九話 兎を説得します
九話 兎を説得します
味には満足してくれたみたいだが、小人達は不満そうだ。
「汗だくじゃないか」
「えー、また洗うの?」
サイズが面倒臭そうな顔をする。
「汗臭いまま、就君に会う気?」
「分かった。兎も後で入ろ」
「え?」
兎は戸惑っている。初めて訪れた男の家の風呂を使う事になるとは思ってなかったのだろう。
「でも……」
「大丈夫だ。風呂場に男達が入ってきたら首を刈る。安心すると良い」
「着替えが……」
「妹ので良ければ貸します。勝手に人の家に物を置いていくのでちょうど良いかと」
言いくるめられ、もらい湯決定。要としてはたこ焼きの後片付けがあるので、風呂場に人間がいてくれたほうが助かる。後の事はエスパーダに頼んでおいた。
女性陣は腹が落ち着いた頃、風呂場に向かった。その頃には鉄板も片付けており、要はゆっくりと寝転がる。
「要がそこまでリラックスするのは初めてだな」
「俺達も客だ。もてなせ」
「もてなしは終わりだ。これからは音を返すんだ。要の妹やシールド達を助けるんだ。これは俺達小人族だけでやり遂げる」
「なんでさ」
「人間は目立つ。それはこの前のような相手には要は無力だ。足手まといと言って良い」
はっきりと言ってくれる。が、自覚していた事だし、ノーダメージだ。
「あの女は?」
「あれは手引きしてもらうだけさ。断ったらここから帰さないけどな」
怖い事を言う。
「血は流さないでくれよ。掃除が大変だから」
釘を刺したつもりだが、二人がドン引きしていた。