらないってのは不思議だよな。若い頃、俺もそのことについては何故だろうと考えていたことがある。ま、今はそういうものなんだと考えているけど。


「昔、とある金持ちの男が冒険者たちを雇ってダンジョンの外へ魔物を運ばせてたことがあってね。魔物を外に運んで専門の機械で倒せば、安全にレベルが上げられるんじゃないかって考えたんだな」


 専門の機械ってのはプレス機のことなんだけど、今は食事前だし伏せておこう。そこは重要な情報ではないしな。実際その男の発想は面白かったと思う。手動でレバーを引くだけで自分は安全にレベルが上がる。これが実現できてたなら、かなり良いレベルの上げ方だったろう。


「それで、おじさん。その男はどうなったの?」

「そうだね。結局レベルは上がらなかったんだとさ。そいつは一週間くらいダンジョンの外で魔物を倒し続けたんだけど、レベルは一つも上がらなかった。その後、ダンジョンに潜って、地道に戦って、レベルは上がったという話さ。そいつの成長限界ってわけでも無かったんだ」

「それは、なんだか不思議な話だね」

「俺も不思議な話だと思うよ。サナ。で、その教訓があって、ダンジョンの中でしか、魔物を倒しても経験値が手に入らないっていう常識が、当時の冒険者たちの間に生まれたんだよ。十六年前のことだけどね」


 サナたちは感心したように俺の話を聞いている。少なくとも、彼女たちの不安は取り除けたようだ。俺も安心。


「へえ~。一つの疑問は解消したけど、新しい疑問もできるね? なんでダンジョンの外だと経験値が手に入らないんだろ?」

「なんでだろうね。ダンジョンの外では、魔物から経験値を得ることも、魔石を得ることも、できない。そういうものでは、あるんだけど」


 そのことについて、俺からは、上手い答えは返せないんだよな。どうしたもんか。と思っていると、ハルカさんが手を挙げる。何か思い付いたのかな? 彼女の考えに興味がある。


「なんというか……私はただ、昔読んだ漫画の設定とかを思い出しただけなんだけどよ」

「ぜひ聞かせてほしい。俺はハルカさんの考えに、興味があるよ」

「あ、そ、そう? へへ……興味あるのか」


 ん、何かハルカさんが嬉しそうな顔だけど、まあ良いか。それより、話の続きを聞かせてほしい。


「……で、続きなんだけどさ。ハルカちゃんが思うに、ダンジョンってのは、世界のルールが違うんじゃねーかな? いや、魔物が居たりレベルの概念がある時点で、外とは色々違うんだけどよ。経験値や魔石はダンジョン内だけで発生する。そういう領域とか、テリトリーって言うの? ダンジョンってさ。魔物と人間が戦うための、ルールが設けられた空間なんじゃないかって思うんだ」

「なるほど」

「考えが上手くまとまってなくて、すまねえ」

「いや、凄く興味深い話だった」

「そうかい? なら、良いんだけどよ」


 もしかしたら、と思う。もしも、ダンジョンがあの魔王が作った空間だったのだとしたら、あれは人間と魔物が争う闘技場みたいなものだと言われても納得できるのかもしれない。今となっては確認のしようもないが、ハルカさんの考えは俺にとって新鮮だった。


 と、そこまで話が進んでいたところで注文の料理が運ばれてきた。とりあえず、話はまた後だな。先に食事だ。お腹がペコペコだもの。食べるぞー!

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