表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対防御の魔法使い  作者: スイカとコーヒー
聖女救済編 <Save the Saint>
39/138

24.女神の降臨

「!?」



 顔をあげ、周囲を見渡す。



 最初に異変に気づいたのは、ピーター主教だった。

 悪魔の襲撃からはウィルフォードの障壁で防がれているとはいえ、生きた心地のしない主教は、目を閉じてひたすら女神シーラに祈りを捧げていたのだ。

 目を閉じれば、恐ろしい悪魔を見なくて済むからだ。


 ふと、閉じているはずの目の前に、何かの気配を感じた。


 それが何かはわからなかったが、温かくそれでいて途方もなく神聖な気配だ。身体の奥から湧き上がる、()()に対する感謝の感情が抑えられない。


 そっと目を開いたとき、まだ悪魔が数匹、ガリガリと障壁の破壊を試みていた。しかしピーター主教の目はそのはるか先、ブリストン大聖堂に惹きつけられた。



 ……。



 夜の闇のなかに、鋭く輝く光球が見える。

 光球からはあらゆる方向に光の筋が伸び、周囲を照らしているようだ。


 一目でわかった。この光は。


「だ、大聖女さま!  め、女神様が……」


「私たちをお救いにいらしてくださったのね」



 いよいよ光は強さを増して、大聖堂の周囲は真昼のような明るさだ。

 しかしまぶしくはなく、照らされた顔は春のように暖かい。

 ピーター主教は光球の中に、一生をかけてお仕えしてきた女神の姿を見た。


「ひっ、、ひぃっ。」


 ピーター主教はひざまづいて、額を石畳にこすりつけた。

 圧倒的な聖なる気配に、体の震えが止まらない。

 首から下げていた太陽のペンダントを両手で握りしめ、女神への感謝の言葉をひたすら紡ぐ。目から涙がどんどんとあふれてきて、石畳に吸い込まれていく。


 いつの間にか、人間を襲っていた悪魔の動きが止まっていた。



「殿下、あれは……?」

「女神、なのだろうか」


 ウィル達も呆然と立ち尽くしている。だが、ピーター主教の様子を見ると、何が起こったのか何となく理解できた。



 ブリストン聖教都市にいる、すべての存在が、大聖堂の方を向いて、その光に目を奪われていた。





****




「うぅ……」


 あちこち痛めつけられたユーベルの体は、もはや痛みを感じなくなっている。


 私は死んだのだろうか。そういえば頬が温かい。太陽に照らされているようだ。


 体は仰向けに倒れたまま動かないが、瞼だけは自分の思うように動かせた。目を開けると、すぐ上空から、光が降り注いでいるのが分かった。


 「シーラ……さま……?」


 自然と、女神の名が口にでた。

 そしてそれは、間違っていないと思われた。


 ユーベルが女神の名を口にした瞬間、光球から黄金に光る神気の波動が周囲に発せられる。


 波動はゆっくりと、カーテンのようにゆらゆらと形を変えながら、光球の周囲から広がっていく。


「ギャァァァァァ!」


 黄金の波動に触れた悪魔たちは、叫び声をあげて崩れ去っていく。

 あの塔の悪魔から伸びた無数の白い蛇も、最初はユーベルに食らいついていたものが、次はユーベルの触手に巻き付いていたものが、順番に崩れ去った。


 やがて黄金の波動は、塔の悪魔から生えた巨大な悪魔の腕をとらえ、消し去った。残っているのは、塔の悪魔だけだ。


 塔の悪魔に到達した神気は、そこに何もないかのように、すっと広がっていく。


「ォォォォォォォ……」



 塔の悪魔の悲鳴なのだろうか。不安を呼び起こすような声がわずかに聞こえたが、数瞬後、塔の悪魔がいた場所には、崩れ去ったブリストン大聖堂のがれきだけが残っていた。



 そして聖なる波動は速度を増して広がる。



 それがブリストン聖教都市一帯を覆いつくすまで、わずかな時間しかかからなかった。

 無数にいた悪魔たちは逃げる間も無く、隠れる場所もなく、消え去った。



 最初から、あの恐怖が無かったかのようだ。





 ブリストン聖教都市の石畳からは、女神の力の残滓が小さな光の粒となって立ち上り、しばらく都市全体がぼうっと金色に照らされていた。


いつも読んでいただき、ありがとうございます


もし良かったらブックマークと★★★★★評価をよろしくお願いします

感想・コメント・アドバイスもお待ちしています

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ