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絶対防御の魔法使い  作者: スイカとコーヒー
白い眷属竜編 <Arubino Dragon>
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12.ラストフォート南側、再戦

「どうした嬢ちゃん?もうおしまいかい?」


 アルフレッドがフォルジェ姉妹を下した頃の南の砦。余裕を見せるオリエンス軍隊長リオの眼下で、リズは膝をついていた。


「ぐっ……」


 正直、前回切り結んだ感触から、実力は拮抗していると考えていたが、見誤っていた。


「この前は本気ではなかったってことね……」


「いやぁ、前回も手は抜いていないさ。ただ」


 リオは以前のように得物を肩にトントンと乗せている。だが、以前と異なり一般兵から奪った武器ではなく、見るからに魔法的な強化をかけられている槍を持っている。


「今日は俺の本気の装備ってわけだ。その辺の奴らが持っているナマクラは、ちょっと力を入れるとすぐ折れちまうからな」

「くそっ」


 おぼつかない足に無理やり力を入れ、リズは立ち上がる。後ろで魔法による爆発音がする。前回は遠巻きに待機していたオリエンス軍が、今回は初めから攻撃を仕掛けてきているのだ。


「こいつは俺専用だからな。簡単には折れないぜっと!」


 そういってリオは飾り気のない槍を振り回す。リズは盾で襲い掛かる穂先を受けるが、そのたびごとに盾がはじかれる。リオの一撃は非常に重い。


「早くこいつを倒さないと、砦が持たないわね……」


「今でも俺を倒すつもりか?いいね~嬢ちゃん!威勢がいいのは好きだぜ?」


「その呼び方をやめなさい!!」


 怒りに任せて右手のロングソードを振り下ろす。リオは余裕の表情を崩さない。槍の長いリーチを生かして、剣速が乗り切る前の切っ先を突き、リズの渾身の斬撃を逸らす。


「まだまだいけるじゃねーか!」


 リオの横なぎ。リズは盾で受けるが、再び槍とは思えない重い衝撃に、体勢を崩される。リオの攻撃をかろうじてリズが躱し、受け止め、耐える。防戦一方だ。


 ドォォォォン!


 地面が揺れる。ウィルのいる砦正面から、轟音が聞こえてきた。


「皇子様が気になるかい?」


 ニヤニヤとリオは話しかける。何か知っているのだろうか?


「ありゃァ、新型の魔法攻撃さ!お嬢ちゃんの主人は障壁が得意らしいな?今日はその自慢の障壁をボロボロにしてやるからよ!」



 ウィルの障壁が破られる……?



「ウィル!」


 思わず砦正面、東の方へ走り出すリズ。だがリオがそれを許さない。


「おっと!お嬢ちゃんは俺の相手をしてくれないとな」


 東側へ回り込むリオ。リズは焦りばかりが膨らんで、リオへの意識が疎かになっていた。それを見透かしたリオが隙をついて腹に蹴りを入れる。


「うっ……ごほっ!ごほっ!!」


 まともに食らってしまい、息ができない。しかしこれでもまだリオは遊んでいるのだろう。殺そうと思えば今の一撃で間違いなくやられている。


「騎士ってぇのは、みんなそうなんだよな~。ご主人様、ご主人様ってよォ!そういうのは、目の前の相手を倒してからにするんだな!」


 リオが初めて構える。


「おらおらァ!」


 先程の横なぎと同じ攻撃から連撃が始まる。切先による斬撃。石突による打撃。


「はぁっ!」


 わずかな溜めから、強力な突きが繰り出される。リズは盾でリオの付きを受けるが、盾ごと、身体を数メートルごろごろと吹き飛ばされた。


 盾を持っていた左手は衝撃でビリビリと痺れている。


「ウィル……こいつを倒さないと、ウィルの元にいけない……!!」


 砦正面から距離の離れた南北でリズとアルフレッドが敵に釘付けになっているうちは、オリエンス軍は誰にも邪魔されずに攻撃を継続することができる。このままではウィルは攻撃をひたすら耐えるしかない。


 早く、早くウィルの元へ行かなければ。


「はぁ、まだ気が散ってるみたいだな。もう殺すか……」


 リオの顔から笑みが消える。あの強烈な突きを放つつもりなのだ。次は盾で防ぎ切れるだろうか。


「おおおっ!!」


 これまで以上の殺気を纏い、リオの剛槍が唸りをあげる。


 あいつに勝つには、ウィルのもとへ向かうには、どうしたらいい?盾で防ぎきれないなら、いっそ……


「はぁぁぁっ!!」


 覚悟を決めたリズも雄叫びをあげ、リオに向かって踏み込む。


 二人が交差した瞬間、お互いの繰り出した剣と槍の攻撃が、周囲に衝撃波となって広がった。



 ……



「くそっ……相打ちかよ……」


 ごほっ、とリオは口から大量の血を吐き出す。リズのロングソードはリオの体を貫通している。


 力が抜け、膝から崩れ落ちるリオ。手を離れたリオの槍は、リズの脇腹を貫通していた。


「ウィル……!」


 リズは取りつかれたようにそうつぶやくと、砦の東へ向かって歩き出そうとする。しかし、激しい戦闘による疲労と、何よりリオの槍によって貫かれた身体が言うことを聞かない。


「はぁっ、はぁっ。……ぐっ」


 思わず片膝をつく。まだ目線は鋭く、東を向いている。こんなところで止まっているわけにはいかないのに。意識が遠くなる。


「リゾルテ様!!」


 魔法が飛び交う戦場を抜け、リズに駆け寄ってくる者たちがいた。


「リゾルテ様!しっかりしてください!今救護班のところまでお連れします!」

「あなたは……」


 よく見ると、先日の戦いでリオに人質として連れ去られ、リズが助けた一般兵だ。数人に抱えあげられたところで、リズは気を失った。


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