B02「悪夢」
入った瞬間にベットにダイブ。
ベットは柔らかくて、よく寝られそうだ。
日付を見るとまだ21時すぎ。
眠いな…
そのまま夢の世界へと入っていった。
_________________________________________________________________________________________________________________はッ!?
悪夢で目が覚めた。
何者かに追われ、勇者団の仲間を殺していき、最後には自分が殺されるという夢だ。
殺される寸前で起きた。
シーツは汗でぐっしょりとしており、喉もカラカラに乾いている。
水を飲み、深呼吸。
ふぅ……落ち着いて来た…
しかし、あの夢は一体なんだったんだ…?
正夢にならないといいんだけどな…
そんなことを思っているうちに、再び夢の世界へと入っていった。
目が覚めた。
____眩しい。…朝だ。
水を一杯飲んでから、ベッドに座る。
……何しよう。
…とりあえず、朝飯か。
階段を降りると、賑やかな風景が広がる。
この宿屋「神風軒」の1階は食堂だったのか、なんて思いながら、空いているカウンターに座った。
「おはよう、よく眠れたかい?」
そう聞くのは、「神風軒」のオーナーであるおばさん(多分30代)だ。
「ちょっと悪い夢を見まして…」
どんな夢を見たのか大雑把に説明した。
「あら、それは大変じゃない…」
「…知り合いに占い師がいるけど、見てもらう??占いっていっても魔術メインだけど」
占いね…そういうオカルトは信じてないけど……
受けてみるか??
「…とりあえず、飯食ってから考えます」
「はいよ」
「朝飯、何がいい??」
「何があるんですか?」
「目玉焼きにサラダか、乾燥トマトパンだけど」
この世界に卵ってあったんだ…
冒険中、一切見なかったけどな…
そんなことを思いつつ、目玉焼きを選択した。
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部屋に戻ると、ベッドは綺麗に整えられ、床に散乱していた荷物は一箇所に集められていた。
ベッドに座り、近くの窓を見る。
オワリカの空には雲ひとつない青空が広がっている。
「今日は晴れか…」
ため息をついて、ベッドに寝っ転がる。
「ここにいてもすることない…な」
脳裏に、あの王城の魔術師が浮かんでくる。
「貴方の寿命を200年ほど伸ばしておきました。」
200年、長いなぁ
そんなことを思っていたら、ノック音がした。
「いいかい?入るよ?」
あのおばさんか。
「えぇ、どうぞ」
さっきのおばさんが入ってきた。
後ろに見知らぬ人がいる。
「連れてきたよ、占い師」
「占い師です」
紫のワンピースを着た20代すぎの若い女性だ。
怪しい服装だ。
前の世界なら通報されてるぞ…
占い師と名乗るその女性は、シュウの頭に手を当ててなにやら呟いている。
しばらく経って急に、目を見開いて喋り始めた。
「あなたはなにかに取り憑かれています。すぐにお祓いをしなければなりません。いまからこのお香を焚きますので、思い切り吸って、浄化してください」
そう言って、カバンの中から、紫色の液体が入った瓶とマッチを取り出した。
「それではお香を焚かせていただきます」
瓶を開けて、マッチを擦り、火の着いたマッチを瓶の中に入れる。
部屋に紫がかった煙が充満する。
「なんの効果があるんでしょうか?」
「直にわかります」
そう言う彼女の口には笑みが浮かんでいる。
…奇妙な笑いだ…気持ち悪いな…
…クラクラする。
………っ!
やられた…睡眠薬だ…
そういってシュウはベッドに倒れた。
B03「拉致」へ続く