ジャイアントコッコ討伐
翌日になって、今日も昼からダンジョン配信だ。せっかく多摩ダンジョンに一回来たのだから、ってことで、俺たちのパーティで多摩ダンジョンを攻略することになった。ここの驚異度はダンジョンの中でも最低ランク。肩の力を抜いていこう。
「じゃあ、皆さん。今日も探索をやっていきましょう」
「「「了解~」」」
多摩ダンジョンは、小川の流れる静かなダンジョンだ。出現する魔物はスライムかゴブリンがほとんどで、ボスもそれほど強くない。今のサナたちならば、ハイキングくらいの気軽さで探索できる。俺の方も結構気楽だ。とはいえ、万が一はあるからな。慢心は良くない。そこは、自分を戒めておこう。
木々の間を歩きながら時々魔物を倒す。順調な道のりで、苦労もなくボスモンスターの住み処まで到着した。大きな鳥の巣みたいに、枝や幹が組み合わされている。鳥の巣ってなんか良いよね。
※ここがボスモンスターのハウスね
※今日の配信は平和やな
※多摩ダンジョンは初心者冒険者にも優しいよ
※今のサナ姫たちにとっては散歩コースだな
※私も今度このダンジョンに行ってみようかな
コメントも和やかで、ほっこりする。じゃあ多摩ダンジョンのボスに挑むとするか。
「おじさん。今回はどういう作戦で行きますか?」
ジェスチャーで、手にマイクを持つような動きのサナは可愛らしい。で、作戦か。今回は、それほど凝った作戦は用意してないんだよな。必要ないもの。
「今回の作戦はシンプルです。俺とサナで前衛を担当し、後ろの二人を守ります。ハルカさんが攻撃役です。ウイカゼさんはいつでも動けるようにしていてください。この陣形で正面から叩きます」
「つまり、いつものフォーメーションで正面から叩くってことです?」
「そういうことです」
「確かに、シンプルですね……?」
サナは、もっと凝った作戦を望んでいるのだろうか。でも、必要がないのに、作戦を複雑ににはしない。必要以上に行程を複雑化はするのは良くないからな。それが大事な考え方だと、俺は思っている。
「シンプルで良いんです。複雑な作戦は、それだけ考えることが増えますから、細かなミスも発生しやすくなるんです。そういうわけで今回はシンプルな作戦でいきますよ」
「なるほどー」
サナは納得したようだ。ハルカさんと、ウイカゼさんも同様の反応。彼女たちは柔軟な思考を持っている。スポンジみたいにどんどん知識を吸収するから、教える方としても、凄くやりがいを感じる。
「というわけで、行きますよ」
サナたちが頷き、ボスの住み処へ突入する。そこに待っていたのは、二メートルはあろうかという大きなニワトリ。ここまで大きいと、ニワトリというよりも恐竜だなあ。と、見るたびに思う。Dランクの魔物ながら、なかなかの迫力だ。
※でっか!
※恐竜やん!
※美味そうな魔物だな。でも魔物だから食えないのか
※皆頑張れー
※ボスバトルだ
「こいつが、多摩ダンジョンのボス。ジャイアントコッコです! 太い脚と、鋭いクチバシには注意をしてください!」
「「「はい!」」」
俺たちが陣形を固めてすぐに魔物が動く。ジャイアントコッコの太い脚が俺に迫ってくる。盾を構えて、スキルで応戦だ!
「パリィ!」
魔物の脚を盾で弾く。よろめいた敵の頭へハルカさんが強力な一撃を叩き込む。
「魔力の矢!」
ハルカさんが、オーラをまとった矢を放つ。その一撃が、ジャイアントコッコの頭を一撃で吹き飛ばした。良い威力してんねえ!
※おー!
※流石のハルカちゃんだ!
※あれ、もう終わり?
※ボスでも、この辺のランクの魔物は敵じゃないな
※ないすー
「やりぃー」
ハルカさんがウイカゼさんやサナにハイタッチをしてから、俺の方にも、やって来た。もちろん俺もハイタッチで応える。
「良い一撃だったろ。おじおじ」
「ナイスです。ハルカさん」
「へへっ! だろー!」
ジャイアントコッコは、くすんだ茶色の魔石を落とした。これは、ドブログさんに買い取ってもらうか、そうでなければ加工してもらおう。ともかく、お疲れ様です。皆。
「サナさんとウイカゼさんも良い動きでした」
「私、今回は大したことはやってないよ?」
「私も後ろで見ているだけでしたわ」
「そんなことないですよ。陣形を組むまでの動き、とてもスムーズでした」
まず陣形をスムーズに組むということができない冒険者も多い。サナたちは即座に状況に対応する力も身に付いた。褒めるべきところは褒めないとな。凄く良い感じだぞ。皆!
そうして、今回の配信も好評のうちに終了した。俺の緊張も緩む。多摩ダンジョンを後にして、さあ、帰るかという段階でハルカさんが「はいはーい」と手を挙げた。ん、何だろうか? 聞くよ。何でも話してほしい。
「打ち上げしようぜ。打ち上げー。ファミレスとかでよー」
「良いよー。打ち上げしよっか」
「流石サナサナ。話が分かる~」
すでに二人は打ち上げする気満々だな。楽しそうで良し!
「ウイウイとおじおじも大丈夫かな? 私たちは、やる気満々だぜ?」
「私は構いませんわ。おじ様はどうです?」
彼女たちの問に対して答えは決まっている。
「……もちろん、俺も行くよ!」




