最終話 一旦解散します
最終話 一旦解散します
エスパーダ達スッキリした顔で出てきた。あれだけ争いの種があって、よくそんな顔が出来るものだ。
「兎からは言質取ったわ。手引きしてくれるって」
「脅してはないよね?」
要は確認を取る。
「してないわよ。恐怖で支配するとさらに上書きされる可能性があるから。使ったのは泣き落としよ」
エスパーダが言うと、サイズがなぜか胸を張る。泣き落としで重要な役割を担ったらしい。
「なんで、自由の身なのかも聞いておいたぞ」
エクスカリパーは要に成果をアピールする。なんらかの対抗意識が芽生えたのかもしれない。
有益な情報かどうか判断するため、兎本人に聞いた。
「私、結構有能なんです。私をハブったら仕事が回らないって泣きついてきました。それで不問になった上に給金アップです」
信じられないが、嘘は言ってないようだ。
「あの、父以外の人は?」
「何人かいますが、雑用をやりたがらないもやしばかりです。黒スーツがいるから手は出さないけど、軽く捻り潰せると思います」
兎は想像した相手に右フックを叩き込む。
「いや、いらぬ争いは起こさないほうが良い。居づらくなったら困るでしょ」
「私の心配をしてくれるんですか?」
兎は嬉しそうだが、それに反応する者もいる。エスパーダだ。
「色目は使わないと誓ったばかりじゃん!」
「あら、あれは男の人を紹介してからでしょ? 今はされてない」
兎はニヤついている。どうやらなんらかの密約をかわしたようだ。
「決行は明日。まずここに集まって、近くまで連れていく。兎さんの手引きで中に入った後、シールドさん達と能達を救出。そして離脱」
要の作戦に頷いた。
「お弁当は?」
サイズの素朴な質問に要は絶句した。考えてもいなかったからだ。家で料理を作ってはいたが、弁当はやった事がない。要も別の戦いをしなければならないようだ。
「分かった。頑張るよ」
男の作る弁当は高確率で茶色くなるが、サイズは大喜びだった。要が小学校の頃、遠足の前夜にはしゃいでいたのを思い出す。そういうところは子供だと思う。もしエスパーダとの間に子供が生まれたらこんな感じなのだろうか?
思わずエスパーダを見ると、要をまじまじと見て、
「私の分も忘れないでね」
と言った。
「はいはい」
がっかりした要は「はい」を二回言ってやった。




