八話 熱すぎます
八話 熱すぎます
鉄板に火を入れて、油を塗る。小人達は距離を取って、要と反対側に固まっていた。我慢大会のスタートだ。
鉄板の温度が上がると皆汗をかき始めた。生地を流し入れると少しは温度が下がったものの、次第に暑くなる。
「手伝いましょうか?」
兎が声をかけるが、断っておく。下手に分担して時間をロスすると我慢大会も長引くのだ。小人達の信頼を失うわけにはいかない。
焼け具合を見守っていると、アックスが声を上げる。
「なんか、キャンプファイアみたいだな」
「キャンプファイアはこんな良いにおいしない」
「楽しみだね、暑いけど」
「ちょっとサイズ、押さないでよ」
エスパーダが抗議する。
「だって暑いんだもん」
「これくらいで根を上げるとは情けない」
「じゃあ、あんたもっと近くに行きなさいよ」
「ふざけるな、エスパーダ。熱中症になるだろ」
みんなで誰が矢面に立つかの争いを繰り広げていた。たこ焼きを食べて仲良く……するはずなのにおかしい。
要は一つずつたこのかけらを放り込んでいく。小人用に小さくしているため、人間にはしょぼい物に絵感じるかもしれない。
「これから集中するから、話しかけないで」
うまくたこ焼きを丸くするために余計な脳の処理を行いたくないのだ。その緊張感が伝わったのか、みんな黙って見守ってくれた。
初めてにしてはうまくいつたかもしれない。出来たたこ焼きにソースと青のりと鰹節をかける。マヨネーズはお好みで。
要用の皿に置くと、小人達は途端に騒ぎ出す。
「何これ? うねうねしてる」
サイズが指摘したのは鰹節だ。熱の影響でのたうち回っているように見える。
「味濃そう」
「それに熱々だよ」
「誰が最初に食べる?」
エスパーダの問いにみな尻込みする。暑い上に熱いのは避けたいところだ。
「じゃ、私、食べる」
サイズが宣言した。
「火傷すると危ない。まず私が食べよう」
エクスカリパーが庇うように挙手した。
「いや、私が食べるわ。要の、フィアンセの料理だもん」
「俺も味見してみたい」
「僕も」
「僕も」
みんな競うように手を挙げる。そして残ったアックス。
「じゃあ、俺も」
アックスが手を挙げると、みんな揃ってこう言った。
「どうぞどうぞ」
見事な団体芸だ。みんなテレビを見ているのだろうか? とりあえず要は楊枝を二本アックスに渡してみた。某たこ焼き屋のように二本の楊枝をうまく扱ってもらいたいが、彼の顔ほどのたこ焼きに通用するかどうか。
アックスは緊張した面持ちで、たこ焼きに楊枝を突き立てた。
「うわっ、なんだ? この柔らかさは」
アックスは中心部のトロトロ加減を感じ取っている。
「ふん」
楊枝の二刀流で引き裂いて、どろりと中の物が溢れてくる。熱々だ。
「これでどうやって食べれば良いんだ?」
アックスが悪戦苦闘している横で、兎が要から受け取った楊枝で軽々と食べる。
「おいひい」
熱さにハフハフしながら要にアピール。小人達からは大不評だった。
「そんな食べかた出来ない」
「小人族には食べさせない気だな」
と喧嘩腰。
結局、小さく切った物を食べてもらう事で落ち着いた。