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ノンフィクション短編

日本の住宅に関する近未来予想と提案

作者: 十三岡繁

 なんでしょうこの固いタイトルは? 書いていたら結構長くなってしまったので、いつもエッセイを書いている『道楽草』ではなく、単独のエッセイとしてアップしました。若い方々には実感が湧かないと思いますが、中年以上の人には結構自分の身にも関わってくる話かと思いますので、お時間の許す方はご一読いただければ幸いです。


 偉い方々は見て見ぬふりをしている人が多いんですが、私は本業は建築士なので誰でもが予想しうる日本の住宅事情の未来を書いていきたいと思います。


 少子高齢化と人口減少に関しては日々報道されているので、殆どの人はご存知だと思います。2024年の日本人の出生数は70万人を切る見込みです。日本の出生数の最高記録は昭和24年の270万人ですから1/3どころか1/4ですね。1年間でどれくらいの日本人が減っているかと言えば、2024年初めの時点で86万人なので、もう90万人に届いているかもしれません。それに比して外国人の数は年間で30万人以上増えているので、総人口は60万人ぐらい減っている感じですね。


 外国人を含めて考えても、年間に60万人も減っているのだから物凄い住宅が空き家になって行く……私もそんな風に考えていました。しかし実際はそうではありません。人口は減っていますが世帯数は逆に増えているんだそうです。なるほど、昔であれば一家庭の構成メンバーと言えば両親に子供二人、更にはおじいちゃんおばあちゃんも同居してたりして5、6人ぐらいは普通でした。今は核家族化して独居老人や結婚しない独身の若者も増えているので、確かにそりゃそうだという感じです。


 シェアハウスなどを除けば、一世帯で一住居を使うので住宅を数で考えれば余ったりしないのでしょう。しかしミスマッチは起きていると思います。単身者用マンションやアパートもありますが、以前多かったファミリータイプでは広すぎます。そうして新築だけでなく中古も価格が上がっているので購入できる層は限られてきました。社会は二階層化しています。それがいいのか悪いのかはおいておいて、資産を持つ人はそれをどんどん増やしていきます。きっと一部の富裕層は持ち家で、更には資産としての住宅物件を所有し、一般人は賃貸に住むという時代がやってくるのでしょう。


 現在の高齢者には金銭的に豊かな方も少なくありません。そこを狙って高級老人向けマンションなどが建設ラッシュです。このあたりの物件は富裕層は減っていないので、供給過多という事にも当面ならないような気がします。問題は築年数がそれなりに経過したファミリータイプなどのマンションです。いくら資産階級の人々が買い付けたとしても、入居者を探すのが大変そうです。広すぎるからです。かと言って水まわりの問題があるので、一戸を二つに分けるというのも難しいでしょう。


 なので私はこれからはシェアハウスが増えて行くような気がしています。今は若者中心の住まい方ですが、これが独居老人世帯にも広がっていくのではないでしょうか? もちろん自分で自分の事ができない所まで衰えてしまえば施設に行く他ないですが、自分の事は自分でできるような高齢者はそういった住まい方をするようになるんじゃないでしょうか?


 今でも生涯独身を貫いている様な方々は、老後みんなで一緒に住もうなどと友人と話している人もいらっしゃいます。定期的にヘルパーを派遣してくれる自治体もあるようなので、集まって住んでいればヘルパーさんの訪問頻度も上げる事ができるような気がします。お世話をされる方の人数が多くなりすぎると、ヘルパーさんの負担は大きくなりそうですが、食事などで言えば一人分作るのも二人分作るのも、手間は二倍にはならないような気がします。


 最近近所で始まった集合住宅の工事は賃貸物件が多く、更にワンルーム形式の単独世帯用の物件が増えているような気がします。以前ワンルームと言えば若者向けでしたが、今後の独居老人の増加も見越してオーナー側は計画しているんでしょうねきっと。今はまだ独居老人の入居に対して、嫌な顔をするオーナーも少なくないと思いますが、もうじき高齢化と人口減少が進むとそんな事は言ってられないでしょう。でも私はこの動きには懐疑的で、既存建物を改修して高齢者用のシェアハウスにしていく方が、社会全体としては合理的かなと思っています。

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