表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/73

マイコニドハント

 次の土曜日、多摩ダンジョン。小川のせせらぎが気持ちの良い自然豊かなダンジョンへと、俺たちはやって来ていた。久しぶりに来たが、良い場所だ。


「こんサナー! 私たちは、多摩ダンジョンに来ています。今日は、ダンジョンで料理を作ってみようと思います! アキヤおじさんは料理も作れるんだって!」

「簡単なものだけどね」


※おー料理会か

※何作るん?

※美味しい料理の予感!

※こんサナー

※料理かー。良いね


 サナの宣言から始まった配信には、早速コメントがついていく。反応が返ってくるのは、やっぱり楽しいものではないかと思う。俺は楽しい。


「では、まずは食材の確保から、やっていこうと思いまーす! というわけでおじさん! 今日、作る料理を発表しちゃってください!」

「了解です。というわけで、今回俺たちはキノコのバターソテーを作ろうと思ってます。ただのキノコソテーじゃありませんよ。マイコニドという食材を使ったソテーです」


 マイコニド。歩くキノコ。やつらは魔物ではなく食材判定なのである。その証拠に、倒してもすぐに消えたりしない。魔物は大抵が、倒すと塵になったり、煙を吹いたりして消えるからな。ダンジョン内を歩き回ってて、食用にもできる存在ってのは凄く貴重だ。味も良いしな。俺はマイコニド好き。


※マイコニド!

※歩くキノコか

※あいつら可愛いよね。しかも美味いんだ

※多摩ダンジョンなら危険な魔物も居ないし、安心して料理ができるね

※EOEも先日確認されたばかりだしな。別のS級が居合わせて倒したんだっけか


 今回、ダンジョンで食事を作るのには、もちろん理由がある。今後挑む広範囲ダンジョンでの活動を見据えているのだ。すぐに、そういうダンジョンへ挑む訳ではないが、少しずつ経験を積んでおくべきだろう。


「いずれは数日がかりで攻略するような広範囲ダンジョンの攻略も、視野に入れたいですからね。少しずつ、パーティの皆にダンジョン内での野営にも慣れてもらいたんですよね」

「所謂上級ダンジョンでの活動に備えての訓練って訳だなー。ハルカちゃんも頑張るぜー」


 その通りだ。ハルカさん。まあ、携帯食料だけでも、数日の活動には耐えられるんどけど、選択肢は増やしておいて損はない。体力回復の効率で言えば、ダンジョン食材に勝る食べ物は無いしな。それにこれは配信だからね。リスナーに楽しんでもらえる企画があるなら、積極的にやっていきたい。


 ウイカゼさんが、辺りをキョロキョロしている。目的の食材を探しているのだろうか。やる気充分だね。その気持ちはとても良いと思う。


「それではマイコニドを探しましょうか。おじ様、そのキノコを探すコツはあるんですの?」

「コツは、足跡を探すことと、香りに注意することですかね」

「足跡と、香り……ですの?」

「そう、マイコニドは松茸みたいな香りを出していますから、注意していれば気付けますよ」


 というわけで、早速多摩ダンジョンの探索を開始する。ほどなくして、丸っこい足跡を発見。追跡をすること数分。菌糸特有の香りが鼻に届く。


「マイコニド。近いですよ」

「分かるの? おじさん」

「分かる。経験則ってやつですよ」


 そして、予想通り一分もしないうちに歩くキノコを発見。人の幼児くらいの大きさのキノコは食材だと考えると、なかなか存在感がある。やつは木々の間をトコトコ歩いていた。倒すのは、そう難しくない。ここはサナたちにやらせてみよう。彼女たちには、色々な経験を積ませてやりたい。


※あれがマイコニドか

※可愛い

※美味そうだ

※あれで魔物とは別分類らしいから不思議だよな

※食えるなら、なんだって良いぜ


「サナたちに行ってきてほしいです」

「私が?」

「任せました」

「了解」


 ハルカさんとウイカゼさんも頷き、三人は行動を開始する。サッと動き、位置についた。慣れたものだな。これまでの経験が活きているぞ。三人の成長が感じられて、おじさんは嬉しいよ。


 そして、三人がマイコニドを襲う! 背後から迫ってくるサナに驚いたキノコは、慌てて逃げようとする。が、ハルカさんとウイカゼさんに進路を塞がれ、逃げることができない。そこへサナの新しい剣による一撃! マイコニドが縦に割れた。


「おー! やりました! マイコニド撃破です!」

「食材確保ですわ!」

「やったなー。と言いたいとこだが、敵さんだぜ」


 サナたちの前に現れたのはゴブリンが四体。やつらもマイコニドを狙っていたのかな。魔物たちはダンジョンでは、こういう食材を食べている。で、悪いがおまえたちには、このキノコはやらん! すぐにサナたちの陣形に加わる。


「とりあえず、一人一殺でいきますか」

「「「了解!」」」


 ゴブリンたちが全滅するまで十秒かからなかった。小鬼の群れはあっという間に、塵になって消える。こうしてみると、食材と魔物の差をはっきりと感じられる。彼らの違いってなんなんだろうね?


「改めて……食材確保! 皆、お疲れ様です」

「えへへ! これくらいなら簡単だね!」

「もっと難しい食材だってゲットできましてよ! たぶん……」

「なんにせよ、これで料理ができるぜー」


※おー

※ひとまず、お疲れ様

※こっから器具を準備して調理開始?

※キノコ料理良いねー

※さあ、ここからだ


 コメントにもあった通り、ここからは器具の準備をして調理開始……いや、念のためダンジョンの入口付近までは戻っておくか。調理も頑張るとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ