七話 じっと我慢です
七話 じっと我慢です
前と同じように会話を聞きながら、たこ焼きの生地を作る。市販の物だから楽だが、要は関東育ちなのでほぼ初心者だ。みんなの前で焼く事を考えると憂鬱になる。夏に我慢大家を強いるのだから、おいしいのは必須だ。
向こうもプレッシャーがかかっているらしい。
「聞きたい事があるんだけど」
エスパーダが高圧的に切り出した。
「超能力使って、なんでサイズは老けないの? シールドはあんなに年取って……私と同い年なんだよ」
「シールドという個体は見ていませんから、仮説になりますが良いですか? それはサイズを生み出す前の尊い犠牲のおかげだと思います。サイズは小人と人間の混血同士を掛け合わせた子で、先ほどの優性遺伝を両方の親から受け継いでいます。だから自分のエネルギーで超能力を使えるのでしょう」
「サイズは小人から生まれたの?」
「いいえ、人間の代理母を立てました。彼女は私の親友でした。そしてサイズを産むと長い眠りについてしまいました」
兎は悲しそうな顔をする。
「だから私はサイズを守ると決めました。でも出来た事と言えば、外に逃す事だけでしたけどね」
「いや、明るくコミュニケーション取れるようにしたのも、あんたのおかげだろう。おかげでわがままに振り回されているしな」
「私、良い子だよ」
黒星に対し、サイズは抗議する。
「良い子は良い子だとアピールはしないぞ」
反論が聞こえなかった。
「なんだか、サイズは別の人になったみたい。子供の成長って早いですね」
「私、子供じゃないよ」
「そうだとも。サイズは……」
「アックス!」
「まったくやだね」
「すぐ見るんだから」
例によってアックスがサイズの身体を見て叱られたようだ。
「今後見られないように首飛ばしておくか?」
エクスカリパーが冗談とも本気ともつかない事を言い出した。
さすがにそれは却下された。また血が流れると掃除も大変だ。それにアックスも一応戦力ではあるし。
「いつもこんななの?」
「まあ、そうだね。後、就や能もいたんだ。この服も作ってもらったし、飛行機乗りの服もあるんだよ」
たこを切り終え、必要な材料を運びつつ、要は合流する。
「これからたこ焼き作るけど……我慢してください」
「善処するわ」
エスパーダの諦めた物言いにみんな頷いた。
「ありがとう。要、焼きまーす」
宣言して鉄板に火を入れた。