五話 兎とモメました
五話 兎とモメました
兎にとってここはアウェイになった。二人の愛の巣で、要に色目を使ったのだ。銃を引っ張り出されて、撃たれないだけマシというものだ。
「何よ。私だって婚活してるのよ」
「じゃあ、アックスは?」
「顔だけならおすすめだよ」
スミス姉妹が言うと、兎はまじまじとアックスを見る。
その値踏みの視線にアックスは不機嫌になった。
「顔は合格だけど、小人なのがね。子供産まれたら宿守博士に取り上げられそうだし」
そしてさらに上から目線の否定。アックスはますます不機嫌になる。
「こっちだってお断りだ。俺は小人族にしか興味ない」
「だからサイズをいやらしい目で見るのか?」
黒星が茶化すように言うと、場の空気が変わった。
「あなた、サイズに手を出そうとしてたの? サイズは子供なのに?」
兎の敵意はアックスに向けられた。要に向けられた性欲から、アックスに対する義憤に変わった事により、周りの評価も変わった。そもそもアックスの信用が低いので、彼が四面楚歌になったのは仕方がないと言えるだろう。
「こんなところにいてはダメよ! サイズ」
「じゃあ、研究所に連れ戻すって言う気? それはなしだわ」
エスパーダはまだ敵意を捨ててはいなかった。
「でもサイズが危険だわ」
「そのために俺達がいる。今日エクス……カリパーに来てもらったのはサイズとアックスを二人きりにしないためだ」
「私は何のために呼ばれたんですか?」
「研究所の情報が欲しい。そして手引きをしてもらいたい」
「私に裏切り者になれと?」
「サイズを逃した時点で、裏切り者なのでは?」
要の指摘にぐうの音も出なかった。
「そういえばサイズを逃したのに罰とか受けてないの?」
「確かに」
「外出れてるし」
エスパーダとスミス姉妹の問いに顔を歪めた。
「この人はまだ信用できない。洗いざらい語ってもらいましょう」
エクスカリパーが日本刀を抜く。
「それでどうするつもり?」
兎は刃物を出されて怯えている。
エクスカリパーはやる気満々だ。
最悪サイズに治して貰えば良いが、血も出るし痛い。さすがにそれはまずいだろうという事で、要は止めるために提案した。
「ご飯にしましょうか」
「はあ?」
兎とエクスカリパーは同時に驚きの声を上げた。