Lv39 ファッションコンテスト②
最初に着させられたのは以外にもシンプルな花柄のワンピースだった。普段は着物しか身に付けないから似合うか不安だったけど、レアアバターの小柄な容姿にマッチして可愛らしい。
「最初の基本形だけどまぁ無難だね」
「かわいい!」
「いいけどつまらないわね」
ハンナリ、アヤトリ、ワカナがそれぞれに評価する。
「…」
俺は鏡で自分の姿を確認する。
そりゃ可愛いけど…女装している現実を直視するのがしんどい。
「さぁ次いってみよ~」
このままハンナリさんのコーデは続くことになる。
男としてのメンタルが耐えられるのか心配だ。
※
二着目は誰もが知っているメイド服だった。
ハンナリさんの指示で普段は隠している角と尻尾を露にしている。可愛らしい給仕服と、厳つい竜の部位…ミスマッチな気がするけど可愛いことは可愛い。
「やっぱりドラゴンメイドは鉄板ね」
「流行りだね~」
「ふーん」
三人は好き勝手に評価している。
「うーん…」
女性服のモデルだから仕方がないけど、スカートはすーすーして落ち着かない。
「さぁ次いってみよ~」
ハンナリさんのコーデはまだまだ続く。
※
お次は少年風ファッションと呼ばれるものらしい。西洋の貴族のお坊ちゃまのような組み合わせだけど、長い髪を帽子で隠すことで美男子に様変わりしていた。
おお…これは悪くないんじゃないか。ひらひらしたスカートが続いていたけど、やっぱりズボンの方が落ち着く。
「ショタ好きにはたまりませんな~」
男性が苦手なハンナリさんからも好評を得られた。
「…可愛い方が似合うと思う」
「…なんか見てて腹立たしいわね」
なのにアヤとワカナから批評が飛んできた。
「なんでだよ!?」
二人は俺のこと男だって知ってるのに、何故これが受け入れられない。
「よしよし、次いってみよー」
着替える度にハンナリさんのテンションが上がっている気がする。
※
もうどれくらい着替えたのか思い出せない…
次は原点回帰、ハンナリさんお得意の着物だ。
「うん、かわいい」
「いいね~」
「見慣れた姿ね」
三人は飽きもせず俺の衣装を評価してくれる。女子の服選びは長いと聞いたことがあるけど、いつになったら終わるんだ…
「それでヨウカさん、気に入ったのはあった?」
するとハンナリさんから唐突に問われる。
「最後はヨウカさんが選んで決めてほしいんだ」
「え、どうして…」
「やっぱりモデル本人が舞い踊りたくなるような服をベースに組み立てたいからね。今まで着た服の中で、好きなものはあった?」
「…」
なんだか意地を張ってるのが馬鹿らしく思えてきた。
ハンナリさんは真剣になってレアアバターに似合う服を選んでくれている。だったら男としての意地なんて捨てて、可愛いを追求することが俺の務めじゃないのか。
ここからは純粋にレアアバターの着せ替えを楽しもう。
「実は最初のワンピース?シンプルなところが好きだった」
「ほうほう」
「あとメイド服みたいな意外な組み合わせも面白かった。それとやっぱり和服は捨てがたいかも…」
「いいね。じゃあこれとこれを組み合わせて~」
俺とハンナリさんで最高の可愛いを模索しよう。
「ヨウくん楽しそうだね」
「つまらない意地なんて捨てて正解よ、ゲームなんだから」
アヤとワカナからそんな会話が聞こえた。




