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【ゆっくり寸劇】イクイノックスってすごいの?【台本】

作者: 三木香泣

霊=霊夢

マ=魔理沙

その他・「」=ナレーション


マ「うーん、凱旋門で勝てないんだぜ…」


霊「魔理沙ー、居るのー?…なに、居るんなら返事しなさいよ。」


マ「ああ、勝手に邪魔してるぜ。」


霊「自分の家みたいに寛ぐじゃない。はい、お土産。」


マ「霊夢が私にお土産とは珍しいな、一体どういう風の吹き回しなんだぜ?」


霊「今日イクイノックスが勝ったからね、いつものような貧乏巫女じゃないわよ。」


マ「衣玖イク?天界にでも行ったのか?」


霊「イクイノックス。現役最高の競走馬よ。」


マ「私は馬には詳しいが、知らない馬なんだぜ。」


霊「本当に詳しいの?じゃあ、アーモンドアイとかは?」


マ「私の辞書には無いんだぜ。」


霊「このイクイノックスって競走馬はキタサンブラックの産駒なんだけど、これほどの競走馬になるとは予想できた人ってさすがにいたのかしら。」


マ「キタさんは知ってるのだぜ。」


霊「…なんでキタサンブラックは知ってるのかしら。じゃあ、ディープインパクトは?」


マ「X(旧Twitter)で聞いたことはある気がするんだぜ。実装される気配がないとか嘆いてる人も諦めてる人もいるんだぜ。」


霊「ああ、やっぱり一般の認知度はディープの方が上なのね。」


マ「それで、キタさんがなんなんだぜ?」


霊「イクイノックスの父がキタサンブラックっていう話よ。」


マ「えぇ…キタさんって女の子じゃないのか?」


霊「何を言ってるの、普通に牡馬よ。GI7勝した優秀な競走馬で今も繁殖で多くの活躍馬を排出しているわ。イクイノックスもその一頭ね。」


マ「キタさんが男で、しかも子供が居たとは思わなかったんだぜ。」


霊「まあ、一般には馬の見た目なんて雌雄見分けがつかないからね。優秀な父の血統が存分に発揮された優秀な競走馬ね、イクイノックスは。」


マ「イクイノックスってどんな馬なんだぜ?」


霊「デビュー二戦目の2021年の秋の東京スポーツ杯2歳ステークス(GII)で早速重賞優勝してから、世間に名乗りを上げるわ。」


マ「二戦目でGII優勝とは期待が持てるな。」


霊「でも競走馬の世界はそんなに甘くはなかった。今でこそ最強馬であっても過去に挫折はあるもの。そこから少しだけ躓くの。」


マ「GIIで敵無しなら次はGIか?」


霊「2022年、皐月賞・東京優駿でいずれも二着で終わるわ。しかも、左前脚の腱にダメージを負うわ。」


マ「馬にとって脚の怪我ってヤバいだろ、大丈夫だったのか?」


霊「幸い、大事には至らなかったわ。けれど、期待を裏切ったイクイノックスに対して心無い競馬ファンは虚弱だの勝負弱いだのレッテル貼りや揶揄する言葉を残したわ。」


マ「でも、二位だろ。…うーん、競争だもんなあ、やっぱ二位じゃダメだよな。」


霊「それがレースの世界だからね。賞金も実績としても一位とそれ以外には雲泥の差がある。」


マ「けど、最強馬っていうからにはそれで終わりじゃないんだよな?」


霊「次走、秋の天皇賞では一番人気。負傷の不安はあったとはいえ、十分期待を持てるポテンシャルは誰もが理解していた。」


マ「それで、結果はどうだったんだぜ?」


霊「見事、GI初勝利を飾るわ。父・キタサンブラックと合わせて秋の天皇賞の親子制覇を果たしたことでスターホースの仲間入りを果たしたわ。」


マ「おお、良かったんだぜ。」


霊「次の有馬記念でも一番人気。期待通りに勝利を収めることで国際機関に世界最強馬に認定されたわ。」


マ「もうこの勢いは誰にも止められないんだぜ。」


霊「そしてついに、この時がやってくるわ。」


マ「(ごくり)…」


霊「ドバイシーマクラシック出走よ。イクイノックス初の海外遠征ね!」


マ「最初知らなかったけど、競馬って海外でもやってるんだよな。ドバイって金持ちの国だけど、日本より何がすごいの?」


霊「賞金に関してなら日本も結構高い方よ。ただ、今円安だから獲得賞金の348万ドルが2年前と比べて1.5倍くらいになってて、重賞の平均よりは圧倒的に高額ね。」


マ「ちなみに日本の一番のレースは何なんだぜ?」


霊「賞金額はジャパンカップね。一着賞金は年々増えて2023年では5億円よ。」


マ「けどドバイって世界中から強い馬が集まってくるんだから、馬のオリンピックみたいなものじゃないのか?」


霊「捻くれている人は日本のレースは地方大会レベルって揶揄するのもいるわね。」


マ「え?でも円安じゃなかったら賞金はそんなに変わらないんだろ?」


霊「国内と海外でレースの格式自体は変わらないからね。でもね、日本の競馬ファンって海外のレースに対してなんかコンプレックス持ってる人が多いのよね…。」


マ「意識高い系が帰国子女に嫉妬する的なやつか?」


霊「その例えは分からないけど、あのディープインパクトですら凱旋門賞ではアレな顛末だったし、日本馬は内弁慶みたいな言葉を受けて、結構なんか精神的にトラウマになってる可能性があるわね。」


マ「でも日本の凄いやきう選手がメジャーに行って力を発揮できないこともあると思うんだぜ。」


霊「そうね、結局環境に適応できるかだから、個人的には日本と海外のレースに本質的な差はないからコンプレックスを持つ必要はないと思うわ。」


マ「うーん、じゃあさすがのイクイノックスもダメだったんだな。」


霊「スタート直後、第一コーナー前で先頭に着けてそのまま逃げ切ったわ。」


マ「えっ?キタさんみたいだな?」


霊「途中、一度も先頭を譲ることなく圧勝で一位だったわ。ちなみに勝ち時計2:25:65はレコードタイムで。」


マ「ヤバくね?」


霊「この時から捻くれ者の競馬ファンも、イクイノックスを世界一の馬だと疑うものはいなくなったわ。」


マ「海外で勝って、世界に強さを見せつけたから日本の競馬ファンも満足だな。」


霊「目まぐるしくも帰国後、宝塚記念に出走。ドバイで勝利した反響は大きくここでも圧倒的に一番人気。」


マ「私にも分かるぞ、これは勝ちそうな流れだな。」


霊「当然のように勝利して、獲得賞金10億円を突破するわ。」


マ「す、すげえ…!」


霊「そして、秋の天皇賞に出馬。覚えているかしら、前年、イクイノックスが初めて取ったGIがこのレースだったわね。」


マ「ということは連覇がかかっている大事なレースだな。」


霊「ここでも当然のように勝利を飾るわ。しかもまたレコード記録で。」


マ「うーん、もう無敵だな。イクイノックスに全財産掛ける人がいても驚かないんだぜ。」


霊「ちなみに秋の天皇賞の優勝の最遅記録はキタサンブラックが持っているわ。こういうところで親子で独占するのは面白いわよね。」


マ「最速と最遅か…。親子の絆なんだぜ、知らんけど。」


霊「で、ジャパンカップね。普段賭け事は控えるようにしてる私も、さすがにちょっと張ったわ。」


マ「私でも知ってたら全財産行ったかも知れないんだぜ。」


霊「だけど、前走から1ヶ月、つまり中3週間での出走となったスケジュールを不安視する声も少なからずあった。しかも、このレースには最強のライバルがいた。」


マ「最強イクイノックスの前に、今さらライバルなんているのだぜ?」


霊「無敵の三冠牝馬リバティアイランドとの初対戦よ。」


マ「最強VS無敵か…、普通に熱いな。熱いんだろうけど…。」


霊「4馬身差。現役最強の一角と言って過言ではないリバティアイランドに圧勝してしまうのだから恐れ入るわね、本当に。」


マ「そんなに圧勝なレース展開だったのか?」


霊「超ハイペースで進行したレースの中で、好位につけて最後は支配的な展開で勝ち切ったわ。まさに、横綱相撲ね。」


マ「強すぎる…。でも、なんでイクイノックスってそんなに強いんだ?」


霊「イクイノックスの強さで特筆すべき点があるとすれば、それは脚質ね。」


マ「脚質って、『逃げ』とか『先行』とかだよな?」


霊「そうね。通常の優れた馬というものは脚の長さ、骨格、体格、筋肉量の構成が導き出す、瞬発力、スタミナなど抜きん出ているものがあって、それを活かしたレース展開に持ち込むのが定石。いわば勝ちパターンを持っているのよね。」


マ「そうだな。自分の強みを活かしたレース展開に持ち込むのが重要なんだぜ。」


霊「でも、イクイノックスにはその常識が通用しないのよ。」


マ「どういうことなんだぜ?」


霊「ドバイみたいに先行逃げ切りでも勝つし、先頭集団から最後に差して勝つみたいな戦術も出来る。本当になんでも出来てしまうのよ。」


マ「確かに、常識とは違う感じがするのだぜ。」


霊「昔の格言に王者に戦法無しというものがあったけど、イクイノックスはまさにそれを体現していると言えるわね。」


マ「格好良いのだぜ。」


霊「アーモンドアイは自在馬と評されるけど、逃げには明確に適正がなかった。真の自在馬の称号はイクイノックスにこそふさわしいと思うわ。」


マ「なるほど、最強と言われるのも納得なんだぜ。」


霊「相棒のルメール騎手だってこんな可能性の塊の競走馬に乗れたら楽しくないわけ無いじゃない。ジャパンカップの後なんて感極まって涙を見せたほどよ。」


マ「そんなに嬉しかったのか?」


霊「歴史を切り拓いていく一頭。そんな存在と共に自分が歴史のページに刻まれていく…。そんなジョッキー冥利に尽きる瞬間に魂が震えたんだと私は感じ取ったわ。」


マ「なるほどな。けど最強になってしまったわけだけど、ぶっちゃけ、この後ってどうするんだ?ゲームだとエンディングテーマが流れてきそうな感じなんだが。」


霊「それは、まだ分からないわ。ジャパンカップがラストランでも不思議じゃない程の実績だと思うし。」


マ「霊夢、一つ聞いてもいいか?」


霊「ええ、もちろん。」


マ「イクイノックスって凱旋門で勝てる?ていうか、出るのか?」


霊「…答えづらいことを聞くわね。」


マ「で、どうなんだぜ?」


霊「私個人の意見だけど、もうこれ以上の競走馬としての実績作りは必要ないのよね。正直、他の競馬ファンも繁殖入りして血の継承に専念して欲しいって意見も見受けられるし。でもまあ…」


マ「まあ…?」


霊「一競馬ファンとしてはね…そりゃ日本の馬が凱旋門賞で勝つところを見たいわよ。だけど夢を見るにはリスクが高すぎるから。もし怪我なんかしたら、本当に競走馬界の損失だから。だから、これは縋るような一縷な望み…というか我儘なファン心理ね。」


マ「御託はいいんだぜ。イクイノックスは凱旋門で勝つのか勝たないのかどっちなんだぜ?」


霊「そんなの…勝つに決まってるでしょ!日本史上最強馬が負けるわけ無いじゃないの。」


マ「ふーん。イクイノックスが実装されるの楽しみなんだぜ。」


霊「でもまあ、現実的には凱旋門賞には出ないだろうし、有馬記念で有終の美を飾って何事もなく現役引退してくれることを願ってるわ。」


霊・マ「ご視聴ありがとうございました。」


追記:2023年11月30日イクイノックス引退。残念な気持ちとほっとした気持ち、心が2つある。

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